イノセント・ガーデンのレビュー・感想・評価
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5感をフルに刺激してくれる
ドラマ「プリゾン ブレイク」の主演俳優、ウェントワース ミラーが脚本を手がけたことで、話題を集めた作品。脚本が高く評価されていたので、たくさんの映画監督が志願したが、選ばれたのは今までハリウッドで仕事をしたことがなかった 韓国人のパク チャヌク。この監督はソウル生まれの50歳。「オールド ボーイ」で、カンヌ国際映画祭特別賞を受賞した。この作品は日本の漫画を原作とした残酷シーンの多い復讐劇だが、クエンテイン タランテイーノから、高く評価された。
キャストの二コル キッドマン、ミア ワシコウスカ、ジャッキー ウェバー等、映画の中心人物が そろってオージー俳優なのも、おもしろい。撮影中は、「グッダイ!」で、始まったんだろうな。「グッダイ、アウア ヤ?」(GOOD DAY、 HOW ARE YOU?)とかね。
ストーリーは
街からずっと離れた田舎の大きな屋敷にストーカー家の屋敷がある。父親、リチャードと、母親エベリンと、一人娘インデイアが、たくさんの使用人とともに住んでいる。広大な敷地には森も湖もあり、父親はハンテイングが趣味だ。愛娘のインデイは、幼いうちから父親から狩猟の手ほどきを受けていた。インデイは、誕生日に毎年新しい靴を父親から贈られるのが、習慣だった。
インデイの18歳の誕生日に、父親が車の事故で亡くなる。年頃で反抗期のインデイは母親との折り合いが良くない。父親を心から慕っていたインデイに、喪失感は大きい。そんな父親の葬儀の日に、インデイは初めて、一度も会ったことのなかった叔父を紹介される。チャーリーと名乗る、亡くなった父親よりずっと年の若い弟は、葬儀の日以来、屋敷にとどまり、以来不思議な3人の生活が始まる。ハンサムで優しいチャーリーに、母親エベリンはすぐに心惹かれていく。チャーリーはインデイにも優しい。美術学校に通うインデイは、友達の居ない変わり者。成績はとびぬけて良いが、誰にも心を許さず頑なな様子が、男の子たちの間では、からかいの対象になっている。チャーリーはインデイを学校の送り迎えを買って出るが、インデイはひたすらチャーリーを拒んで無視し続ける。不思議なことに、使用人たちが次々と居なくなる。遠方からわざわざ会いに来てくれた叔母も、チャーリーとの諍いの後で姿を消す。
インデイはつきまとう学校の男の子から、暴行を受けそうになって危機一髪のところでチャーリーに助けられる。チャーリーは当然のように、この男の子を殺害する。インデイは死体を埋めるのを手伝う。インデイが想像した通り、姿を消した女中や叔母も、チャーリーに殺されたのだろう。インデイは激しくチャーリーを憎みながら一方で、自身の理解を超えて異常な性的興奮を感じている。そんな危ない二人の関係を知った母親は、チャーリーをなじりとばし、反対に殺されそうになる。
そんなこんなで、インデイはついに、チャーリーの出現の真相を知って、、、。
というお話。
ストーリーだけを簡単にひとことで言ってしまうと、ストーカー家の異常性格者が次々と殺しまくるだけのお話だ。ただそれだけなので、どしてサイコスリラー映画に分類されている理由がわからない。推理や犯人捜しなど全くない。
しかし、映像作りが、とても凝っている。音の使い方が秀逸だ。シーンごとに聴覚、触覚、知覚をふんだんに刺激してくれる。
葬儀で美しい未亡人が人々に囲まれて、皆に慰められている。それを見ながら、18歳の反抗期真っただ中のふてくされ娘が、台所でガリガリ、ぐしゃぐしゃものすごい音をさせながらゆで卵の殻を割っている。音のない世界で、妖艶な未亡人がいつも人々の中心だ。一方で最大音で 娘が卵をガリガリ、メキメキ、、、。母と娘の対照的な心象風景を 交互に画面で対照的に映し出していて、みごと。上手だ。
