風立ちぬのレビュー・感想・評価
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映像はきれいだが、臨場感がない。
駄作とは聞いていましたが、TV地上波なので見てみました。
評判通り、イマイチですね。
理由として、鑑賞者を現場に引き込む臨場感がない。
・主人公は、好きなら好きという感情を表に出さず、あなが好きなら私も付き合うよ。というスタンス。死んでも他人事。
・自分が好きで造った飛行機で、何万人が死のうと、オレには関係ないという感じ。
すべてにおいて、遠くから俯瞰している感じで、鑑賞者を現場に引き込む臨場感がない。
宮崎駿の飛行機ものでも「紅の豚」では、もっと鑑賞者を現場に引き込んだぞ!
同じジプリの高畑勲の「火垂るの墓」では、暗い作品ながら日本人が絶対忘れてはいけない作品にまで仕上げたぞ!
【人と近代化の時代】
僕は、宮崎駿作品のなかでは、先般レビューを書いた「もののけ姫」と、この「風立ちぬ」が好きだ。
前者は、思想やシステムが異なる社会がどのように共存していくのか、環境とどう折り合いをつけるのか、人はその中でどうあるべきかなど考えさせられる。
この「風立ちぬ」は、災害や戦争といった状況に翻弄されながらも、近代化を追い求め、そこから生まれる悲劇や儚さと、更に、人を愛するということと、人の命の儚さも対比させた、どちらかというと文学作品のように感じる。
大震災や大戦の悲惨さというより、その中で人はどう生きたのか、どう愛したのか、そして、どう失ったのかが大切に描かれているように思うのだ。
利便性の陰で失われる温もりのある何か。
それに、高度に発達したからこそ、悲劇に結びつく技術ものもあるはずだ。
丹精を込めて作り上げたが、一機も帰ってこなかった飛行機(と命)。
技術の進歩の向いた先が、必ずしも幸福ではなかった。
先ごろ公開された「太陽の子」に通じるところがあるようにも思う。
そして、心から愛したのに失われた菜穂子の命。
がむしゃらに頑張って、一体自分は何を残したのか。
この作品は、時代とはそう云うものだと言っているようだし、どんなに近代化しても、抗えないものがあるのだと示唆しているようでもある。
しかし、決して人は無力ではないとも伝えているのだ。
荒井由実の「ひこうき雲」も、歌詞が物語にマッチして胸が熱くなる。
毎年のように大きな災害が繰り返され、その度に人々は立ち上がってきた。
日本はずっと戦争をしていないが、世界各地では紛争は無くなっていない。
現代にも通じる、時代とともにある人を見つめた秀作だと思う。
個人的には、庵野秀明さんの声が注目されたけど、瀧本美織さんの声にグッときた作品だった。
愛情たっぷりの社会派ジブリ
昭和ノスタルジー
夢に始まり、夢に終わる。
スタジオジブリが毎年夏休みに向けて作る映画は、老若男女に好まれることが前提で、宮崎駿はその要求に応え続けてきた。自分の表現したいことと、観客の満足度をうまくバランスも取ってきた。だけど、映画作りはもう最後にしようと決めた。最後なんだから、自分のやりたいもの、好きなもの、こだわりなどを全部ぶち込もう。と、いうことではないかな。私はいいと思う。
宮崎駿は昭和16年生まれ。堀越二郎や堀辰雄は、宮崎駿の親くらいの世代なのかな。昭和の初めの頃の、日本の暮らし。里見の洋風の家(金持ち)、黒川の純和風の家(地方の名家)、軽井沢のブルジョワ感。ちょっと庶民からはかけ離れているけど、でも日本人はこんな風に生活していた。想像だけど、宮崎駿は自分が生まれた頃の日本を、映像に残しておきたかったんじゃないか。これが昭和だよ。忘れないで。
庵野さんの声は多くの方が書いているように、違和感はあった。けど、途中で慣れた。素人の割には、最後の方はそこそこ演技できてたと思う。声優や俳優を当てた方が、見る側にはセリフが聞きやすかっただろうが、たぶん、きれいすぎる。二郎を男前に見せるのは避けたかったのかも。ただ、少年の二郎と、成年の二郎のギャップは激しかった。
夢の世界の色がとてもきれいで、私もここに入りたくなった。テーマ曲もノスタルジックで、よくはまっていた。公開時に映画館で見て、日テレ金曜ロードショーの放送で再見。
後半、何故か、泣いてた‼️❓
「風立ちぬ」の「ぬ」は完了形の「ぬ」!
劇場公開は私が高校2年の時でした。
あれから、え…???…な、7年…???
