風立ちぬのレビュー・感想・評価
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棒読みがすべてを台無しにしている
もともとジブリ映画にそこまで興味はないのだが、悪いうわさがあったのでちょっと怖いもの見たさで鑑賞。
聞くに堪えない棒読み。監督なりのこだわりらしいけど、あれは不快になるレベル。
感情移入しないだろうとかいう理由だけど、感情ならしっかり出てきましたよ。
そう、不快と怒りという感情で。
おかげで全然ストーリーが頭に入ってこない。苦痛オブ苦痛。
もうちょっと後になるとうまくなったというらしいけど、たいして変わりがない。
相変わらず不快。
はっきり言ってジブリというブランドに甘えている。
中身がどうだったか思い出せないくらいイライラしていた。
最後まで見る気も起きない内容でした。
声優を使わないというポリシーは持っていてもかまわないが、人選はちゃんとしてほしい。
面白いがフィクション
この映画は、堀越二郎の名を借りて「創作の為に他の全てを犠牲にしてきた宮崎駿の自分語りと弁明の映画」であって、堀越二郎の話でも零戦の話でもない。これら固有名詞との関係は完全なフィクションと言って良い。
それにしても、宮崎駿の才能は物凄いのだが、敗戦による価値観の大転換で180°逆振れした軍国少年が左翼に人生を絡め取られてしまったところは何とも痛い。
劇中、軍部は言葉にならぬ雑音だけを話す「人語ではなく、何を言っているか判らないただの馬鹿」として描かれている。
実際の堀越二郎は、本人の著書でも明らかな様に、零戦の使用者である軍に誠実に敬意を払った上で、美しさにもこだわる工学者として解決に心血を注いだ事が明記されている。そして無茶な要求を解決してゆく事にカタルシスを感じ、彼の「作品」を目にした軍のパイロット達が「大きいが、格好のいい飛行機だ」と喜ぶ場面を心底嬉しげに記している。それは理系脳を理解できない宮崎駿には全く見えなかった(見たくなかった)光景だ。
堀越二郎及び零戦とはほぼ無関係な話としては標準を超えて楽しめるが、あくまて宮崎駿史観で描かれたフィクションである事は理解して観たほうがよい。
9年越しの2度目の鑑賞で号泣しました。
1回目に見たのは、本作が公開された年の夏。家族で見に行きました。当時私は小学生で何一つ理解できていなかった挙句、つまらなかったと言っていた覚えがあります。今思えば小学生が内容をよく理解して感動することは不可能だったと思います。
ちょうど9年ほど経った今、金曜ロードショーで放送された際の録画を観て初めてこの映画の切なさ、美しさ、儚さを理解して大号泣しました。特に、黒川夫人が美しいところだけ…(略)と言ったシーンからは人を愛すことの切なさのような、儚さのようなものを感じました。また、戦時中存在した数々の体当たりの戦闘機の一つ、後の大戦でも多くの軍人の命を奪った零戦。これを生み出した人間はどれだけ残酷な人間なのだろうと思っていました。が、映画によると生みの親は主人公の二郎であり、こんなに賢明で素敵な人の純粋な憧れの思いから生まれた飛行機がこんなにも残酷で憎い使われ方をしたのかと。本来憎まれるような人間ではない二郎が何人もの人にどれだけ憎まれたのだろうと思うとまた涙が止まりませんでした。そして主人公二郎のセリフが棒読みだなどと賛否両論ある庵野さんの声でしたが、二郎という人間の感情が表に出にくい性格、穏やかで強い人物像というのがよく伝わってきて私は庵野さんが抜擢されたのは大正解だと思っています。声とキャラクターのマッチ度もあり、個人的に二郎は観ていて人間として、男性として愛らしかったです。そしてその二郎に愛し愛されるヒロインの菜穂子も美しく力強い日本人らしい綺麗な女性で大好きです。近年男女差別をなくそうという動きが高まっていることを受け、いまだに残る日本男児的な考え方は本当にいかがな物かと思っていましたが、この二人のお互いへの各々の思いや時代背景からすると、昔の男性の勇ましさ、女性の健気さや気高さといった古風な考え方も簡単に捨てたものでは無いんだなと痛感しました。また数年経ってからも見返したい映画です。
零戦設計士の話で、宮崎駿の描きたいことが存分に描かれている作品。 ...
