危険なプロットのレビュー・感想・評価
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久しぶりのフランス映画
ずる賢い嫌味な男といった役どころの多かったファブリス・ルキーニも初老の役。高校教師である彼は教え子の男子生徒の一人に作文指導を始める。この美少年が次第に暴走をして、友人の美しい母親(エマニュエル・セニエ!!歳を重ねてなお妖艶。)へ迫る。自分が子供のころに、こんな風に友達の母親に興味を持ったことがあるだろうか?おそらく私の生まれ育った文化には、女性が年齢を重ねていくことで身に着けていく魅力というものが、あまり評価されないのだろう。しかし、フランスの文化にはそうした価値観が存在する。だから、高校生が友人の母親に性的な魅力を感じることは、困ったことではあるが不自然なことではないのだろう。
久しぶりにフランス映画らしいフランス映画を観た。やはりこの国の映画はまだ死んではいない。危機的な状況であることに変わりないと思うが。もっと日本でも公開本数を増やして欲しい。
“続く”の魔力に魅せられます
常々より、映画はの良し悪しを決めるのは、シナリオ、演出、そして役者の順だと思っているが、久々に三拍子揃った秀作だと思う。
舞台はフランスの高校。元、作家志望の高校教師が、添削中の作文の一つに心惹かれる。その文章のラストは、“続く”。彼に文才を感じた主人公ジェルマンは、特別授業と銘打って物語の続きを求めていくが、いつしか主従の立場が逆転してゆくという心理サスペンス。
クロードが華奢な肢体に制服を身に付けてゆく冒頭シーン。制服という呪縛と、未成熟な少年の危うさを暗示させる絶妙な始まりだ。さらに、クロードの人格を深く描かないことで、あくまで主人公の好奇心の目(フィルター)とし、ひいては、私たち観客も同じ視点へぐいぐいとはまり込ませる巧みさ。ラストの結末まで一気に引き込まれる。
クロード役のエルストンの控え目でいて、存在感ある演技、その目力。今後が楽しみです!
まさに危険なプロット!!
間違いなく、エルンスト・ウンハウワー(クロード役)の虜に。
彼の色目で脳みそがとろけそう
物語が進んでいくごとにクロードが紡ぎだすストーリーの中に引き込まれ、いつしか現実とフィクションの間にある混乱に取り込まれていく。
それは、魅力的な文学と出会ったとき、ページをめくる手が止められなくなるのと同じ。
ほんの数秒先の展開すら待ち焦がれるようになり、物語から目が離せなくなっていく。
創造するとはどういうことか、観客であるとはどういうことなのか、その魔力と本質について。
続きが気になる
怪しげでどこか危険な香りを漂わせる美少年…キャスティングが最高でした!彼の続くにどんどん引き込まれていくジェノマンの気持ちがよくわかります!しかし…どこかシリアスにならないのはラファのおかげでしょうか笑
覗き見の誘惑。
「続く…」の魔力、若しくは背徳の禁断の中毒性。
ミイラ取りがいつの間にかミイラになる、攻守の切り替えの上手さ。
物語が現実を浸食し、夢か誠か…境界のあやふやになる不安を煽る演出はさすがオゾン監督。
クロード役のエルンスト・ウンハウアー氏、今後注目です。
二人の女性に共感そして憧れる
スキマ時間にふらっと立ち寄った。
少年の視点で綴る「普通」の家庭の出来事について、気づけば少年の視点なのか、それを読む夫婦の視点なのか、我々観客が期待する視点なのか…といったことを考えながら観ていた。
いかにも理想的な夫と息子に恵まれ、息子の友達からも性の対象にされるエステルは間違いなく幸せな女性像のひとつだろう。一方で、家庭以外にも居場所があり、自分の服は自分の金で買います(多分)、そんなジャンヌにも憧れる。
この映画のひとつの見方として、インテリアや食べているもの、洋服やアクセサリーなどに注目して参考にしてみるのもまた一興かと思う。
危険な高校生。
F・オゾンが描くというのでサスペンスなんだろうとは思ったけど、
主演にF・ルキーニを持ってくるということはコメディか?なんて
ことを考えていた。で、結果は両方当たっていた。
作文に秀でた生徒・クロード役に新人のE・ウンハウアー、この子が
また色目使いの名手で、まさか教師ジェルマンとそういう関係に?
