「雨が降ります、雨が降る。パラパラとザーザーと。でも、その後は晴れるから。」言の葉の庭 Mr.C.B.2さんの映画レビュー(感想・評価)
雨が降ります、雨が降る。パラパラとザーザーと。でも、その後は晴れるから。
2025.12.2(火)
MOVIX川口のリクエスト上映で「君の名は。」を観られたので順序が逆になったが、
Amazonプライムで「言の葉の庭」を。初見。
2007年の「秒速5センチメートル」に比べれば2016年の「君の名は。」の方が風景描写は優れていた(当たり前か)。
2013年の「言の葉の庭」では、そのかなりの部分を占める雨の風景が素晴らしい。雨の滴の表現は実写並かそれ以上(?)である。美しいのだ。
新海誠は、省略の表現者だと思う。
「秒速5センチメートル」の第3話などはかなりのスピードで展開され多くの部分が省略されている。予算的制約(当時はまだヒット前だ)もあり上映時間が63分だが、逆に省略した短いカットを連ねる事でテンポが早くなっている。
例えば、種子島空港を飛び立つ飛行機を見送る花苗の姿がワンカット入るだけ。でも、その意味する所は理解出来る。
水野に至ってはワンカットのみ、あとはメールの文面だけ。省略し過ぎ。
本作も上映時間が46分だが、話を膨らませれば膨らませられる要素はある。
靴職人を目指すきっかけ、雪野が別れた理由、雪野に対する誹謗中傷の原因等の深掘りで話はいくらでも広がるのだが、そんな事を描くより(省略)二人の時間と雨の表現に時間を割いている。だから46分で収まる。
吹き込む大雨の中、マンションの外階段を走って追いついたタカオと対峙した雪野は、タカオが心に秘めていた思いを吐露すると雪野はタカオに抱きつく。すると雨は上がり、二人には陽光が差すのである。
タカオが作った靴を雪野が履くシーンは無い。それは省略され、その後は観客の想像に委ねられるのである。
おまけ
新宿三丁目と新宿御苑前は隣の駅、タカオの高校は多分新宿三丁目の映画館バルト9から見下ろせるあの高校だろう。
新海誠は新宿の風景が好きだな。