だいたい、二コル キッドマンほど喪服とベール姿が似合う女優は他に居ないのではないか。古くは、ジャンヌ モロー、オードリー ヘップバーンなども、喪服の美人だった。二コル キッドマンは、彼女独特の気が強いくせに頼りなく、神経質ですぐにヒステリーを起こしそうな危ない雰囲気が、喪服姿にとてもマッチしている。彼女、夫の葬儀なのにイライラ ギリギリしていて 悲しみに心塞がれた未亡人と思えない。それが証拠に叔父が屋敷に住み着くと、すぐに尻尾を振って男の部屋に入りびたり。本当に悲しんでいるのは娘インデイだけだ。だから、こんな母親が、「こんなときだというのに、どうして私たち分かり合えないのかしら。」などと言ってくれても、娘としては無視するか、せせら笑うことしかできない。当たり前だよね。
ピアノの連弾シーンがある。インデイがピアノを弾いていると、チャーリーが後ろからそっと来て伴奏を始める。二人の連弾が手を交差しながら続けられ、鍵が鍵穴に カチャリと収まるように、二人の嗜好がぴったりと合う瞬間だ。この映画の一番の見せ所だろう。
画面がときどきスローモーションになったりする。そのことによって結構大切なメッセージが誰にでもわかるようになっている。その点、感の悪い人、裏読みのできない人、想像力に欠けていて暗示されていることが読めない人でも、なんかを感じ取れるようになっている。親切だ。
多感なテイーン、父親への憧憬、美しい母への反発、若い男になびく母親への軽蔑と憎悪、ちょっと変わった男への好奇心、過剰な性へのあこがれと嫌悪。これを 全然笑わない女優、ミア ワシコウスカが、いつもふくれ面で上手に演じている。毎年父が贈ってくれた靴が 実は父親からではなかった、という衝撃。靴への偏愛と異常性格者の関係ってわかりやすいかも。
映画の始めのシーンで、赤い花が出てきて、「花は自分で色を選んだりすることができない。」というインデイのナレーションがある。それが、最後の最後で白い花が 血しぶきが飛んで赤く染まるシーンで終わる。「ふむふむ、、なるほどね。」と いうふうにわかるようになっている。
花は自分で色を選べない。人は生まれを自分で選んで生まれてこれない。悪い血統の家に生まれれば その遺伝子は受け継がれていく。叔父の病は姪にバトンタッチされ、えぐい大量殺人は止まらない、というわけだ。
アートな映像、視覚、聴覚、触覚をフルに刺激してくれる画面作りには感服する。だけど、こういう映画が大好き というような人とはあまり友達になりたくない。
緊張感のある演出
撮影や編集、演出が徹底した美意識に基づいて作られていることが感じられ、本来そういった趣味ではではないのだが、すばらしく高級なものを見ている感じがして気持ちがよかった。
主人公のインディアがすごく変わり者であり、その孤独さに共感を抱いてみていたのだが、最終的に狂人だったことが判明して残念だった。お母さんがとにかく嫌な人で、大丈夫かよと思っていたのだが、そうなると唯一まともな人間らしかったお父さんも怪しくなってくる。
途中まですごく面白かったのに、おじさんが精神病院出たてのキチガイだったことが分かってかなりがっかりした。そんな人物があんなにスマートに振る舞えるとは思えず、リアルじゃないと思った。もうちょっといいアイディアはなかったのだろうか。
冒頭で「自分で選ぶことをやめると生きるのが楽になる」というようなとてもいい事をモノローグで語っていて、それに対して選ぶことをやめることができないお母さん、彼女は女であることを持て余し、押しつぶされそうになっている感じすらする生々しい女だった。そんな図式がとてもよかった。
主人公がお父さんを亡くして悲しみをこらえていると思っていたら実はあんまりそいった人間味のない人物だったのかよく分からなくなってしまった。ヤンキーの同級生が殺されて動揺したり怯えているのかと思ったら、そういうのがないまぜになっていたのかもしれないけど、性的に興奮していたのも驚いた。
結末で、インディアは嬉々として警官を殺す。異常者としてそうせざるを得ない苦しみや悲しみなど全くないようで、すがすがしくはあるのだが、異常者としての慎みを持ってほしかった。