なんて想像までする始末(それはなかったけれど^^;)
たぶん自分の心の中では勝手に「ベニスに死す」みたいな、中高年と
美青年の甘美な妄想による関係…なんてのを想像しちゃってたらしい。
お話の方は、つまらない作文添削に嫌気がさしている国語教師が、
突如現れた才能豊かな生徒の描く文章にすっかり魅せられてしまい、
次第に客観性を失っていくという話。隣の家を覗く感覚で同級生の
家族へと入り込んでエロく書き上げる生徒にすっかりのめり込んだ
教師は、話をさらに面白くするために生徒に無理難題を指示するが…
あり得なさそうな話も、普通の家族を覗き見することで現実味が増し、
面白い展開が続くのだが、後半に入ると覗きが悪趣味へと変貌して
単なる妄想から遠のいていく。もはや、小説なしには生きられないと
いうような二人のやりとりに息が詰まり、やがて予期せぬ事態へと…
原作が戯曲ということで、なるほど舞台的な演出が目立つ。
ラスト二人が各々の家庭を見ているマンションの場面が素晴らしく、
つまりこんな風に外側から眺めていても内情は闇の中、
家族のことは家族にしか分からないということが伝わってくる作品。
とはいえ、妄想するには最適な場面となるところがいかにも作家的。
(ホント色っぽいんだもん、あの目つきには参ったわ~オバさんも^^;)
"続く"の魔力
この映画では、主人公のクロードが、国語教師のジェルマンへ小説を書き、添削してもらっているのだが、そのクロード君の書く小説は毎回、一枚分で"続く"になっている。しかも物凄く続きの気になる所で!
クロード君の小説の"続く"の魔力は、ジェルマンだけでなく、観客である私までも惹きつける。
人は、観てはいけない、と言われたものほど観たくなる、という言葉が当てはまる作品!
なんといっても、主役の美少年、エルンスト・ウンハウワー君の影のある謎めいた目にやられた!
ミステリアスな物語を更にミステリアスにしている。
美少年目当てでも良いから是非とも観てもらいたい作品!
「つづく」という言葉がもつワクワク感
拙い文章を書く生徒たちに辟易していた高校教師ジェルマン、男子生徒クロードの繊細な描写に目がとまる。
ある家族の日常をただ書き留めただけの文章だが、その鋭い観察眼と、文章の最後に書かれたひと言「つづく」に、観ているこちらも教師ジェルマンと一緒になって興味を惹かれる。
対象となる家庭に入り込み、家の隅々まで嗅ぎまわるクロードは観察する欲望に飢えた異常者のようだ。高校生クロードを演じる、玉木宏似のエルンスト・ウンハウワーの人を吸い寄せるような眼差しが効果的。
書き留めたいという欲求と、指導する立場を逸脱して読みたいという欲望が渦巻き、歯止めが効かなくなりエスカレートしていく様子が、そのまま観ているこちらの好奇心に重なる。まさに危険なプロットに呑み込まれた恰好だ。
高校生クロードの未成熟な魅力と、現実と想像の間で蠢(うごめ)くストーリーに取り憑かれた大人たち。彼らを待っている結束と崩壊の結末まで、よく練られた脚本が面白い。
ヒッチコックさながらの秀逸なサスペンス。
9日、渋谷ル・シネマにて、午前11時15分の回を鑑賞。
15日で終映ということなので、焦って観てきました。
客の入りは悲惨なまでに少なく、一割程度。しかし、内容は買えます。今年、観た映画の中でも最高ランクの作品です。
もし、ヒッチコックが21世紀に生きていたなら、こんな作品を撮ったのではないか、と思わせる秀作です。
高校の国語教師が生徒たちに作文の課題を出したところ、一人だけ抜きん出た作品を書いた生徒がいて、その結末は、続く、で終っていたところからその教師は更に同様の課題を出し続ける、教師の欲求はエスカレートし、同様に、その生徒も教師を挑発するように作文を書き続ける・・・、というのが大まかな筋です。
この作品に関心があって、まだ観ていないという方は会社や学校を休んでも、是非とも映画館に馳せ参じましょう。この監督の代表作「まぼろし」を蹴落として、新たな代表作になる可能性、大です。
配給会社の宣伝力不足もあったのかもしれませんが、どう考えても
一割程度の客の入りは間違っています。
皆さん、たとえ二番館の上映になっても、観に行きましょう!
この映画を観ないで、今年の映画は語れない!最高に面白い拾い物だ
映画や芝居、文学好きは勿論の事、音楽好きの人も含めて、創作活動が大好きと言う人達には、絶対に必見の映画だと思う。特に音楽が効果的に使われていると言う気はしないが、自己のイメージの世界観を表現していくと言うプロセスを非常に巧みに見せてくれている作品であり素晴らし出来の映画だと思う。105分があっと言う間だった。
しかし本作は、私の住む神奈川県内の一部のシネコンでも上映されていたが、この作品の上映も、あっと言う間に終了してしまった事は残念だ。
この作品は、この予想出来ないラスト、作品の主人公である国語教師ジェルマンが教え子のクロード・ガルシアの文才に心を奪われ、翻弄されていくように、私の心も、観客の心も、このクロードの罠に徐々にハマってしまうが、それが快感でたまらない!
