「邦題のイメージを裏切る良質な歴史ドラマ」ロイヤル・アフェア 愛と欲望の王宮 arakazuさんの映画レビュー(感想・評価)
邦題のイメージを裏切る良質な歴史ドラマ
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これは、この昼メロか韓流ドラマみたいな邦題のせいで大分損をしているんじゃないだろうか?
確かに、恋愛ドラマの側面はある。デンマーク王妃カロリーネと王の侍医ストルーエンセの関係がデンマークの歴史を変えた(大きな影響を与えた)ことも間違いない。
しかし、やはり貴族が支配する時代から啓蒙時代への移り変わり、時代の産みの苦しみを見るという意味で大変興味深い。
歴史ドラマ、政治劇として面白いし、見応え十分なのだ。
ストルーエンセの改革は正しいものだったが、その性急さや彼の虚栄心、王を蔑ろにするような進め方によって、改革は道半ばで挫折する。
彼は政治家である以前に王の侍医であるべきであり、不幸な子供時代を送り若く不安定な王クリスチャンを支える父親のような存在であるべきだったのだ。
しかし、ストルーエンセは枢密院のメンバーや継母のように王をお飾りとして扱い、妻を奪い、王の信頼を裏切った。
若くして英国から嫁ぎ精神的に不安定な夫と幸せとはいえない結婚生活を送る孤独な王妃にも同情すべき点はあるが、やはり、おそらく両親の愛情に飢え、王とは名ばかりで信頼出来る家臣もいない王が不憫でならない。
統合失調症だったといわれているクリスチャン七世という役はかなりの難役だったろうが、今作が映画デビュー作だというミケル・ボー・フォルスガードがベルリン映画祭銀熊賞受賞も納得の好演だった。
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