ちょっと残念なところはあったのだが、最後まで緊張感がとぎれず面白かった。ニコールと娘は全く血のつながりがありそうには見えなかった。
五感を刺激される作品
ストーリー運びの巧みさもさることながら、主人公の聴覚や触覚などが画面から伝わってくるような繊細な描写が見事。中盤以降はどこまでが現実でどこからがメタファーなのか曖昧になってきていろいろな想像の余地を残す。
官能サイコ。
ひたすら気味の悪い話を美しい俳優が艶かしく演じることで
サイコな見せ場に官能美すら漂わせてしまっている異色作。
あの復讐三部作のパク・チャヌク監督、ハリウッドへ行っても
変わらず自分の世界観にこだわり、貫いているところはさすが。
しかしタイトル(原題)を普通に日本人が読んでしまうと、つい
名字(ストーカー家)ではなくて、つきまとう方を浮かべちゃう。
で、それがあとで意味が繋がることに感心したりして。
まぁ邦題は邦題で、これにも意味があるので…いいんですが。
しかし美しい主役の御三方。
M・ワシコウスカって、ゴメンなさい、初めて見た時からこの子は
腹に一物抱えているような、ちょっとそんな雰囲気を感じていて
先日観た「アルバート氏の人生」で、あ~やっぱりこっちが似合う
なんて思ってしまったクチ。なので今回の役もよく似合っている。
どう見ても清純・可憐なイメージは私にはない。
ある意味子供の頃からちょっと違う、気味の悪さを抱えており、
単に美しいだけのおバカさんな母親(ゴメンなさい、ニコール)
とは全く違うベクトルで生きている。
で、その母親は美しい美しいN・キッドマン。彼女の口癖が、
どうして分かりあえないの!なんだけど、余りに違いすぎるのよ。
ある意味エキセントリックな性格のお母さん、突然現れた叔父に
クラクラきちゃうのも実にあり得そう。叔父が御執心なのは、
性格の合わない娘の方だと知った時の、あの絶望に満ちた
顔のドアップ!が、また美しいこと!どうしましょうね~ホント。
そして謎の鍵を握る叔父、M・グード。これもイケメンだなぁ。
いつ瞬きしてるんだ?と思わせるほどの瞳とその眼差しの行方。
あまりに開きっぱなしで(今作では)ちょっと気味悪いんだけど。
どんなにサイコなストーリーも、
彼らが演じるだけで格調高く仕上がっているのが頼もしく、
その殺人場面や、二人で連弾場面も、やたら官能的でエロい。
内面から絞り出そうとするその色気の使い方がホントに巧み。
もっと謎が多い話なのかと思いきや、
過去の名作や名監督へのオマージュ?も感じられる分かり易さ。
次にどうなるかもだいたい観てとれるし、おそらく観客が待って
いるのはそっちじゃなくてこっちだよね!?をお見通しの演出。
主人公インディアの本性が露呈されて以降は、
さぁどうやって隠そうか、逃げようか、戦おうかという三狂気。
冒頭の場面と、彼女の変な動きが重なった時、うわぁ~!って
嬉しくなるか、気持ち悪くなるか、どっちになりましたかね…^^;
そもそもストーカー家の血筋を分かっていたお父さん。
なんで娘に狩猟の方法をしっかり教えこんだりしたんだろうか。
(やれ!って言ってるようなもんだよね。才を磨いてどうする)
奥さんには弟のことはまったく話してなかったってこと?
病院施設をなんで退院させたの?どう見ても危ないだろーが。
…と、D・マローニーを質問攻めにしたくなる鑑賞後ですが、
いかんせん、血筋っていうのは…やはりあるものなんでしょうか。
怖い、怖すぎる~。考えたくない~。
(つい親戚筋の顔ぶれを浮かべてしまいました。似てません!?)
無垢な少女が染まったものとは?
異常なほど研ぎ澄まされた感覚を持つ少女が、自身に流れる血に目覚めていくようすを、そのおぞましさとは真逆の美しい映像で紐解いていく。
冒頭の「花は自由に色を選べない」という語りの意味がラストで明らかになる。はたして、白(無垢)だった花(少女)が染まったものとは?