しかし、どうしてこんなに面白い作品が、多くの劇場で観られないのか、日本の映画配給業界事情がどうなっているのか、疑問に思うと同時にちょっぴり怒りを憶えた。
ハリウッドの、つまらない映画が幅を利かせているシネコン主流の上映システムの中で、こうしたヨーロッパを始め、その他の国々で制作された作品の中には数々の秀作が有るが、それら秀作の多くは、作品の存在自体を知られないままに、上映が終了し、レンタル化も遅くなり、ついには忘れ去られ、お蔵入りして、朽ち果ててしまう映画も多い。非常に勿体無い事だ。
本作は特に文学のストーリー展開の仕方、映画も同様だが、物語がどの様に組み立てられていくのか?その基本が次々と映画の中で明かされていく。その中で「バタフライエフェクト」の様に一つの出来事の後に起こる、次なる展開の幾通りもの可能性の枠がどう変化する可能性があるのか?その展開が面白くなっていくプロットとは如何なる物なのか、こんなにワクワクする映画も、中々ないと思う。
日本でもフランソワ・オゾン監督は人気が高いと言うけれど、普段フランス映画をあまり観ない私は、彼の作品は「スイミング・プール」「ぼくを葬る」の2本しか観ていなかった。
だが、この「危険なプロット」を観て、私もオゾン監督の大ファンに仲間入りした。
早々「しあわせの雨傘」「Rickyリッキー」など彼の他の作品も観てみようと思う。
本作は、オゾン監督がスペインの戯曲をフランスの高校に舞台を移し、そしてラストシーンも監督独自のアイディアで展開を変更してこの作品を仕上げていると言う。
観客の予想出来なかったラストシーンと言う事では、本当に見事なラストだった。正に「危険なプロット」そのものだった。
本作は先が全く読めない展開、と言う事で、サスペンス映画の面白さの要素が有り、しかもフランス映画ならではの、画面から適度に醸し出される仄かな色気を漂わせて観客の心を見事に物語の中へと招き入れて行くオゾン監督の演出はお見事だ。
流石は、映画の本場のフランスだ、こう言う面白い作品が出て来るのだよね。
それはまるで、主人公のルキーニ演じる国語教師のジェルマンが次第にクロード・ガルシア少年の才気溢れる小説の世界へとのめり込み、翻弄されて、現実と虚構の狭間で完全に溺れて行く様に似ている。
この映画を観ていると、何処となく、ヴィスコンティ監督の「ベニスに死す」を想い起こしてしまう。
クロード役のエルンスト・ウンハウワーと言う新人俳優はこの作品でリュミエール男優新人賞を獲得したと言うが、今後が楽しみな俳優だね。そう言えば、何処か彼はビィヨン・アンドレセンの様な妖しい色気も漂っていた気もする。
クロードが書いた作文の読み上げセリフが軸になって映画が展開していくので、基本セリフが多い為に、沢山出る字幕を読むのが苦手な人、例えばウディ・アレン監督作品のようにセリフの多い作品が苦手なタイプの映画ファンには向いていないかも知れないが、このオゾン監督は、フランスのウディ・アレンと言うところかな?
私はアレン監督も同様好きなので、最高に楽しめる映画でした。
魅力的
主人公の少年クロードの作り出す文章や雰囲気、仕草、行動、そして話の『結末』全てがこの作品の魅力に繋がっています。
気がつけば彼の周囲の人間や、もしかすると観客でさえ、彼の虜も同然の心酔っぷり。
彼の織り成す物語と現実とが綯い交ぜになっていく様が、教師の泥沼化とリンクして気持ちをかき立てられていきました。
ただ、彼の書いた文章の冷ややかな皮肉さや熱い欲望などがニュアンス程度もわからなかった自分の無知が歯痒かったです。
フランス語の機微がわかれば、さらに楽しめるのかな、と。
扱っている題材が『小説』であるだけに、字幕では物足りなく感じました。
女は強くて美しい
高校の文学教師が才能ある一人の学生と出会い、彼の作文を読み進めていくうちに、現実と虚構の狭間に飲み込まれていく。事実なんてどうでもいいと言いきる姿が痛々しい。それに対して、学生の友人の母親や、教師の妻など、年齢を重ねた女性達は、強く美しかった。
オゾン復活!!!
「スイミングプール」でオゾン監督の世界に魅せられ、「エンジェル」で肝心の描写をはしょり表面だけをなぞる描写と雑な仕上がりに落胆を通り越して怒りすら感じ「幸せの雨傘」では可もなく不可もなく、個性もなく、もはや興味を失いつつあったが、久々に日常に潜むタブーと危うい感を孕むオゾンワールドが炸裂する快作!
俳優が楽しそうに演技してるのがイイ!
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