危険なプロットのレビュー・感想・評価
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そして続く
見始めからどうなるんやろうと気になりながら視聴。クロードの作文に対して、なんやかんやダメ出しをしながらもどっぷりとはまっていってしまうジェルマン。
クロードの文章は人を魅了する才能があるとは思うけれども、題材がまた人の家庭の恥部を覗き込んでいるような…
テストの採点用紙を盗んだあたりから(かなり最初か!)もうどっぷりやん!ジェルマン…絶対いい結末になれへんやん…となんともいえない気持ちになりながらも最後まで観てしまった。
なんという恐ろしい結末。最初から狙いはジェルマンやったんや。妻も仕事も失ってるわけやけど、ストッパーが何もない今、クロードの欲望を満たすことに協力するんやろうなあ。クロードはまるでカマキリに寄生して自殺に追い込む虫のようや。
クロード役のエルンスト・ウンハウワーが線の細い美男子でクロードのイメージぴったりやった。
スラップスティックコメディ!同じ『学校』でもね♥
さて。
『文学も映画も人生の事は教えてくれない』が、そんな事承知の助♥
『ある人物を悪く描くのは簡単だ。凡庸な人々はその人物を批判する。難しいのは、先入観なしなくその対象を見つめる事』
と少年のために先生は話すが、これは嫌味だと、直ぐに分かる。対象は?
フランス映画特有の屁理屈だが、凄く分かりやすい。
僕はフランス映画に対するアンチテーゼと見た♥
不条理をわかりやすい笑いに変えて、しなくても良い苦労や犯罪まで犯す。やったもんがちで大変によろしい。
『青い体験』とか『課外授業』とか昔の映画を小出しにして、フランス映画を皮肉っている!
17点だね♥
追記 僕の出身高校は制服だったが、ドサクサに乗じて、私服化にしてしまった。さて、その余波で偏差値が10以上も下がったと聞く。元々、中くらいの高校だったが、目の当てられない位の落ち込みようだったようだ。それでいて話が終わるなら良いが、その後、制服を復活させたようである。『けい●ん!と同じブレザーにしました。』とSNSにはもてはやされていた。そしたら、偏差値がものすごく上がって、進学率が伸びたそうである。
さてさて、喜ぶべきか?
因みに僕は私服は反対だった。なぜなら、めんどくさいから。だから、一年中爪入りの学生服で通った。勿論、爪入り等即刻破棄した上で。そして、第2ボタンを奪われる事なく卒業ともにお払い箱にした。母が『思い出にとっておけば』って言ったが、なんの思い出なのだろうと今でも考える。
ネタバレ有
パゾリーニ、カフカ、トルストイ、中国。全部フランスじゃない。
最期に『夜の果ての旅』で『ヒッチコック?』
【両親の愛を受けられなかった高校生が、中産階級の級友の週末を宿題の作文として記す。その文章の才能に惹かれた国語教師が彼に指示した事。フランソワ・オゾン監督の才気が見事なる作品である。】
ー フランソワ・オゾン監督が、人間が持つ毒と日常に潜む狂気を描いたサスペンスである。-
■作家を目指していた国語教師・ジェルマン(ファブリス・ルキーニ)は、生徒のひとり、クロードの書いた”週末の過ごし方”を描いた作文に心をつかまれる。
彼はクロードに人間観察の才を感じ取り、小説の書き方を個人指導していく。
クロードは中産階級の級友ラファエルの週末の過ごし方に興味を持ち、ラファエルの家に入り込んでいく。
そして、ラファエル家の生活を覗き見るような作文の内容はエスカレートし、ジェルマンを虜にしていく。
ー フランソワ・オゾン監督作品を初めて劇場で鑑賞したのは、「2重螺旋の恋人」である。"誰だ、この監督は!"と驚き、「グレース・オブ・ゴッド告発の時」”The Cure”の中期の名曲”In Between Days"が爆音で冒頭から流れる「Summer of 85」「すべてうまくいきますように」を鑑賞して来たが、この監督は未だ56歳なのである。
その幅広い作風を含め、物凄い才能溢れる監督である。ー
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・今作でも、その作品レベルは高い。
作家を目指していた国語教師・ジェルマン(ファブリス・ルキーニ)が週末の過ごし方を作文に書いてくるようにという宿題に対し、生徒のひとり、クロードは級友のラファエル一家の姿を、生生しく描いてくる。
