劇場公開日 2015年6月20日

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「詰めに詰め込まれた怒涛のMADに狂気乱舞して酔い痴れる作品。」マッドマックス 怒りのデス・ロード Opportunity Costさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5詰めに詰め込まれた怒涛のMADに狂気乱舞して酔い痴れる作品。

2015年6月22日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

楽しい

興奮

幸せ

ジョージ・ミラー監督(御年70歳)のサービス精神旺盛な「O MO TE NA SHI」。
常時暴力的に誘発されるアドレナリンのODで恍惚感に浸りつつ。
怒涛の展開に痺れる、グッとくる。
夢現な気分のまま流れ込んだエンドロールと同時に。
意図せず止め溜めていた息を思い出したように深く吐く。
…凄かった、物凄かった。

まずミッチミチに詰め込まれた暴力とカーチェイスが良かった。
落ち着く間もなく畳み掛けられる暴力とカーチェイス。
しかも話の流れと共に暴力の過激度は増して一瞬たりとも気が抜けない。
アガる劇伴も含めて強制的に興奮状態を維持、かつ更に高みに連れていかれました。

また登場人物達も凄く良い。
本作の軸はマックス…というよりはシャーリーズ・セロン演じるフュリオサ大隊長と“子産み女”達。
このフュリオサが無茶苦茶良い。
シャーリーズ・セロンはルックもアクションも非常に良かった。
脇を固める“子産み女”達も各々の個性が巧く描かれており。
その描写の巧さが終盤の「オッ!?」という展開を成立させていました。

対する我らのマックス。
フュリオサが“攻め”の人物だとしたら、本作のマックスは“受け”の人物。
口数が極端に少なく、状況に流されつつ、生存本能のまま生きる男。
受動的な彼は相手が強大になればなる程、状況がヤバくなればなるほど輝く。
序盤の愛車をあんなことにされるポンコツ野郎から、ドンドンドンドン格好良くなる。
終盤、怒涛の展開の中で八面六臂の活躍をする彼はキチンと「MAD MAX」を体現していました。
また序盤から印象的な罪悪感からくる幻聴幻影が…あのような形に転がる粋な展開にもグッときました。

ニュークスも良かった。
良い意味でも悪い意味でも純粋な彼が魅せる顔、言動。
序盤の印象的な「What a lovely day!」も良かったし。
同時に映し出される或るモノの間抜けさも良かったし。
時折見せる寂しげな顔も良かった。

その他、敵キャラも総じて良かった。
本作の世界観を体現するようなフリークスな面々が大集合。
イモータン・ジョーを筆頭にリクタス、武器将軍、人喰い男爵、そしてウォーボーイズ。
アレな感じの面々が画面狭しと大暴れ。
正直、過去作程の名言や強烈な行動があるか、と言われれば若干の弱さは感じるものの。
総じてイイ味を出していました。

そして登場する車が無茶苦茶キテる。
ヤマアラシが所持するプリマス・ロックの(良い意味で)頭悪い感も好きですが。
何は無くとも爆音兵器のドゥーフ・ワゴン。
コーマ・ドゥーフ・ウォーリアーが奏でる火を噴くダブルネックギターの鮮烈さ。
これには度胆を抜かれました。
本作、「3D表現がイマイチ」なんていう不埒な輩がいるようですが。
いやドゥーフ・ワゴンの結末部分だけでも3Dの意味がある!!と断言出来ます。
この奇抜さはグッときました。

詰めに詰め込まれた怒涛のMADに狂気乱舞して酔い痴れる本作。

繰り広げられるカーチェイスは正に「だんじり祭」。
踊る阿呆に見る阿呆、同じ阿呆なら踊らにゃ損損。
詰め込まれた画面の情報量、爆音を皆と楽しめるのは今だけ。
この作品こそ劇場、しかもIMAX3D字幕版で楽しむべき作品かと。
往年のファンも、未見の方も楽しめると思います。
オススメです。

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Opportunity Cost