「歌の素晴らしさが半端無い」アンコール!! 水樹さんの映画レビュー(感想・評価)
歌の素晴らしさが半端無い
近年見た映画の中でもダントツでした。
笑えて、辛くて、でも感動していまい
思わず涙ぐんでしまうそんな作品です。
とにかく頑固な主人公と、
そんな主人公に対して穏やかで
包み込むような優しさをもった奥さん。
全くかみ合わないように見える二人の
本当に二人の一途な愛情が終始温かくて、
演技の一つ一つににじみ出てくる
溢れだしてしまう互いに対する感情が、
本当に見ていて、こんなに愛情というものは
深くて、重くて、辛くて、愛おしいものなのか。
っと締め付けられるような苦しさと、
羨ましさに襲われることは必至だと思います。
自分の病気を知り、それでも歌いたいと
駄駄を捏ねる奥さんと、奥さんを失ったら
自分はどうすればいいのかと苦しみ、
逝かないでくれと子供のように願う夫。
その少しコミカルで切ないやりとりからの、
奥さんの歌うあの名曲。
大阪ツアーの時にあの大きな震災に襲われ
日本の被災者たちに対して、歌われたあの曲。
遺していかなければいけない辛さ、心配。
頑固な夫に対し、目を開けば世界はこんなに美しい。
あなたはあなたが思っているような人ではない、
だってあなたはこんなに素敵な人じゃないか。
そう歌う彼女の一途な全てを込めた歌は、
技術も超え、才能も超え、全ての人に訴えます。
けれど、その声はただ1人の愛する夫に、
まっすぐと一途に送られている。
今でも、この作品を思い出すたびに、
この音楽が聴きたくなり、そして涙汲んでしまいます。
映画自体はどこか「天使にラブソングを」のような、
コミカルさと感動を併せ持ち、流れる音楽が
物語自体を盛り上げ、包み込み、
本当に素敵に演出をしてくれます。
映画館もすすり泣く嗚咽と漏れる笑い声が
本当に心地の良く感じるそんな映画でした。
この映画の日本でのキャッチコピーは
「歌わにゃイカん理由ができた。」
これは正直、作品を見ると違和感の強いフレーズです。
なんでこんなフレーズをつけたのだろう?
あの人はこんな風に思っているのだろうか?
随分と疑問符は残るのです。
けれど、この作品の主人公がこのフレーズを
胸のどこかに持っているのような気がする、
そして主人公を表現するようなこの頑固さ。
それが妙にしっくりくるのです(笑)
それは、きっとこの日本全国に居る、
何千何万の頑固なアーサーに
向けられているのでしょう。
そして全てを集約するような、
最後の一曲。これはもう何も言わなくても、
見ている人の心にスーッと入ってきます。
乾いた砂漠が水を吸うように、
ここまでの流れで乾いた視聴者に
本当に求めている水が与えられる。
けれど、それもまた1人の相手のために
実直に伝えられている歌なのです。
もう一度、映画館で見たいのは山々なのですが、
都内ではもう見られないので、
ブルーレイの発売をいまか?いまか?っと
待つ毎日です(^^;