ー ”中流家族の女の匂い”とラファエルの母、エステル(エマニュエル・セニエ:フランソワ・オゾン監督作品の常連であり、夫はロマンスキー監督である。)について、言及する文章。-
・ラファエルには、中国を顧客とする父(ドゥニ・メノー:「ジュリアン」では恐ろしかったなあ・・。)もいるのである。
・ジェルマンの妻、ジャンヌ(クリスティン・スコット・トーマス)はエスカレートする夫の行動を危惧するが、ジェルマンのクロードに対する指示はエスカレートしていく。
ー 結果として、ジェルマンはラファエル一家にドンドンと入り込んでいき、エステルとは一線を越えそうになる。
この辺りは、虚実を交えて描かれている。-
■クロードの両親の姿は後半になるまでは、一切描かれない。
そして、後半のシーンを観ると、ジェルマンのクロードに対する指示が行き過ぎていた事が分かるのである。
<今作は、自身が成し得なかった文学の成功の素養を持った生徒を持った国語教師の暴走と、その生徒が抱えていた哀しみを描いた作品である。
改めて、フランソワ・オゾン監督が持つ資質の高さと、作風の幅広さに驚かされる作品である。>
はりきり先生のエゴ
“続く”で必ず終わるクロードの文面。バスケットボール好きのクラスメイトの家庭に入り込み、徐々にその母親に惹かれていく内容だ。やがてジェルマンは現実と作文との境目がわからなくなるような映像。
面白いと言えば面白いのだが、やはり文学的な内容にテンポが悪くなってる気もする。最後には妻に離婚を宣告されたジェルマン。と同時にクラスメイトに数学の問題を盗んでしまったことなどで教職も失ってしまう。
邦題好き
最後は、二人ともいろんなものを失ってるのに、とても爽やか。クロードは学校を辞めたし、先生は仕事も奥さんも失った。それでも二人とも生き生きとしている。クロードは家庭教師が本当天職って感じ。この描き方はすごい。
クロードにはいつか小説を出版して成功してほしい。あと更生してほしい(少しだけでいいからまともになってほしい)
あと仏語学習者にとっては、聞き取りやすくてすごく勉強になる。
フランソワオゾンの作品の中で一番好きかも。
16歳の少年の週末が、たった2行だ
映画「危険なプロット」(フランソワ・オゾン監督)から。
主人公は、文才溢れる少年と国語教師なのだが、
私は、他の子どもたちの「文章能力」が気になった。
冒頭で、子どもたちに求めた「週末を出来事」を書かせる宿題、
嘆いていたのは、その内容だった。
「土曜、ピザを食べテレビを見た。日曜、疲れて何もしなかった」
この内容に、教師が溜息をつきながら、
「16歳の少年の週末が、たった2行だ」と吐き捨てるように言う。
「土曜、テレビ・ピザ。日曜、何も。詩を書けとは言ってない。
週末の出来事だ。それなのに、2行以上の文章を書けない。
彼らの無知より、将来が心配だよ。子供は『未来』だ。」
メール全盛の現代、単語はなるべく少なく、文も短い。
形容詞と呼ばれる表現は、ほとんど皆無。
皆が時間に追われ、用件のみを伝えることが是とされる昨今、
これが普通なのかもしれないが、なんだか味気ない。
少なくとも「嬉しい」とか「楽しい」、「悲しい」といった
感情表現が無くなってきたことが、心配である。
ストーリーとは全く違った部分に反応してしまったが、
これもまた、この作品を通して感じたことだから、
「16歳の少年の週末が、たった2行だ」を残しておきたい。
面白かった
普通の高校生や一般家庭の話なのにすごくスリリングで、題材はどこにでも転がっていて視点ひとつでこんなにも面白くなることを改めて気づかされた。
途中で作文がフィクションになっているのか、映像描写がフィクションになっているのか、現実の境界があいまいになるところがすごく面白かった。
少年の身の上を思うと気の毒になる。数学の教師なんて中卒ではかなりダメなので学校やめたらダメだと思った。
主人公の先生は、元作家志望なのに、ダメ出しばっかりして小説の先生としてもあまりよくなかった。最初は描くだけでも相当なモチベーションが必要なので伸び伸びと描かせてあげて、あとから修正した方がいい。でもこんなことを気にして守っていたら映画としては全然面白くないのだ。
ハラハラする!
