ロイヤル・アフェア 愛と欲望の王宮のレビュー・感想・評価
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フランス革命の頃のデンマーク
邦題からてっきり昼メロ的なものかと想像してたのだが、それも1/3程で終わる。そこからはデンマークの政治の舞台で、当時ヨーロッパを席巻していた啓蒙思想と貴族たちの対立へ図式は変わる。
啓蒙思想で王朝が倒れたフランスとは対照的に、デンマークは貴族の方が強かった。
変わるのはもう少しあとなのですね。
王が精神面で幼いとはいえ立場的に王妃を寝とるのはあかんじゃろとはおもうのだけど、ある意味純粋とも言える王はそれでも医師を好きな事には変わりがない。
その点が憎めないし可哀想なところでもある。
一方、貴族たちからすればアホな傀儡の王で好き勝手できたのに、横から思いもよらぬ邪魔が入ってしまったのだから、そりゃ何としても排除するに決まってる。
新たなムーブメントを動かしていくにはワキが甘かったのが命取りということか…。
不倫ものは総じて嫌いだけど
デンマークの歴史映画。勿論描かれていない本当の歴史の部分が沢山あると思うけど、とても勉強になった。
マッツミケルセン好きな方には是非見て欲しい。
貴族階級や社会情勢に不満を抱きながらも侍医となるマッツ。
狂気の王を演じるクリスチャンと少年の様に一緒に庭を駆け回るマッツ。
自由を愛する男が恋に落ちたのは王妃、そうして国を正しい方向へ導こうとするマッツ。
マッツと王妃とクリスチャンによるクーデターは虚しく幕を閉じるかたちになるものの、クリスチャンの息子が舵を取り直し先進国へとなるという歴史物語。
装飾品も美しいし、映画へのお金の掛け方が本当に上手。
邦題のイメージを裏切る良質な歴史ドラマ
これは、この昼メロか韓流ドラマみたいな邦題のせいで大分損をしているんじゃないだろうか?
確かに、恋愛ドラマの側面はある。デンマーク王妃カロリーネと王の侍医ストルーエンセの関係がデンマークの歴史を変えた(大きな影響を与えた)ことも間違いない。
しかし、やはり貴族が支配する時代から啓蒙時代への移り変わり、時代の産みの苦しみを見るという意味で大変興味深い。
歴史ドラマ、政治劇として面白いし、見応え十分なのだ。
ストルーエンセの改革は正しいものだったが、その性急さや彼の虚栄心、王を蔑ろにするような進め方によって、改革は道半ばで挫折する。
彼は政治家である以前に王の侍医であるべきであり、不幸な子供時代を送り若く不安定な王クリスチャンを支える父親のような存在であるべきだったのだ。
しかし、ストルーエンセは枢密院のメンバーや継母のように王をお飾りとして扱い、妻を奪い、王の信頼を裏切った。
若くして英国から嫁ぎ精神的に不安定な夫と幸せとはいえない結婚生活を送る孤独な王妃にも同情すべき点はあるが、やはり、おそらく両親の愛情に飢え、王とは名ばかりで信頼出来る家臣もいない王が不憫でならない。
統合失調症だったといわれているクリスチャン七世という役はかなりの難役だったろうが、今作が映画デビュー作だというミケル・ボー・フォルスガードがベルリン映画祭銀熊賞受賞も納得の好演だった。
じっくり見入れる歴史劇
しごく真っ当でオーソドックスな歴史宮廷劇という感じです。もちろん、それが悪くない。
デンマークでは誰もが知るらしい史実を、ほとんどそのまま描いているそうで、なるほどこんな話があったのか…と知ることができるわけですが、むやみに煽りたてたりスキャンダラスにすることもなく、正当に真正面から丁寧に描くことで人物たちの息遣いがきこえてくる。
Wikipediaでストルーエンセの項目を読むと性格ややり方に問題もあったようだし、実際に映画の中でも専制っぷりをどんどん発揮していくわけで、見ようによっては独裁ととらえられなくもない。でも、映画で描かれる彼は、あくまで国民のための改革を進める理想主義者という感じで、そのへんも観客が共感しやすい描き方になってると思う。なので、あの終わり方はなんとも悲しい。
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