「歌で贈ったラブレター」アンコール!! everglazeさんの映画レビュー(感想・評価)
歌で贈ったラブレター
英米でタイトルが違う本作。
邦題は元気が良くていいですね。
常に苦虫噛み潰したような表情で取っつきにくい頑固爺Arthurと、明るく朗らかで人気者の美人おばあちゃんMarion。爺ちゃんはともかく、おばあちゃんどうしてこんな気難しい男を選んだの?と訊きたくなるくらい、はたから見ると全く正反対の2人。でもお互いをよ〜く理解しているラブラブ夫婦。
愛妻は癌でターミナル。
1日でも長く生きて欲しいと願い、妻の体調を気遣うArthurの気持ちは理解できますが、残りの時間を少しでも楽しく過ごしたいというMarionの希望を、彼の辛辣な態度は時として邪魔してしまうことに。
いつお迎えが来るか分からない状態の妻が夫に心を込めて歌う”True Colors”。こりゃみんな涙腺やられるわ…というくらいこの夫婦にぴったりの歌でした。号泣(T ^ T)。
どんな風に生きてきて、誰が、どんな状況で歌うかで、同じ歌でもこんなに違う。
当時ラジオで流れると微妙な空気になったアノ歌も、人生の大先輩が大勢で楽しげに歌うと、もうなんでもどうぞという気分になります(^^)。それは歳を重ねないと得られない大先輩の風格なのかも知れませんが、聴いて歌って聴かせてと、歌を心から楽しんでいることが最大の魅力なのだと思いました。
音程を多少外しても、豊富な人生経験から滲み出る歌声は、観客の心に染み込んで涙腺を震わせます。
おじいちゃん達のロボットダンスには爆笑。
先生の選曲が神がかり的にユニークなのだけど、素直に練習する茶目っ気たっぷりの合唱団の皆さんが面白いです。
突っ込むとすれば…
そもそも可能なことにびっくりな無断飛び入り参加、それでもオーケストラの演奏はバッチリ…。
規格外のシニアパワーに圧倒されたのでしょうかね(^^)。
特定の歌を聴く度に蘇る思い出ってありますよね。愛する人がたとえ消えても、想いは歌と共に残る…。
歌の素晴らしさを印象付ける良作でした。
(それにしてもVanessa Redgraveは背が高い!)