零戦設計士の話で、宮崎駿の描きたいことが存分に描かれている作品。
たくさんの夢が詰まった感じ。けど、その夢も破壊のためという時代背景が切ない。
そう思ってみると、いろいろ感慨深いものがある。
生きねば、にたくさんの気持ちが込められた大人なジブリ作品です。
英語吹替版もぜひ◎
機内. English ver
久しぶりに見たらめっちゃ良かったなあ。
それに英語吹き替え版で見たのだけれど、これがめっちゃ良かった。
何より、二郎の声がめっちゃ合ってた!
マイペースさもありながら、でも庵野さんほどおとぼけ声じゃないというか。ちゃんと格好いいところは格好いい。
英語吹替版で見ると二郎が10倍格好良く見える。
こういうと庵野さんを否定してるみたいだけど、庵野さんのせいではない。
ちゃんとやっぱり声優さんとか俳優さん起用した方が、やっぱりいいような気がする。でも作品を作ったのは宮崎さんだから彼的にぴったりだったんだろうな。庵野さんの声が。
でも、英語版の声を聞いちゃうと「うわーーーやっぱもうちょっとシュッとした声の方が二郎の魅力が増すのになーー」という何とも悔しい気持ちになる。笑 多分、二郎のキャラがジブリ男子の中でも好きなキャラだからだろう。
声の馴染み具合からだろうけど、本庄とのバディー感、コンビ感も増す。
ジブリは日本の作品だし、内容的にも日本色強めなのに、英語版の方もかなりしっくりきた。不思議と。
風立ちぬの英語吹き替え版もDVDで見れたらいいのに...そしたら買うのになあ...リージョンが違うDVDとプレイヤーを買わなきゃダメなのかなあ...。
地震の表現
独特だったけど、すごいなと思った。
気味の悪い低いボイスで地震や余震への恐怖を表したこと。
地震は来ることも、来た瞬間も目や耳で表しにくい。
起こった後の結果・災害は表現しやすくても、今来てる!!って感じを表すのは難しい。
それをあの動きやボイスで表していた。
地震の最中の感覚や、一旦止まったけどまだなんか来そう...ってじっと様子を見るあの瞬間の感覚とか、あのどきどき、地震が起こる国の人はわかると思うけど地震を体験したことがない人はなかなかわからないだろう。
あの低いうめき声、まるでモンスターが唸っているような声だったけど
地震、という目で見えないものに対する恐怖が、得体の知れないモンスターを恐れる恐怖と似ていて。結果的に「地震」というものを感覚的に伝えるのにぴったりな感じになっていた。すごいなと思った。
ただ真っ直ぐに、自分の興味あるものにひたすら向かっていく。
それってすごく羨ましい。
好き。だからそれをする。このシンプルな動きがまぶしい。
困っている人がいる、助ける。ここにも余計なごちゃごちゃがない。
とりあえず先に動いてしまっている。
自分は結構頭であーだこーだ考えてから行動する生き方を30年ほどして、
その上で、これからはそんなに頭で考えなくていいかなって思っている。
もう十分ごちゃごちゃ考えた。そしてごちゃごちゃ考えきった気がする。
世の中は、そこまで考えを回したり、気を回しすぎたりしなくても大丈夫なんだとわかり始めた。見えてないこと、気づいてないこと、気遣えてないこと、あるのかもしれない。でも一人の人間にできることっていうのには限界があって、一人で全部完璧に網羅しなくても大丈夫、むしろその方が周りは気楽だったり、それでちょうど良かったりするんだと。
そういうことを実感できるようになってからは、確実に生きるのが楽になった。
二郎さんも、もしかしたら抜けてるところあるのかもしれない。
どうなの?ってとこがあるのかもしれない。でも、完璧に生きる必要って?誰のために?何のために?
二郎が、二郎の人生を生ききっているのを見た。
二郎の中でやれることを、最大限やっていた。
他人から見れば、もっとこうすべきああすべきがあるのかもしれない。でも彼の中での最大限、最善、を彼が選択したのだから。それでいいんだと思う。
そういう、誰かに媚びてるとかではない、たんたんと、自分のすべきことに熱心に、生きている人の姿を見る。
とても、すがすがしい気持ちになった。
堀辰雄、ではなく堀越二郎
零式艦上戦闘機。
通称ゼロ戦を作った堀越二郎の人生を、これでもかと脚色して描いた作品です。
ゼロ戦の方は宮崎監督、飛行機作って落としてとても楽しそう。
もう一つの原作は、堀辰雄の同名小説。
節子と作者の悲恋を描いた、古典サナトリウム文学です。
これでもか、の部分は大体こっちの堀さんです。
大空へと
2013年公開作品
ジブリ作品
「風立ちぬ」
確か、夏休み公開だったような
お子さん連れのファミリーも
いましたが、途中退席される方も
目立ちました。
時代背景もそうですが
大人向けかなと・・
子どもの頃からの夢
飛行機で大空への憧れを抱き
設計士となる
正義感の強い主人公の物語。
関東大震災、貧困、結核の流行
戦争・・・・
激しい時代を精一杯生きた
堀越二郎さん。
皆が、楽しく乗れる飛行機を
造りたかったのに・・
時代が、そうはさせなかったという
哀しさも伝わってきて
少女との運命の出会いも描かれ
全編、風が吹くシーンが印象的。
エンドロールは
松任谷由実さんこと
ユーミンの名曲
「ひこうき雲」に、泣けました。
黙々と一人の青年の努力によって大事業はなされていくのか
とにかく静かな作品。
だが、登場人物の情熱はそれぞれが非常に熱い。
何が起ころうと黙々と自分のやるべき事に熱中し、為すべき事を達成していく。
明治、大正、そして昭和初期っていうのはこういう空気感だったのだろうか?
