「今は分からない ほかの人にはわからない」風立ちぬ kazunariさんの映画レビュー(感想・評価)
今は分からない ほかの人にはわからない
ユーミンの歌とおりです。
菜穂子にだけ理解できればいいのです。
だから菜穂子を特別にかわいく描くんです。
普通恋愛ってくっついたり、離れたり、浮いたり沈んだりで成り立ちますが、
昭和の激動期はそういう余裕はないんです。
ただ、好きになったらほんとに一途なんですね。
東京と名古屋って当時なら10時間以上かかりますが、それでもいくんです。
二郎からの手紙をみて愛おしくなってサナトリウムを抜け出す。
そしてもう離さない、離れない。
新婚でも二郎は仕事がいっぱいで毎晩帰宅は遅い。
仕事を持ち帰ったこともあります。でも手だけは離さないで。
妙に生々しかったです。誰かの実話なんでしょうね。
やっと飛行機の図面が完成します。もう疲れ果ててバタンキューです。
よくやったね、貴方。二郎のメガネを優しくはずしてあげます。
これがお別れの合図でした。無理にして朝早くおきてお化粧して美しくしていたのですが、
もう死期は近いようです。
断末魔に苦しむ美しくない自分を二郎に見られたくない。
置手紙を残して菜穂子はサナトリウムに戻ります。
それから遠くない日に飛行機のテストが行われます。
おそらくこれに成功すれば区切りがついて菜穂子の元にもいけたかもしれません。
でも、その最中虫の知らせを察するわけです。おそらく菜穂子の死なんでしょう。
戦争が終わって二郎はすべてなくします。彼の飛行機は一機も帰ってこなかった。
でも、菜穂子は一瞬風になって戻ってきてくれました。
二郎は誓うのです。「生きねば」
美しい菜穂子にさえ理解してもらえばいいんです。これはそういう映画でした。
コメントする