イノセント・ガーデンのレビュー・感想・評価
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白い少女が赤く染まる
毎年誕生日に広大な庭の何処かにプレゼントを隠してくれる最愛の父を18歳の誕生日に亡くしたインディア。母と参列した葬儀で消息不明となっていた叔父が現れ、一緒に暮らし始めるが、不可解な出来事が起こり…。
韓国の鬼才、パク・チャヌクのハリウッド進出作。
ヒッチコックの「疑惑の影」のような叔父は何者か?…というミステリーでもあるが、少女の内面に迫った異色作でもある。
父を失った悲しみ、叔父への淡い想い、不安、葛藤、心の闇…。
それらを美しい映像で描き、官能の匂いが漂う。
ミア・ワシコウスカを見る為の映画。
その白く透き通った美貌に魅せられる。
冒頭、印象的だった美しい赤い花。
ラストで分かる花が赤い理由。
無垢だった少女の象徴。
なかなかいいね
静かなストーリー展開 殺人鬼の叔父が父を殺し家に来てキッドマン演じるエロそうな母といちゃつき、それを感じる娘の心に変化を与えラストでは娘が叔父を殺しサイコパスになり家出する。そんなにチョー深いわけでも楽しいわけでもないがまあなかなかいい青春映画と言える。
耽美
パク・チャヌクの耽美な世界観と映像美を目にして、背筋がゾクゾクしてしまいました。過去作よりも、上品でエロティックで韓国の粗雑な感じが抜けていたので、正にハリウッドデビュー作にふさわしい作品だと思いました。
内容はありきたりなサイコなので、ストーリーを楽しむというよりも、「感覚機能を全開に出来る気持ち良さ」に酔える作品ではないでしょうか。
些細な音や目で捉えたものにも敏感に反応してしまう、インディアの繊細な感受性と危うさ。官能的なピアノの旋律と物々しい風景。
狂気の中にある美しさがカットバックやフラッシュバックにより増長されるなんとも甘美的なカメラ。
作品の狙いは、血なまぐささで得るエクスタシーの「絶対的な美しさ」にあると思います。この点は、好みが分かれるところかと。
韓国の映画作家の恐ろしさを堪能できます。
不思議
全く前知識なしにみてみたんですが、すごく摩訶不思議な映画という印象です。
ストーリーとしてはありきたりですが、それを不思議な少女と怪しい叔父さんが魅せてくれます。
映像の作りも、途中途中に関係あるようなないようなカットが入り込んでくるので、そこがまた不思議で奇怪で猟奇的な雰囲気をかもしてましたね。
観終えてみると個人的には血が嫌いなので苦手なジャンルでしたが、映画ぽい映画と言いますか芸術性のある作品ではないかと思います。
映像美
十八歳の誕生日に愛する父を失い代わりに現れたのはあったこともない叔父。そして周りから次々に人が消えてゆく。
パク・チャヌク監督の魅力が物語の展開と映像美に存分に見られた。
主演のミア・ワシスコスがこのアブノーマルな世界を描くのにぴったり合った演技で惹きつけられた。
魅惑的。また観たくなりそう。
キャッチコピーを見てたら〝若さゆえの衝動〟とかちょいエロなのかと思ってました。
主人公、インディア・ストーカーはすごく気難しい性格で周囲と馴染めない、馴染もうとしない(とくに母親と)よくある思春期の女の子なのかと思っていたけど、違った。
豊かな自然に囲まれた古めかしいお屋敷で迎えた18歳の誕生日、その日に事故死してしまう父親、突然現れた存在を知らされていなかった叔父さん。
そして叔父さんが現れてから起こる不可解な出来事…。
話が進むに連れ、怪しいのは叔父さんだけでなく、主人公の特異さやエピソードがいろいろインパクトに残る。
例えば、美術の時間に静物画を描くときも、インディアだけ花瓶の内側に施された柄を延々と書き続けている…とか、
知らないはずの叔父さんの幼少期と同じ動作とか…、自分にとって都合の悪い存在への加容赦のなさとか…。
エクスタシーを感じるポイントが人と違うこととか…。
普通の女の子と同じところと、違うところの入り混じったところがインディアの魅力!
とにかく映像がきれい。小物からなにから、意味のある意味深さで終始ミステリアス!
