「美しすぎる 暴力と凶器。」マッドマックス 怒りのデス・ロード 年間100本を劇場で観るシネオさんの映画レビュー(感想・評価)
美しすぎる 暴力と凶器。
子どもの頃、
シリーズ1作目をTVで観たとき
とてつもない衝撃を受けました。
復讐に燃えて
スーパーチャージャーの
インターセプターを操るマックスは、
ニューヒーローでした。
夢中になった僕は上映を探しては、
3本立て映画館へ
何回も足を運んだものです。
2と3は世界観がガラリと変わって
1とは別物になってしまったけど、
2は歴史に残る最高傑作でしたね。
北斗の拳も生まれなかったでしょう。
けど、
メルギブソン&ジョージ・ミラーの
マッドマックスは、
ネタぎれ感の3が上映された
1985年に終わっていました。
あれから30年、
まさかこのシリーズの新作が観れるとは、
夢にも思いませんでした。
しかもシリーズ監督で70歳の鬼才
ジョージ・ミラーが演出なんて。
CG全盛の時代に、
スタントアクションにこだわる監督が、
どんな作品を作るのだろう。
期待せずにいられません。
で新作フューリーロードはというと、
うーん傑作でした!
一言で言えば、「美しすぎる暴力と凶器」
このシリーズは新しいカテゴリを生み出してきたけど、
今作はさらに進化して、美しさに陶酔してしまいます。
ジョージ・ミラー監督の、
ギリギリまでCGを使わないアクションが、
そう感じさせるのでしょうね。
デジタルに慣れてしまって
アクションに驚かなくなった世の中に、
改めてアナログのスゴさを
見せつけています。
全篇に渡って
とてつもないテンションで
荒野を疾走するのはお約束だけど、
ストーリーの構成も美しいです。
もちろん計算してるのでしょうが、
セリフがあまりないので、
まるでアート作品を観ているよう。
けど生き残ることへのパワーという、
本質のテーマもきっちり描かれていて、
最後は感動が待っている。
隙がありません。
メル・ギブソンから変った
トム・ハーディも悪くなかったですが、
シャーリーズ・セロン演じる女戦士フュリオサが
抜群いいい。
彼女が軸になっているストーリーも、
意表をついて面白かったです。
いろんな意味で原点回帰をしながら、
映画のスゴさを見せつけている
70歳の監督が撮った大傑作を、
劇場でお見逃しなく。