劇場公開日 2014年2月15日

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「エージェント:ライアン御夫妻」エージェント:ライアン 浮遊きびなごさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5エージェント:ライアン御夫妻

2014年2月17日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

楽しい

興奮

CIA情報分析官ジャック・ライアンの活躍を描いた
社会派サスペンスアクションシリーズを、
新『スタートレック』のクリス・パイン主演でリブート。

アメリカでの成績がイマイチだったので若干不安だったが、
いやいや、十分楽しませてもらいました!
舞台や美術には『007』を思わせるきらびやかさがあるし、
アクションシーンや情報分析シーンもスマートでスピーディ。
観て損ナシの3.5判定で。

とはいえ、過去の『ジャック・ライアン』シリーズのような、
社会経済を色濃く反映したサスペンスは期待しない方が良いかな。
社会派サスペンスというよりは、社会派要素が
ちょっと強めのスパイアクション、といった印象。
アクションのスケールも『007』シリーズと
『ボーン』シリーズの中間くらいだと思う。

* * *

今回のライアンは若いだけあって今までで最もアクティヴ。
ある事件で軍人としてのキャリアを断たれたとはいえ、
格闘もそこそこ強いし、足やバイクで街中を走りまくる。

個人的には頭脳明晰だが腕っぷしや生活ぶりは庶民派な
ハリソン・フォード版ライアンが一番好きなのだが、
今回のライアンは頭の回転はムチャクチャ早い上に
そこそこ動けるシャープなヒーローになっていて悪くない。

演じたクリス・パインっていまいちインパクトが薄くて
主演に向かない役者さんに思えるのだが、それでも今回は
今までの主演作で一番“主演”していた。
クライマックス前の、敵の動きを予測するシーンなんて
頭の回転が早過ぎてヴーンと唸りを上げている感じ。

最近は小規模作品への出演が多かったキーラ・ナイトレイも
芯の強いヒロイン・キャサリンを好演。中盤での活躍なんて
主演を差し置いて『エージェント:キャサリン』状態。
素人なのにメンタル強すぎだと思うんすけど(笑)。
あとはコスナーさんもブラナーさんも堅実な存在感。

* * *

とはいえこの作品、予告編や宣伝で煽りすぎな部分があって、
それを信用し過ぎると評価が下がってしまうパターンだと
思うので、これからご覧になる方はご注意を。

まず、宣伝で伝えられている『婚約者や上司が
怪しい行動を見せる』なんて描写はないです。
誰も信用できない!とか、裏切り者は一体?みたいなスリルは
求めない方が無難かと。

あと、予告編ほどハデな印象も無いかな。
予告で確認できた爆破シーンが本編では3箇所ほども
削られている。話の流れにそぐわなかったのだろうが、
アクション映画の華である爆破シーンが少ないのは残念な点。

一番の謎である世界同時経済テロの方法も、予告編で
煽っているほどの意外な方法では無いので、そこも残念だ。
むしろアクション映画ではありふれたパターンですらあるかも。

* * *

総じて展開も早いし面白い映画だと思うのだけど、
他のスパイアクションよりも
飛び抜けているという印象は無い。
対決の図式や物語のスジ、アクション演出に
新たな驚きが少ないせいだろう。

ただ、新ライアン&キャサリンのキャラクターは楽しめた。
エージェント活動ときどき夫婦ゲンカ(笑)。
もっとこのキャラクター達の活躍を観てみたい気がする。
けど前述通り、アメリカでの成績が芳しくないので
続編は難しいかも知れないかなあ。

〈2014.02.15鑑賞〉

浮遊きびなご