キャッチコピーやタイトルで見た目だおしかとなめてかかってました。
数年しても、観た人同士で話が出来る(多分、盛り上がる)鮮烈な一本でした。
…さりげなく映画冒頭に繋がってたりするのがうまい。はじめのモノローグもいい。
最後のインディアの表情とか、超アップで風になびく髪とか…、美しいです。
ニコール・キッドマンやマシュー・グードなど、強烈な俳優さんに囲まれてますが、『アリスインワンダーランド』のアリスよりもぐっと魅力的なミア・ワシコウスカの今後が楽しみです!
見てないものすごくたくさんあるのでそちらも楽しみ。
追記:原題と主人公一家の名字で実は遺伝による家系的な狂気が要因ってわかるのだけど、そこはそれ、変質者の意味のストーカーと勘違いされそうだし、見る前からネタバレになりかねないから邦題は「イノセント・ガーデン」に変えたのかなぁ?と思う。
あとでそう考えたら、あの邦題でよかったのかも。
字幕→一部シーン見直す際に吹き替えにしましたが、坂本真綾さんの吹き替えも秀逸。
エンディング曲も素敵です。
ぞっとするけど目が離せない…。
そんな一本です。
血の継承と覚醒
殺人者としての血の継承と、
殺人者としての覚醒。
少女と女の狭間で、自らの身体に流れる血に目覚めるインディア。
硬質なミア・ワシコウスカはインディアのイメージにピッタリだ。
謎めいた父親の弟チャールズと夫を亡くした母親が一緒にいるところを複雑な表情で見るインディア。
チャールズとインディアが連弾するシーンの官能。
美しいシーンがたくさんあるのは事実だが、
驚きはない。
脚本のウェントワース・ミラーはブラム・ストーカーとヒッチコックの『疑惑の影』に影響を受けたそうだが、そのまんまのストーリーだ。
チャールズには当初コリン・ファースがキャスティングされていたそうだが、コリン・ファースの方が驚きという意味で良かったかもしれない。
マシュー・グードの胡散臭さは好きだが、この作品の場合、あまりにも最初から怪しすぎる。
主役はあくまでもインディア=ミア・ワシコウスカであるべきなので、母親役ニコール・キッドマンでは大物過ぎたかもしれない。
上手いけれど、あくまで脇に徹する女優をキャスティングしたかった。
パク・チャヌクのハリウッド・デビュー作だが、私がパク・チャヌクに求めるのはもっとドロドロした“怨”の世界だったのかなと思う。
噎せ返るような淫靡で官能的な作品。
非常に良かった。
噎せ返るような淫靡で官能的な映像が流れ、作品に惹き込まれました。
その官能的な画面を担っていたのが役者陣と演出。
まず役者陣。
主役のミア・ワシコウスカのアンバランスさが最高。
現在23歳の彼女がキチンと思春期の不安定な女子に見えてくるから不思議。
序盤は『ガタイの良い、ケツアゴ女かっ!!』と思っていたのですが、物語が進むにつれてドンドンと危ない魅力に溢れていきます。
母親役のニコール・キッドマンも好きでした。
妻であり、母であり、女であり。
これまで縛られてきた一つの側面から解放されることで押さえていた別の側面が現れてくる。
外へと救いを求める彼女が或る光景を目にした際の狼狽。
そして、嫉妬と絶望。
観ていてグッとくるものがありました。
演出も良かったです。
五感が異常に鋭敏なインディアの世界を共有させるために映像が微妙にスローとなり、音が若干大きく間延びして聞こえる。
流れる映像と音に集中し、登場人物の微妙な表情の変化や音がもたらす違和感に惹きつけられます。
アンバランスな魅力。
そしてバランスを崩し、振り切ったが故の魅力。
十二分に楽しめると思います。
オススメです。
ナイスな組合わせ
映像もイイが、何気ない生活音の重なりがゴージャス。そういう所が(良い意味で)癇に障って楽しいなあと思う。
「靴擦れ」と「ピアノ」でグッとこさせるミア・ワシコウスカ素晴らしい。オジマンディアスなマシュー・グードは瞳孔開きっぱなしな感じが良かった。
ヒッチコック『疑惑の影』の「チャーリー叔父さん」「The Merry Widow」といった設定は借りつつも、脚本家がやりたかったのは別の事。そういう人を喰った所も良い。監督さんも余白の多い脚本に色々付け足して、更に違った印象に。結果、本作プロデューサー、リドリー・スコット好みな着地点。それを見越しての脚本&監督の起用か。ナイスな組合わせと思う。
そんな諸々を大袈裟にしすぎずジャンル映画の枠内に納めた余裕もナイス。
エロス
最高だった・・・
演出が素晴らしい
オープニングのキャプションからしてイイ感じ
全体的にどこか古めかしく幻想的なのに妙に生々しい
ヨーロッパ系のような美麗さを持ちつつも不穏な空気
潜む狂気を自覚していく過程を象徴的なカットや複数場面の映像と音声の被せ合い等で魅せる映像
ミア・ワシコウスカの閉じこもった心が解き放たれたシーンの描写はとても綺麗である
美しさの中に不安定さを孕む音楽で魅せる
大好きな映画です・・・
意味不明だが面白い
まず主役のミワ・ワシコウスカがいい。
それですべてがもってる映画。
純粋無垢と狂気の間を行き来して錯綜するため観客を混乱させる。
結果、何が言いたかったか分からない。
でもそれでいい。
彼女の表情を観ているだけで飽きないから。
裏切らない。
パク・チャヌクはハリウッドでも裏切らない。全編何かが起こりそうな不気味な雰囲気を醸し出してドキドキして見ることが出来た。パク・チャヌク監督は血筋とか血縁ネタが好きなのかな?
