「映画のようにサーカスのように世界は存在する」マッドマックス 怒りのデス・ロード うそつきカモメさんの映画レビュー(感想・評価)
映画のようにサーカスのように世界は存在する
ストーリーの説明らしきセリフがほとんど無い映画で、例えば、マックスが今まで何をして生きてきて、どうして捕まったか、イモータン・ジョーの目的など、すべて観る人にゆだねる演出で、思い切ってヴィジュアルだけに特化した映像美の連続です。
さながら、シルク・ドゥ・ソレイユの世界を眺めているかのように、そこに生きる人たちの息遣い、肌触り、質感、そして躍動を飽きずにずっと見入ってしまうような、ある意味「絵画」的な映像が続きます。
そして、文句なしにぜい肉を削ぎ落された、洗練されたアクションの数々がつるべ打ちのように押し寄せてきて、見るものを圧倒してしまいます。
シャーリーズ・セロンの役作りに関しては、身を削るどころの没入ではなく、もはや俳優生命を賭けてこの役を作り上げたと言っても過言ではないほど、見事な演技でした。
ただ、前シリーズからずっと、この世界に馴染めず、ましてや主役のマックスに魅力を感じないうえに、彼の行動にひとつも説得力を感じないので、やっぱりもうひとつ燃えるものがありません。トム・ハーディのキャラクター不足も相変わらず。
見ても、残るものは何もありませんでした。私には。
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