主人公の人物像は宮崎駿監督の作品への製作姿勢を投影したのかな?と想像してみるのも面白い。
2022 1本目(TV 1)
9年越しで初鑑賞。
ポニョは年齢が低すぎて、これは高すぎでした。
主人公の声が合わないなと思っていたら庵野さんだったんですね。
個人的には、ナウシカ、ラピュタ、もののけ姫の頃の作品に戻ってほしいです。
復帰作期待しています。
大人向けのジブリ作品
先日の金曜日ロードショーで鑑賞。鑑賞自体は3回目。
久々に見たけどやっぱり良かった。二郎と菜緒子の純愛に泣ける。。
初めてこの映画を見た時シベリアが食べてみたくなって買いに行ったんですが、今回もシベリアが食べたくなった。
主題歌のひこうき雲も大好き。
千と千尋以降のジブリでは、1番好きな作品です。
後からじわじわ
人により評価の分かれる映画。一度意味が解ってしまうと、後からじわじわ来る。芸術家やクリエイター、科学者が観ると、たぶんはまる。
創造的な仕事ができる時間は限られている。美しいが花の命は短い。時代や環境に恵まれなくても、力を尽くして生きなさいという宮崎駿のメッセージ。
翔べない豚は、鋼の鳥の夢を見るか?
「フランケンシュタインの誘惑」という番組ご存知ですか。基本、ヤバい学者が暴走する果てに、どんな世界が見えるのかっていう話なんですけど、好きなんですよね-。
突出した発明力のある科学者って、発明に没頭するあまり、その発明品がどう使われるかは、あまり興味ないそうです。原爆、水爆、高機動航空機…。生かすも殺すも、私達が殺されるも、全て私達の責任なのかも。
実在の二郎さんの人柄は、存じません。ただ、まるで映画の主人公らしからぬ二郎さんと、私はどう向き合えばいいのかしら。
宮崎サン、冒険活動ものを創らなくなったのは、時代が、その先にあるからだそうです。しかも、加速している。未来少年が見据えていた未来は、私達には届かない。お城に閉じ込められたお姫様を救う冒険譚も、天空の城を目指す英雄譚も、私達には眩しすぎる。私達に寄り添うことができるのは、朴訥とした話し方をして、自分なりに生きてゆく道を、踏みはずさない人。そんな道しるべが必要なのでしょう。
あの子の命はひこうき雲だとしても、今より歪んだ時代だったとしても、言い訳しない、全力で疾走する。それだけで…ね。
この先、世界はどうなると思いますか。たとえば、迫害を恐れ国外脱出を望む人が、大勢います。でも、彼らの為に飛び立つ飛行機が、もういないんです。
私達は、世界を何処に連れて行こうとしているんですかね。
たとえ空を飛べなくても、できない理由を探すより、できる方法を探しましょ。二郎さんの背中が、そう言ってた気がします。
「イミテーション ゲーム」
二郎さんと同じ時代を、二郎さんと違う生き方をした科学者さんのお話。世界最難解と云われた暗号を、自動演算で解読させた学者さんと、その演算機を手に入れた軍は…。一度ご覧下さい。
映像はきれいだが、臨場感がない。
駄作とは聞いていましたが、TV地上波なので見てみました。
評判通り、イマイチですね。
理由として、鑑賞者を現場に引き込む臨場感がない。
・主人公は、好きなら好きという感情を表に出さず、あなが好きなら私も付き合うよ。というスタンス。死んでも他人事。
・自分が好きで造った飛行機で、何万人が死のうと、オレには関係ないという感じ。
すべてにおいて、遠くから俯瞰している感じで、鑑賞者を現場に引き込む臨場感がない。
宮崎駿の飛行機ものでも「紅の豚」では、もっと鑑賞者を現場に引き込んだぞ!