どこからどこまでが本当のことなのか、凄くハラハラします!
主人公の男の子が綺麗で魅力的で危ない感じがいいです。
のめり込んでしまう教師も、段々とエスカレートして…。
最後、先生は死んでしまったのかと思いましたが、そうではなくて安心しました。
最後のレズビアン設定で話していた少年の捏造話も気になりますwww
「つづく」という台詞がとても印象に残ります。
久しぶりのフランス映画
ずる賢い嫌味な男といった役どころの多かったファブリス・ルキーニも初老の役。高校教師である彼は教え子の男子生徒の一人に作文指導を始める。この美少年が次第に暴走をして、友人の美しい母親(エマニュエル・セニエ!!歳を重ねてなお妖艶。)へ迫る。自分が子供のころに、こんな風に友達の母親に興味を持ったことがあるだろうか?おそらく私の生まれ育った文化には、女性が年齢を重ねていくことで身に着けていく魅力というものが、あまり評価されないのだろう。しかし、フランスの文化にはそうした価値観が存在する。だから、高校生が友人の母親に性的な魅力を感じることは、困ったことではあるが不自然なことではないのだろう。
久しぶりにフランス映画らしいフランス映画を観た。やはりこの国の映画はまだ死んではいない。危機的な状況であることに変わりないと思うが。もっと日本でも公開本数を増やして欲しい。
二人の女性に共感そして憧れる
スキマ時間にふらっと立ち寄った。
少年の視点で綴る「普通」の家庭の出来事について、気づけば少年の視点なのか、それを読む夫婦の視点なのか、我々観客が期待する視点なのか…といったことを考えながら観ていた。
いかにも理想的な夫と息子に恵まれ、息子の友達からも性の対象にされるエステルは間違いなく幸せな女性像のひとつだろう。一方で、家庭以外にも居場所があり、自分の服は自分の金で買います(多分)、そんなジャンヌにも憧れる。
この映画のひとつの見方として、インテリアや食べているもの、洋服やアクセサリーなどに注目して参考にしてみるのもまた一興かと思う。
危険な高校生。
F・オゾンが描くというのでサスペンスなんだろうとは思ったけど、
主演にF・ルキーニを持ってくるということはコメディか?なんて
ことを考えていた。で、結果は両方当たっていた。
作文に秀でた生徒・クロード役に新人のE・ウンハウアー、この子が
また色目使いの名手で、まさか教師ジェルマンとそういう関係に?
なんて想像までする始末(それはなかったけれど^^;)
たぶん自分の心の中では勝手に「ベニスに死す」みたいな、中高年と
美青年の甘美な妄想による関係…なんてのを想像しちゃってたらしい。
お話の方は、つまらない作文添削に嫌気がさしている国語教師が、
突如現れた才能豊かな生徒の描く文章にすっかり魅せられてしまい、
次第に客観性を失っていくという話。隣の家を覗く感覚で同級生の
家族へと入り込んでエロく書き上げる生徒にすっかりのめり込んだ
教師は、話をさらに面白くするために生徒に無理難題を指示するが…
あり得なさそうな話も、普通の家族を覗き見することで現実味が増し、
面白い展開が続くのだが、後半に入ると覗きが悪趣味へと変貌して
単なる妄想から遠のいていく。もはや、小説なしには生きられないと
いうような二人のやりとりに息が詰まり、やがて予期せぬ事態へと…
原作が戯曲ということで、なるほど舞台的な演出が目立つ。
ラスト二人が各々の家庭を見ているマンションの場面が素晴らしく、
つまりこんな風に外側から眺めていても内情は闇の中、
家族のことは家族にしか分からないということが伝わってくる作品。
とはいえ、妄想するには最適な場面となるところがいかにも作家的。
(ホント色っぽいんだもん、あの目つきには参ったわ~オバさんも^^;)
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