劇場公開日 2014年4月1日

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「ならば『スーパーウルトラハイパースペシャルスクリュー大ドンデン返し』だ!!」サンブンノイチ Opportunity Costさんの映画レビュー(感想・評価)

2.0ならば『スーパーウルトラハイパースペシャルスクリュー大ドンデン返し』だ!!

2014年5月5日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

寝られる

全く面白くなかった訳ではないですが。
明確に嫌いな点があるため好きにはなれない作品でした。

まず話の設定/序盤の展開は面白かった。
作品全体に対する期待感を煽りました。
銀行強盗成功“後”からスタートする本作。
逃げ込んだ閉鎖空間内で実行犯三人が駆け引きを開始する。
そこに実行犯ではない不穏な人物達が関わりだして…という流れ。
海千山千の連中が蠢く中で誰が味方で、誰が敵で。
最終的に誰が金を手にするのか、色々と想像が膨らみます。

また海千山千の連中として配備された俳優の不穏感も良かった。
窪塚洋介、そして池畑慎之介☆。
彼等の一筋縄ではいかない感、生命力の強さは物語の展開に期待を持たせました。
特に窪塚洋介は映画「愛の渦」に続いて掴み処の無いナイトピープル感が出ていて良かったです。

しかし蓋を開けてみると残念な感じ。

兎にも角にも台詞で説明し過ぎ。
朗読会にいるような錯覚を起こす程の説明の嵐。
行動の意図と状況が事細かに説明されてしまうため解釈の余地が少なく作品に対して受動的に。
複数の解釈が可能な場面を見せて観客側に“誤った印象を与えて”後の伏線にする…というような流れにはなりません。
だって状況を言葉で説明しているから、そう読み取れって事でしょうよと。
自然と説明待ちの姿勢になるため作品への没入度が低くなりました。

また随所に差し込まれるオチャラケ演出が酷い。
そもそも役者ではない芸人さん達を縁故出演させていること自体違和感があるのですが。
彼等がするオチャラケ場面は総じてキッツい。
「レッドカーペット」や「イロモネア」等の瞬間ネタ見せの場であり、かつ好き好んで当該番組を観る方ならば面白いのかもしれませんが。
話の筋に全く関係ない言動はノイズでしかありません。

そして本作最大の難点、
最も嫌いだったのが『繰り返される』ドンデン返し。

リアルタイムでの駆け引き合戦が或る時点を超えると「実は…」という過去からのドンデン返しに。
或る前提を置くと同じ事象が違った意味を持つ…という意図だとは思うのですが。
そもそも台詞でこういう意図だと説明したのはそちら側だろ、という問題は横に置いたとしても。

ドンデン返しは物語内での必殺技みたいなもので。
映画「シックスセンス」や「ひだまりの彼女」等その系譜には様々な作品がありますが。
重要なのは“必殺”技であること。
ウルトラマンが3分間でスペシュウム光線を何度も何度も撃っては意味がありません。
例外事項として強大なラスボスに対しての『二度目の進化した』必殺技、これは有り得ます。
相手の桁違いの強さを示しつつ、主人公の挫折、或る経験を踏まえての成長。
これはこれでアガる、一種のドーピング演出になります。

で、本作。
この必殺技が何度も何度も繰り返されるため“必殺”感は当然薄れます。
実は、実は…と繰り返されることにより生じる気持ちは何か。
『どうでもイイ』という感情。
オーバードーズの末の虚無の境地。
真面目に観るだけ阿呆らしくなり、遂には試合放棄という結果に至りました。

必殺技のインフレ/陳腐化、まるで児童のソフビ人形遊びを観ているような本作。
ラストで或る人物が言い捨てる或る言葉のキレは案外良かったです。

上映時間119分を乗り越えてラストの切り捨て感を楽しめる方。
オススメです。

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Opportunity Cost