同じジプリの高畑勲の「火垂るの墓」では、暗い作品ながら日本人が絶対忘れてはいけない作品にまで仕上げたぞ!
【人と近代化の時代】
僕は、宮崎駿作品のなかでは、先般レビューを書いた「もののけ姫」と、この「風立ちぬ」が好きだ。
前者は、思想やシステムが異なる社会がどのように共存していくのか、環境とどう折り合いをつけるのか、人はその中でどうあるべきかなど考えさせられる。
この「風立ちぬ」は、災害や戦争といった状況に翻弄されながらも、近代化を追い求め、そこから生まれる悲劇や儚さと、更に、人を愛するということと、人の命の儚さも対比させた、どちらかというと文学作品のように感じる。
大震災や大戦の悲惨さというより、その中で人はどう生きたのか、どう愛したのか、そして、どう失ったのかが大切に描かれているように思うのだ。
利便性の陰で失われる温もりのある何か。
それに、高度に発達したからこそ、悲劇に結びつく技術ものもあるはずだ。
丹精を込めて作り上げたが、一機も帰ってこなかった飛行機(と命)。
技術の進歩の向いた先が、必ずしも幸福ではなかった。
先ごろ公開された「太陽の子」に通じるところがあるようにも思う。
そして、心から愛したのに失われた菜穂子の命。
がむしゃらに頑張って、一体自分は何を残したのか。
この作品は、時代とはそう云うものだと言っているようだし、どんなに近代化しても、抗えないものがあるのだと示唆しているようでもある。
しかし、決して人は無力ではないとも伝えているのだ。
荒井由実の「ひこうき雲」も、歌詞が物語にマッチして胸が熱くなる。
毎年のように大きな災害が繰り返され、その度に人々は立ち上がってきた。
日本はずっと戦争をしていないが、世界各地では紛争は無くなっていない。
現代にも通じる、時代とともにある人を見つめた秀作だと思う。
個人的には、庵野秀明さんの声が注目されたけど、瀧本美織さんの声にグッときた作品だった。
愛情たっぷりの社会派ジブリ
堀越二郎は、飛行機に憧れている正義感の強い少年であつた。飛行機は美しい夢であった。劇中、三菱に就職して仕事に就いた時、突然半田に工場があったカブトビールの表記が出て来たね。ジブリの割には社会派で、ドイツの飛行機に感動したり飛行機設計士の成長記録の様な物語。結核の菜穂子と健気に結婚しようと言うくだりはホロッとしたね。
よかった
ストーリー、絵とよかったけど全ての声優やそれを目指す人たちが庵野氏のセリフまわしを聞いたら「これでいいならなんでもいいのでは」と思うのではないか。
かといってミスキャストだったとは全く思わない
昭和ノスタルジー
夢に始まり、夢に終わる。
スタジオジブリが毎年夏休みに向けて作る映画は、老若男女に好まれることが前提で、宮崎駿はその要求に応え続けてきた。自分の表現したいことと、観客の満足度をうまくバランスも取ってきた。だけど、映画作りはもう最後にしようと決めた。最後なんだから、自分のやりたいもの、好きなもの、こだわりなどを全部ぶち込もう。と、いうことではないかな。私はいいと思う。
宮崎駿は昭和16年生まれ。堀越二郎や堀辰雄は、宮崎駿の親くらいの世代なのかな。昭和の初めの頃の、日本の暮らし。里見の洋風の家(金持ち)、黒川の純和風の家(地方の名家)、軽井沢のブルジョワ感。ちょっと庶民からはかけ離れているけど、でも日本人はこんな風に生活していた。想像だけど、宮崎駿は自分が生まれた頃の日本を、映像に残しておきたかったんじゃないか。これが昭和だよ。忘れないで。
庵野さんの声は多くの方が書いているように、違和感はあった。けど、途中で慣れた。素人の割には、最後の方はそこそこ演技できてたと思う。声優や俳優を当てた方が、見る側にはセリフが聞きやすかっただろうが、たぶん、きれいすぎる。二郎を男前に見せるのは避けたかったのかも。ただ、少年の二郎と、成年の二郎のギャップは激しかった。
夢の世界の色がとてもきれいで、私もここに入りたくなった。テーマ曲もノスタルジックで、よくはまっていた。公開時に映画館で見て、日テレ金曜ロードショーの放送で再見。
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