「フルカラーフィルムで、大正~昭和」風立ちぬ Falさんの映画レビュー(感想・評価)
フルカラーフィルムで、大正~昭和
関東大震災以前の日本の風景など、観る事はかなわないものがアニメで観られるというのも嬉しいです
現代ではCGを駆使して再現可能だとは思うけど、
宮崎監督のアニメだと、絵がそれほどリアルなわけではないのに、怖さというか、
ぞーっと鳥肌がたつような感覚が本当に上手くて、
飛行機の3次元感なども身にせまってくるようで、映像の点でも本当にすばらしい映画でした
やはり映画館で観るべき、と思います
ナウシカの設定資料を読んだことがありますが、
衣装、たとえばポケットの役割や、飛行機の種類(荷物用や戦闘用の区別など)、生き物の特徴、とにかく細部にわたって設定がしてありまして
だけど映像にはそれらの説明はいちいち全部出てこない
ただ納得のいく形として出てくるだけで・・・
設定の濃密さに比べれば、ストーリーに出てくるのはほんの一部、
今回の映画では、そういった宮崎監督の濃いところが、若干見えるような気がしました
今までゼロ戦というと、つらく悲しいイメージしか持っていなかった
当時の技術で、凄い飛行機だったのだということは、この映画で初めてわかりました
第二次大戦が日本にとって本当に悲惨な歴史だということは、もうわかっているので
それをそのまま再現したようなアニメフィルムだったら、多分つらいから自分は観なかった
それでも、特攻などの、帰還することすら叶わない飛行機の設計とか、
飛行機会社として関わってなかったはずはないと思うのに
そういう場面を挟まなかったのは、なぜだろう
あんまりひどすぎて、ラブシーンもふっとんじゃうからでしょうか
ラストシーンの台詞が、実は別バージョンがあったらしいけれど
死んでしまったあとの話であるよりは、
観客としては、生きている自分を肯定したい気持ちもあるので
どっちかというと、
あのラストであって欲しい
残酷なのは二郎ではなくて、観客かもしれません
ダンテ神曲もトーマス・マン魔の山も読んだことがない
しかしとても読む気が起きないなぁ・・・
面白いのだろうか