ワレサ 連帯の男のレビュー・感想・評価
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私に劣等感は無い
1979年 ソ連 アフガニスタン侵攻
1980年 ポーランドに連帯創設
1982年 ブレジネフ死去
1984年 アンドロポフ死去
1986年 ゴルバチョフ就任
1986年 チェルノブイリ原発事故
1989年 ベルリン壁崩壊
1991年 ソ連崩壊
こんな年表になる。
ソ連が崩壊した理由の一つにワレサの活躍を無視することはできないが、
1979年のアフガニスタンの侵攻の失敗が崩壊の一歩である事は直ぐに理解できると思う。そして、大変に残念で悲しい事だか、チェルノブイリの事故が崩壊の大きな部分を占めていると合わせて理解すべきだ。反ユダヤ主義者とも言えるKGBのアンドロポフが短命だった事と、ゴルバチョフになった途端の事故であった事も、歴史は物語を事実として紡いでいる。
そして、ワレサが評価された一番の理由は彼が敬虔な『カトリック信者』であったと言う事だろう。
レーニン、スターリン、フルシチョフ、ブレジネフ、とソ連のボルジェビキは続いたがロシア人は一人もいない。カルムイク系ロシア人、グルジア人、ウクライナ人、ウクライナ系ロシア人と続いている。アンドロポフとゴルバチョフがロシア人と言う事になる。しかし、彼ら(アンドロポフとゴルビーさん)がグラスノスチとかペレストロイカと言い出すのだ。つまり、彼らの持つ信念と言うよりも、必要に迫られてそうせざるを得なかったと思うべきだ。勿論、それで、正解だと思う。それが、歴史を理解出来る指導者の思考だと思う。
絶滅寸前の大和民族のかの国の指導者は歴史を熟知しているのだろうか?似たような状況に落ちて10年以上経っているのに、状況は悪くなる一方だと感じる。
成金野郎とは大違い
ポーランド自主管理労組、連帯。
その初代委員長でポーランドの民主化に尽力した元大統領、レフ・ワレサ。
どれも初めましての言葉どころか、ポーランドの歴史も露知らず。
非常に政治色の濃い作品だが、レフ・ワレサの行動力には感銘受けるものがあった。
最初から政治の中に居た訳ではなく、元々は労働者階級。
その為、貧困、圧政に抑えつけられる苦しさ、一市民の“届かぬ声”を自らの肌で感じている。
それが国を変える、動かす最大の原動力。
どっかの成金野郎が大統領になるのとは雲泥の違い。
ポーランドの名匠アンジェイ・ワイダが2013年、87歳の時に手掛けた作品。
実録映像も挿入し、その力強い演出には老いを一切感じさせない。
“ポーランド”を描き続けてきたポーランドの名匠が、撮るべくして撮った力作。
“普通”の男の現実的な闘い
勿論「連帯」のワレサ委員長の名前くらいは知っていたが、彼がその地位に上り詰めるまでどんな経緯があったのかについては、恥ずかしながらほとんど知らなかった。
今作を観てちょっと驚いたのは、レフ・ワレサという人が意外なほど“普通”の男だったことだ。
小さな村の出身で、グダンスク造船所で電気技師として働き、妻と子を養う男。
子どもの世話も妻の家事の手伝いもする普通の男。
「誰も言わないから自分が言う。誰もやらないから自分がやる」
彼の行動原理はいたってシンプルだ。
そういう中で、次第に彼がリーダーになっていったのは何故か?
ひとつは、何度仕事をクビになっても、何度逮捕されても諦めなかったこと。
そして、彼自身が労働者の一人であり、真に労働者の代表だったからだと思う。
「家族にもっといい暮らしをさせたい。」
イデオロギーなんてともかく、労働者の現実的な要求で政府と交渉を続けたからこそ、多くの人の共感を得られたからだと思う。
監督のアンジェイ・ワイダは89歳。
作品はとてもエネルギーに溢れ若々しい!
電気工から大統領へ
アンジェイ・ワイダ監督が「ワレサ」をつくったという。
ワレサと言えば随分、むかしの人のような気がしたのだけれど、
まだ現代史に残るような人なんですよね。
東西冷戦の突破口を開いたというポーランドの「連帯」運動を導いた。
一介の電気工だった男が、後の大統領にまで登っていったのだけど、
特にものすごい能力があったわけではない。
すごい信念があったわけではない。
あるのはその場に応じた反射神経というべきものだったのではないか。
思想的、観念論的に動いていたわけではなかった。
リアリスト、それが結果的に正しかった。
それと、彼を支えた妻の姿がいたからこそ、進めていけたのだと思う。
でも、ワレサも妻も取り巻く環境に戸惑いながら、迷いながら、
自分たちの立場を認識していく。その姿を克明に描いたアンジェイ・
ワイダ監督の執念のようなものを感じた映画だった。
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