「中途半端なノンフィクション作品」武士の献立 お水汲み当番さんの映画レビュー(感想・評価)
中途半端なノンフィクション作品
加賀藩の、賄い方を務める武士の一家を主題にした映画です。
中途半端なノンフィクション作品に共通する欠点が、この映画でも露呈します。
事件に脈略がないのです。
加賀前田家では、たしかに6代藩主の急逝のあと、前田騒動という大騒動が起きています。
その歴史的なエピソードに主人公を絡めようとして、ストーリーはムチャクチャ苦労しています。
「改革のために立ち上がろう、おー」みたいなノリなんですが、改革って何? それで藩は良くなるの? みたいな雑念が観ている側に沸騰します。
要するに、抽象的すぎるわけですね。
具体的な改革の実例を一つでも出してくれていれば、なるほど……と観ている側も得心できるわけですが。
包丁侍になる気がなかった若者が、年上女房の教育によって立派な包丁侍になりました、というだけでは10分も持たないので、時間を伸ばすためにいろんなエピソードに手を突っ込んだって感じです。
こうなってくると、ストーリーには期待できないわけですが、そんななか、上戸彩の唇が異常に膨らんでいて、こりゃヒアルロン酸の美容注射をしたんだな、と、こちらも雑念ばっかり湧いてきます。
それと、お姫様の「成海璃子」って、かわいいんですけど、ほんとヘタクソですね。セリフ棒読み。呆れました。
成海璃子はほぼ同じ役柄で「利休にたずねよ」にも出ていますが、「利休」のほうでは賢明にも、彼女にはセリフらしいセリフが与えられていません。
ってわけで、ちょっと残念なお話でした。
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