自身の変化に恐怖と陶酔を覚える少女インディアをミア・ワシコウスカが見事に演じる。彼女はいずれアカデミー賞を獲るだろうと「アリス・イン・ワンダーランド」を観たときからずっと言い続けている。
突然現れる謎の叔父チャーリーにはマシュー・グード。その端正なマスクの下に隠された狂気の暴走は、「サイコ」のアンソニー・パーキンスを想起させる。
インディアと打ち解けない母親エヴィを演じるニコール・キッドマンは、どちらかというとゲスト出演的な位置づけだ。とくにどうということはない演技で乗り切る。
元夫のトム・クルーズが主演する「オブリビオン」が同じ日に公開されたが、図らずも67年のヒットナンバー(曲は違う)が両方に使わているのが面白い。
本作ではナンシー・シナトラ&リー・ヘイズルウッドの「サマー・ワイン」が、チャーリーが仕掛けた罠とも知らず、ワインに身を任せて踊るエヴィを嘲笑うかのように鳴り響く。
予告篇を見て吸血鬼に目覚める話かと思っていたが違っていた。もっと現実的で怖い話だ。
亡き父の思い出に浸る靴の羅列や、庭に点在する丸い巨石などアート的な描写が多いが、構図としては平凡。
サイコ映画じゃん!
見たことのないラブシーン。
初めから、この映画は何か特別だと思わせる小細工に満ちていた。たとえば、主人公(ミア・ワシコウスカ)の動きに合わせて止まったり消えたりする、冒頭のクレジット(キャストの名前)。背景と一体になり、非常に面白い。そして、最後のクレジットが、下からではなく画面の上から降りてくるという何とも言えない小細工に、つい微笑んでしまう。
必見シーンは、チャーリーとインディアの連弾のシーン。互いにほとんど触れることなくここまで官能的で、刺激的なラブシーンが演出されていることに感動。
ニコールキッドマンの演技が素晴らしい。
もちろん、マシュー・グード、ワシコウスカも◎
監督の撮影技法、細かい演出は素晴らしく、何度も見たくなる。
最後は少し納得いかないけど、いろんな選択肢が後から想像できるので、まあこれもよしかなと思う。
・・・ん?
ストーカー家、チャーリーは幼くして実の弟を殺して精神病院へ。
彼は退院と同時にさらに実の兄も殺してしまう。
その殺された兄の娘、めいのインディアは、
おじとの出会いで、彼をも凌駕するマジキチに覚醒していく・・・。
おおまかなストーリーはこんなところでしょうか。
チャーリーはインディアの素質?遺伝?みたいなものを
最初から知っていたかのようでしたが、
一度見で納得できるような話の展開や描写がこの作品には
足りなかったような気がします。
約100分の作品では、観る人の想像力の如何で評価わかれてしまいます。
連続ドラマだったら内容も膨らみ、もっと面白くなったのではと思いました。
原題「Stoker(ストーカー)」、邦題は「イノセント・ガーデン」。
原題まんまの日本語だと作品内容とかけ離れてしまうので、
あの屋敷の・・・には無数の・・・があるから、なのでしょうか。
これには納得しましたが・・・
結局なんだったんだろう?
映像の質感やシークエンスは好きだけど
どうもストーリーに脈絡がないと言うか
主人公の叔父に対する
気持ちの変化が
どうにも理解が出来なかったです
脚本が絶賛されてたらしいけど
期待はずれでした
単に私の感性が鈍いだけですが
一番乗り!
まさに鬼才という感じの監督だ。陰影のあるカメラワークが良い。三男を生き埋めにして殺し、病院送りとなった次男チャーリーは、長男の娘インディアの18歳の誕生日に退院。長男に受け入れてもらえなかったことから、長男を殺害。その後も親族や学友が次々と殺されていく。ニコールキッドマン演じるインディアの母が殺される寸前、インディアはチャーリーを射殺。インディアにはチャーリーと同じ血が流れているのだった。
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