「『ワン・バトル・アフター・アナザー』のサブテキストにもなる」ランナウェイ 逃亡者 村山章さんの映画レビュー(感想・評価)
『ワン・バトル・アフター・アナザー』のサブテキストにもなる
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PTAの『ワン・バトル・アフター・アナザー』が過激派グループのモデルにしたという「ウェザーマン」の元メンバーが主人公、というフィクション。テロ事件を起こした30年後に、潜伏していた容疑者(レッドフォード)の身元が判明し、逃走しながら30年前の嫌疑を晴らそうとする。晩年のレッドフォードらしく、結局はカッコよくて能力があって思想も誠実さもある老人(と呼ぶには娘が若いか)を演じてしまっているのだが、過激派とされていたグループやメンバーにもグラデーションがあること、正しいか間違っているかはさておき、抵抗する意味のある対象があった時代があり、テロを擁護はしないが、その精神が失われていないかと問いを投げかけるだけの危機感が作り手にあること。レッドフォードのキャリアのなせる技か、オールスター高齢者キャストが豪華すぎること。監督としてのセンスはどこにいった?と不安になるほど演出は凡庸だが、音楽にクリフ・マルティネスを起用するあたりにさすがレッドフォード老いても才能のチェックは怠らないなと思わせることなど、いろいろと見どころ、感じどころがある。
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