劇場公開日 2013年10月19日

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「二人を翻弄する“危険なプロット”」危険なプロット arakazuさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0二人を翻弄する“危険なプロット”

2015年4月18日
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最初に書いておくと、最近のフランソワ・オゾンの作品の中では抜群に面白かったし、少なくとも私は好きだった。

序盤を観ていると、小説の道を諦めた中年男の文学教師ジェルマンが、碌に文章も書けない“蛮族”の如き生徒の中で、才能の片鱗を感じさせる生徒クロードに出会い、運命を狂わされるという「ベニスに死す」的な展開を想像してしまうが、今作はそう単純ではないところに面白さがある。
宿題の課題“週末の出来事”が、文字通り“危険なプロット”となり、まさに現実が先か?小説が先か?虚実ないまぜに動き始める。二人はこのプロットに翻弄されるのだ。
本当は欲しかったのかどうかはともかくも、子供のいないジェルマンと身体の不自由な父親とはいわゆる普通の親子関係が逆転しているクロードの関係を擬似親子と見ることも出来るかもしれないが、
二人の関係は決して一方的なものではなく、言ってみれば、作家と編集者、共犯関係になっていく。

オゾン作品の主人公としては珍しい中年男。悲観論者で皮肉屋のジェルマンを演じたファブリス・ルキーニ(コメディ要素控えめのウディ・アレン!)がいい味を出しているし、ジェルマンの妻ジャンヌのクリスティン・スコット・トーマス(ダイアン・キートンあるいはミア・ファロー)との掛け合いも絶妙で楽しかった。

arakazu