高2の夏休みの英語の補習の帰りに友達と映画館に観に行ったな〜!!!あの時の夢は外国の映画を字幕なしで観れるようになりたい!って思ってました。んん…まだ叶えられてないね…。
あと、大学の時にもう一回…地上波で観ました。なので3回目ですね。
人生で1番勉強したのは、間違いなく高2から大学までの期間でした。この映画を観ると、私はその時の気持ちを思い出します。本とか映画、音楽って、そういう記憶を形をもって覚えてくれるので、いつでも私の人生の味方なんだなって思いますね。
この映画で覚えたものは「シベリア」と、タイトルにも書いた古文の活用です。「立ち」が連用形だからね。このタイトルには塾講師やってる時によく助けられてたな〜。
「この国はどうしてこんな貧乏なんだろう」
高校の時には全然ピンと来なかったんですが、改めて考えるとなんとも悲しい言葉ですね。
エンタメとして観るにはハードルの高い映画ですが、やりたい事が明確に示されてるのでそんなに不快ではないです。小説の方の「風立ちぬ」も読んだんですけど、あれはまた全然違う話ですね。結核の治療の様子が痛々しくて辛かった記憶が…。
大人向けのジブリ作品!って感じなのは分かりますが、学生の内に一回観ておくのは良かったかもしれないなぁ。この映画は、回数を重ねて観る事で、より深く感じることができる、小説のような楽しみ方ができる気がしますね。
理数系の友達が、作中に出てくる計算器や設計図でめちゃくちゃ興奮してたので、そういうの好きな人はたまらん映画だと思います。かくいう私はどちゃくそ文系ですが。
戦争の道具になったとしても、零戦の翼の美しさや設計の数字の美しさは芸術ですよね。
ホテルで鼻の高い外国人が食べてる草はあれは何なんですかね???ルッコラ???
高校の時から気になるところ変わってなさすぎて成長を感じられない。
夢は果てなく、美は儚く
一度観た事がありますが、何となくモヤモヤして好きになれない作品でした。
戦争の事とか、病に伏した妻の事とか色々素っ飛ばしてマイペースに夢を見続ける主人公に感情移入出来なかったのだと思います。
初鑑賞から数年経ったので、感じ方も変わっているのでは?と思い、先日金曜ロードショーでやっていたのを観たのですが、あまり印象は変わりませんでした。
あの時代に、飛行機に情熱を注ぐ事に対する悩みや葛藤が伝わってこなくて、彼の心理が読めず、まるで彼自身がファンタジーのようで、何を伝えようとしているのかわかりづらかったです。
彼が夢を見ている影で必死に生きようとする菜穂子の切なさは伝わってきました。
想いを寄せていた人と再会し、恋に落ちて、病と闘う決心をするけれど、自分はもう長くないのだと悟る。残りわずかな命を好きな人のそばで生きたいけれど、衰えていく姿は見せたくなくて...儚くも美しい彼女の覚悟や愛情、強さが心に残りました。
◆追記
他の方のレビューを読ませて頂くと、様々な感想があり面白かったです。監督の想いとか、時代背景とか、モデルとなった人物や小説の事とか、私は何の知識も無く観たので大変勉強になりました。この映画に限った事ではありませんが、自分の心や知識の中に何があるかによって見方が変わってくるのだなと改めて思いました。
ちょっとちぐはぐ?
一番印象に残っているのは、菜穂子が亡くなった時、次郎がぼろぼろと泣いているシーンなんだけど、全編通じて淡々としていたので、なんかわざとらしく感じていまいちのめり込めなかった。すべてを捨てて、飛行機にかける人生を深く描くわけでもなく、戦史に残る零戦にまつわるドラマを深く描くわけでもなく、なんなんだろう、このとってつけた感は。誰かが書いていたように、予告編は素晴らしかったし、ユーミンのひこうき雲は涙が出るほど美しい。この曲を体現する映画を作ってくれていたら、きっと素晴らしい映画になっていたと思うのに。
思うに宮崎監督は、観客におもねるのがいやだったんだろう。だから、二郎というどこか非人間的な主人公を正直に描くことに執着し、観客が感情移入できなくても気にしなかった。戦闘機大好きなくせに、「戦争アカン」という、左翼思想にひきずられて、零戦の栄光と滅亡のドラマを描くこともしなかった。
美しいものは美しく、好きなものは好きと開き直って、もっと素直に監督の世界を展開してくれていたら、もっと良かったのにと思う。作品がすべてとするならば、これが宮崎監督の限界だったのかもしれない。残念。
零戦はちょっとしか出てこない