よく解からん
何だろうね、雰囲気たっぷりの映像と音楽で魅せるキワモノストーリーだよね。「オールドボーイ」は話自体が直線的で解かりやすかったけれども、これはナンダロウ。サイコ・スリラーって受け止め方でよろしいんでしょうか?そうじゃないって云われると訳わかんなくなるんですが。それにしてもあの雰囲気たっぷりの映像はすごいですね。ミア・ワシコウスカのムスッとした顔の表情をズーっと抜く画面が多いですが、あれはあれで良いですね。母親演じる二コール・キッドマンが「あなたは誰?なぜ母親に懐かないの」と問いかけるシーンがありますが、あの二人の関係のあり方の説明って無かったですよね。インディアは何故あれほど母親と距離をおくのかイマイチ解かりません。叔父が現れ三人の関係はどうなっていくのだろうと思っていたら、あっさり叔父の正体を見せるシーンがありますね。ただ、単にそれだけの話だったんですか。まぁパク・チャヌク監督を信頼して観ましたが楽しめたのは事実です。
狙いすぎかな
怪しさを狙いすぎてるきがします。
面識のない姪っ子を赤ちゃんのころから情をだいてる意味もいまいちピンとこない。
チャールズが快楽殺人系なのか、自己中心的な殺人をしてしまっているのかもよくわかりません。成り行きと人格の気持ち悪さがいまいち伝わってこなかった。
冷蔵庫シーンは怖くて良かったです。
5感をフルに刺激してくれる
ドラマ「プリゾン ブレイク」の主演俳優、ウェントワース ミラーが脚本を手がけたことで、話題を集めた作品。脚本が高く評価されていたので、たくさんの映画監督が志願したが、選ばれたのは今までハリウッドで仕事をしたことがなかった 韓国人のパク チャヌク。この監督はソウル生まれの50歳。「オールド ボーイ」で、カンヌ国際映画祭特別賞を受賞した。この作品は日本の漫画を原作とした残酷シーンの多い復讐劇だが、クエンテイン タランテイーノから、高く評価された。
キャストの二コル キッドマン、ミア ワシコウスカ、ジャッキー ウェバー等、映画の中心人物が そろってオージー俳優なのも、おもしろい。撮影中は、「グッダイ!」で、始まったんだろうな。「グッダイ、アウア ヤ?」(GOOD DAY、 HOW ARE YOU?)とかね。
ストーリーは
街からずっと離れた田舎の大きな屋敷にストーカー家の屋敷がある。父親、リチャードと、母親エベリンと、一人娘インデイアが、たくさんの使用人とともに住んでいる。広大な敷地には森も湖もあり、父親はハンテイングが趣味だ。愛娘のインデイは、幼いうちから父親から狩猟の手ほどきを受けていた。インデイは、誕生日に毎年新しい靴を父親から贈られるのが、習慣だった。
インデイの18歳の誕生日に、父親が車の事故で亡くなる。年頃で反抗期のインデイは母親との折り合いが良くない。父親を心から慕っていたインデイに、喪失感は大きい。そんな父親の葬儀の日に、インデイは初めて、一度も会ったことのなかった叔父を紹介される。チャーリーと名乗る、亡くなった父親よりずっと年の若い弟は、葬儀の日以来、屋敷にとどまり、以来不思議な3人の生活が始まる。ハンサムで優しいチャーリーに、母親エベリンはすぐに心惹かれていく。チャーリーはインデイにも優しい。美術学校に通うインデイは、友達の居ない変わり者。成績はとびぬけて良いが、誰にも心を許さず頑なな様子が、男の子たちの間では、からかいの対象になっている。チャーリーはインデイを学校の送り迎えを買って出るが、インデイはひたすらチャーリーを拒んで無視し続ける。不思議なことに、使用人たちが次々と居なくなる。遠方からわざわざ会いに来てくれた叔母も、チャーリーとの諍いの後で姿を消す。
