「この作品を子供達は今後も何度も見続けてくれるだろうか」風立ちぬ りこぴんさんの映画レビュー(感想・評価)
この作品を子供達は今後も何度も見続けてくれるだろうか
宮崎駿監督が、子供達に「わけがわからなくていいから見てくれ」と作った本作。
観終えて、個人的に思うところは溢れんばかりにあります。
ここでは、題名に書いた論点1点に絞って書きます。
そして、表面上、この映画とはほとんど関係のない話を書きます。
私は普段は映画論評は読むことすら嫌いです。当然、語ることも不特定多数の方に向けて書くこともです。
ただ、本作は他の方、特にお子様をお連れの方からのお子様の反応が気になりました。
私の願いは、『トトロ』などは放っておいても何度でも観るだろうけれど、
『風立ちぬ』も何度も子供達に観て欲しい、なのです。
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ジブリ作品が映画の興行収入記録を次々と塗り替える前の興行収入最高作は
『南極物語』という作品でした。今からほぼ30年前くらいの作品だったと思います。
当時私は幼稚園生だったか小学校には行っていたか、そのくらいの年齢でこの映画を観ました。
今のジブリ作品ほどではないにせよ猫も杓子も『南極物語』を観に行ったわけです。
当然、子供はほとんど意味を理解できません。
とうじのぼくのみたかんそうは「わんこがんばれ。わんこかわいそう。タロ・ジロよかったね」程度だったと記憶しています。
あとは、極地の厳しい自然の映像美が脳裏に刻みこまれたくらいですね。
その1、2年後TVにて放映された『南極物語』を録画してその後【何故か】何度も何度も観る事になるのですが、
その頃は前半は早送りですっ飛ばして犬達が昭和基地に取り残されるところから見始めるといった具合でした。
まだ、見殺しの決断が下ったシーンにて高倉健演じる越冬隊員が取り出したビンの中身が毒だということも
渡瀬恒彦演じる越冬隊員が千羽鶴を千切って海に投げ捨てる理由もわかりませんでした。
小学生高学年くらいになると、流石にそれくらいはわかってきます。
「苦楽を分かち合った同士」となる犬ぞり隊の探検と遭難寸前に追い込まれ、
昭和基地で生まれたタロ・ジロを解き放って基地に助けを求める前半部も観出します。
でも、後半はやっぱり犬達のサバイバルだけしか観ず、
並行する高倉健が謝罪の旅に廻るシーンはすっ飛ばすんですね。
わからないのでピンとも来ないしつまらないし。
成人すると、全編観ます。非常に重い映画です。
でも、見え方が定まったかというと実はまだまだで。
社会に出てそれなりに外の世界との修羅場も経験して、ある日、また観ました。
あの泣く子も黙る高倉健とあの泣く子も黙る渡瀬恒彦のそれも若っかい2人が壮絶な演技をしていました。
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TBSだったかでリメイクされた南極物語は、木村拓哉1人で見事にぶち壊しになりました。
流石、子供からの「何もかも嘘っぽく聞こえる」という反応から『ハウルの動く城』主役に採用されただけのことはあります。
『風立ちぬ』。庵野秀明への批判も多いようですが、その素の声は少なくともそれよりはよっぽど上です。個人的には問題を打ち消して余りあるハマり役です。
そして、子供達が、
言われなくても【何故か】何度も何度も『風立ちぬ』を繰り返し観る
ようになったなら、この作品は成功なのだと私は思います。