ずっと以前に録画しておいたのを視聴。意外にも全編通して観るのは初めてであった。
堀越二郎が零戦を完成させるまでのプロジェクトX的なストーリーがメインかと思いきや、そうではなかった。(作品の最後で彼が完成させる試作機は、翼形状から、九式単座戦闘機の試作一号機ではないかと思われる。零戦の前である。)むしろこれは恋愛劇であろうと思う。宮崎監督は、ある時代のある恋物語を描きたかったのではないかと思う。主人公の仕事がたまたま飛行機の設計技師だっただけで。
作品の発表とほぼ同時に出版された、宮崎監督と半藤一利さんの対談録『腰抜け愛国談義』を読むと、堀越と本庄は本当はあまり仲良くなかったという裏話が出ている。また、宮崎監督の祖父は戦時中、鹿沼で中島飛行機の下請け工場を営んでいたとも。終戦時、監督は4歳くらいだから、当時の記憶が作品に反映されていなくもないのではなかろうか。
答えは自分で
いちばんの映像シーンは……
「風立ちぬ」の劇場予告編は、4分間もの作品で、ユーミンの歌がまるまる一曲流れる、内容も感動の作品でした。
非常に良く出来た予告編だったと思います。
予告編を観て思ったこと。
日本の立場を世界中に映像芸術によって伝えられる人は、日本には宮崎駿しか適任者がいないのかも知れぬということです。
そして宮崎駿はその予告編の中で、「貧しかった日本」をキーワードとして、宮崎駿から見た歴史観を世界に伝えようと映画を作った……のだ、と私は予想していました。
関東大震災。相次ぐ銀行破綻。そして第二次世界大戦。
あるいは不治の病だった結核。高原のサナトリウム。
これらの要素が、予告編には一つのストーリーを構成するように散りばめられ、それもあって、私はこの作品を見たいと心から待ち望んでいたのでした。
作品を見る前に堀辰雄の「風立ちぬ」も読み、いっそうその思いを強くしていました。
で、現物を観て思ったこと。
こりゃ、予告編の方が、ずっと良かったな、ってことでした。
というよりもあの予告編こそが「珠玉の名作」だったのだ、と今は感じます。
堀辰雄の「風立ちぬ」は、愛する病人のために何年もサナトリウムに籠もるという、無職の(高等遊人の)主人公のお話です。
一方、堀越二郎は俊英中の俊英で、ゼロ戦の開発者でもあります。多忙を極めている人です。
この、まったく正反対のキャラクター、ありえない設定をどう力業で納めてしまうのか、私はほんとうに宮崎駿の腕前に期待していました。
そう。
たしかに予告編は素晴らしい作品だったと思います。
しかし、それに尽きていると思います。
2020年にして初鑑賞
3日程前に初めて鑑賞しました。
それからレビューや堀越二郎氏を調べ、監督のインタビューをお聞きしてから2回、3回と観ました。
初めて観終わった時は、理解し辛いと感じた部分と
そのまま受け入れ「あぁ〜、良かったなぁ」
と感じる部分があり、同じ作品の中でも感じ方に違いが生まれてしまいました。
それが知識によって埋められるものもあれば、感受性が
足りていないのだと感じるものもあります。
ジブリでは「もののけ姫」が特に思いましたが
観るタイミング、誰と観たか、どのような心境の時に観たのかでまったく感じ方が変わってきます。
他のレビューで酷評されている方も絶賛されている方も
今はそうかもしれないが明日はまた違う評価を下すかもしれません。
僕が映画を観る際に大切だと思うのは
やはり監督の考えや思いです。
それを知るにはまず生い立ちから知り、誰と関わり何をしてきたかを知らないと到底理解出来ません。
ここまで言っときながら僕は宮崎監督の事を全然知りません。しかしご本人が答えていらっしゃる範囲では宮崎監督の事を知っていますし様々な方と対談されている話なども聞きました。
今回のこの「風立ちぬ」という作品は映画の最後でも書かれていますが「堀越二郎と堀辰雄に敬意を込めて」と書かれている様に別に堀越二郎氏のドキュメンタリーや堀辰雄氏を描いた作品ではない訳です。
あくまであの時代を生きた方々の考えやイメージを宮崎ジブリがアニメとして形にしただけの事です。
私は今回の作品がお二人のイメージ、戦争のイメージ、零戦や昭和の方達のイメージを崩す物だとは到底思いません。
これが宮崎駿監督の堀越二郎・堀辰雄であり戦争・零戦なのだと思いました。
菜穂子さんとの恋愛物語も悲しくも美しく素晴らしいと感動しました。しかし「この映画の堀越二郎」は本当にとんだ薄情者だと感じました笑
やっぱりジブリ映画最高ー!宮崎駿最高ー!