インデイはつきまとう学校の男の子から、暴行を受けそうになって危機一髪のところでチャーリーに助けられる。チャーリーは当然のように、この男の子を殺害する。インデイは死体を埋めるのを手伝う。インデイが想像した通り、姿を消した女中や叔母も、チャーリーに殺されたのだろう。インデイは激しくチャーリーを憎みながら一方で、自身の理解を超えて異常な性的興奮を感じている。そんな危ない二人の関係を知った母親は、チャーリーをなじりとばし、反対に殺されそうになる。
そんなこんなで、インデイはついに、チャーリーの出現の真相を知って、、、。
というお話。
ストーリーだけを簡単にひとことで言ってしまうと、ストーカー家の異常性格者が次々と殺しまくるだけのお話だ。ただそれだけなので、どしてサイコスリラー映画に分類されている理由がわからない。推理や犯人捜しなど全くない。
しかし、映像作りが、とても凝っている。音の使い方が秀逸だ。シーンごとに聴覚、触覚、知覚をふんだんに刺激してくれる。
葬儀で美しい未亡人が人々に囲まれて、皆に慰められている。それを見ながら、18歳の反抗期真っただ中のふてくされ娘が、台所でガリガリ、ぐしゃぐしゃものすごい音をさせながらゆで卵の殻を割っている。音のない世界で、妖艶な未亡人がいつも人々の中心だ。一方で最大音で 娘が卵をガリガリ、メキメキ、、、。母と娘の対照的な心象風景を 交互に画面で対照的に映し出していて、みごと。上手だ。
だいたい、二コル キッドマンほど喪服とベール姿が似合う女優は他に居ないのではないか。古くは、ジャンヌ モロー、オードリー ヘップバーンなども、喪服の美人だった。二コル キッドマンは、彼女独特の気が強いくせに頼りなく、神経質ですぐにヒステリーを起こしそうな危ない雰囲気が、喪服姿にとてもマッチしている。彼女、夫の葬儀なのにイライラ ギリギリしていて 悲しみに心塞がれた未亡人と思えない。それが証拠に叔父が屋敷に住み着くと、すぐに尻尾を振って男の部屋に入りびたり。本当に悲しんでいるのは娘インデイだけだ。だから、こんな母親が、「こんなときだというのに、どうして私たち分かり合えないのかしら。」などと言ってくれても、娘としては無視するか、せせら笑うことしかできない。当たり前だよね。
ピアノの連弾シーンがある。インデイがピアノを弾いていると、チャーリーが後ろからそっと来て伴奏を始める。二人の連弾が手を交差しながら続けられ、鍵が鍵穴に カチャリと収まるように、二人の嗜好がぴったりと合う瞬間だ。この映画の一番の見せ所だろう。
画面がときどきスローモーションになったりする。そのことによって結構大切なメッセージが誰にでもわかるようになっている。その点、感の悪い人、裏読みのできない人、想像力に欠けていて暗示されていることが読めない人でも、なんかを感じ取れるようになっている。親切だ。
多感なテイーン、父親への憧憬、美しい母への反発、若い男になびく母親への軽蔑と憎悪、ちょっと変わった男への好奇心、過剰な性へのあこがれと嫌悪。これを 全然笑わない女優、ミア ワシコウスカが、いつもふくれ面で上手に演じている。毎年父が贈ってくれた靴が 実は父親からではなかった、という衝撃。靴への偏愛と異常性格者の関係ってわかりやすいかも。
映画の始めのシーンで、赤い花が出てきて、「花は自分で色を選んだりすることができない。」というインデイのナレーションがある。それが、最後の最後で白い花が 血しぶきが飛んで赤く染まるシーンで終わる。「ふむふむ、、なるほどね。」と いうふうにわかるようになっている。
花は自分で色を選べない。人は生まれを自分で選んで生まれてこれない。悪い血統の家に生まれれば その遺伝子は受け継がれていく。叔父の病は姪にバトンタッチされ、えぐい大量殺人は止まらない、というわけだ。
アートな映像、視覚、聴覚、触覚をフルに刺激してくれる画面作りには感服する。だけど、こういう映画が大好き というような人とはあまり友達になりたくない。
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