紅の豚2
飛行機は美しい夢(名言)
13年9月18日フォーラム仙台で観て以来2度目の鑑賞
この作品で宮崎駿はプロペラ機が大好きなんだなと確信に至った
手を抜かず群衆をこまめに描いているのが好きだ
庵野秀明の声は最初は違和感を感じるが次第に慣れてくる
アニメオタクには声オタという種類がいて声優専門以外の人が声当ての仕事をやることに強い拒否反応を示す
そんな連中の誹謗中傷から役者さんたちを守るためにも庵野秀明は良い風除けになったかもしれない
俳優陣はみんな違和感なく良かったと思う
特に野村萬斎と西村雅彦が良かった
この映画は右翼だ左翼だと一部批判があったがあくまで一部である
その一部を世間一般多数派かのように報道する歪んだイデオロギーの塊であるマスコミという媒体はクソである
僕は煙草は吸わないが嫌煙ファシズムは大嫌いだ
パヨクも嫌韓厨も嫌煙家も映画をネットで語ってほしくない
なるべくならそんな連中の評価は読みたくない
子供向けかどうかは一部大人の主観だ
子供が見て面白いかどうかは観た子供が決めることだ
たとえ残虐な内容を観たからといって殺人鬼になるわけではないし猥褻な内容を観たからといってレイプ魔になるわけではない
反戦映画ではない
そもそも今さら日本で反戦映画なんて作る意味がない
困難を乗り越え生きぬく人間を淡々と描いている
映画に限らず海外に作品を売り込むということはとても大変なことだ
声がやたら大きく頭がおかしいほんの一部しかいない連中にも配慮しなければいけないからだ
その結果作り手側としては本意じゃない残念な歪められ方をされることもある
韓国にはラブストーリーとして売り込んだらしいが公開前に抗議した特高紛いの偏狭な怪物たちにはうまく理解できただろうか
風があなたを運んで来ました(名言)
エンディングテーマが最高
ジワジワくる
涙が溢れる
なり損ねた遺作?
本当に気持ち悪かった
宮崎駿のあられもない本音なんだろうな、これ…
個人的には死者を美化してセンチメンタルに消費する感覚には1mmも共感できないし、ただただ不快としか言いようがない
そこを百も承知で、それでもやらずに死ねるか! とばかりにパンツをズルっと下ろしてしまった誠実さが光る
おかげさまで最高に気持ち悪いです、はい…
ただ齢とともにどんどん表現がクドくなってきた近年の宮崎作品の中でも、震災の場面は出色だと思った。
画面は生々しいし、効果音を人の声でやるとか悪趣味すぎて最高
私はいつも、この世には「出来のいい映画」かそうでないか、とかいう以外に「私に関係ある映画」という評価軸があると思っている
この作品はまさしくそれで、個人的な思い入れいかんで評価が180度変わるので、私のようなモンにはアレな一方、刺さる人には一生抜けない棘となってしまうこともあり得ると思う
キャリアのほとんどで、あれだけ大衆に愛されるべく娯楽の王道を歩んできた作家が、ここでようやくそれを断ち切れたという意味でも画期的というか、きわめて重要な作品ではあると思う
当時それだけ死を意識していたんだろうな、きっと
「君たちはどう生きるか」が完成すれば遺作にはなり損ねたわけだけど
【宮崎監督が、現代日本への危惧を今作にて大いなる”警句”として描いた作品。】
私も含め、多くの観客は、宮崎駿監督の新作を”新たなるファンタジー作品”として待ち望んでいた記憶がある。
だが、監督が描いたのは1920年代の”大正”から”昭和”へ元号が変わり、平和だった”大正時代”から
・不景気
・大震災
・そして、暗雲立ち込めるきな臭い戦争の影
が、匂う”昭和初期”の時代であった。
主人公は、零戦設計者、堀越二郎。(声:庵野秀明、今では慣れたが当時は何故この人?と思ったものだ・・。素人然とした訥々とした声である。)
と二郎が尊敬するイタリアの設計士ジャンニ・カブローニ(声:野村萬斎、安定である)との時空を超えた尊敬と友情を軸に描かれる。
だが、今作はファンタジー要素よりも、
立花隆が資料に残しているように、
「これは、明治以来西洋に追いつき追い越せで、急ごしらえに作った富国強兵国家日本が、富国にも強兵にも失敗し、大破綻をきたした物語だ。」
と喝破した当時の日本の様を描いた作品である。
当然、宮崎ファンタジーを期待した多くの人々からの評判は芳しくなかったが(だって、幼子が今作を観ても面白くないでしょう・・)、宮崎監督の矜持を感じた作品でもあった。
ー今作公開直前の参議院選挙で現政権が大躍進。ねじれ状況を打破し、現在の体制を築いたが、当時の新聞に掲載された、安倍政権を揶揄したヒトコマ漫画
”第23回参院選 ー風立たぬ やらねばー 今のところ左うちわ”
で墜落する零戦に乗る当時の民主党のうなだれた顔
に大笑いしながらも一抹の不安を覚えた記憶がある・・。ー
そしてそれは2020年現在、現実的な問題として私たちの眼前に厳として存在する・・。
<2013年7月30日 劇場にて鑑賞>
全397件中、41~60件目を表示










