「美しい映画でした」風立ちぬ no1catさんの映画レビュー(感想・評価)
美しい映画でした
とても美しい映画だったなぁと思いました。
見終わって、思い起こせば、
二郎の見る夢はとても色鮮やかで、夢にみちあふれ、
現実は現実で、ドイツの飛行機の精密さ、二郎の実現した零の軽やかさ、
菜穂子と二郎が青空の下で交わす口づけや、結婚式の凛とした空気、
最後の二郎の夢の中、笑顔で駆ける菜穂子と、帰らぬ機体の戦列、
淡々と、美しい世界ばかりが思い起こされました。
けれど、これって、よく考えれば本当に、悲しいことなんですね。
この映画には、幾つもの矛盾が出てきましたが、(飛行機をつくることが、戦争への加担につながったり、仕事をするために結婚したり、人を愛するために命を縮めたり…)だからといって、登場人物たちが間違っているとかは思えませんでした。
(特にこの映画が戦争賛歌や、煙草推奨とは到底思えません)
皆が皆、自分の信念のために、ただただ真っ直ぐ生きただけ、だったように思います。
命は生まれた瞬間から死に向かって歩みを進めるという、大きな矛盾を抱えていると思います。
だからこそ、こうして生きること、生きていくこと、生きようとすることは、美しいのかなぁと思いました。
ただストーリーは、零戦製造とラブストーリー、どっち付かずな感じでどちらかひとつに絞るかもっと掘り下げるかしてほしかったなぁ、と思いました。
個人的に、黒川さんが墜落した機体を雨のなかじっと見つめるシーン、三菱の研究者たちが二郎の元、自主的研究会みたいなので、目をキラキラさせているところ、カプローニが最後の飛行で女の子にまみれながら機体を案内し、貧乏子沢山な発言をするところが好きでした。
そして私が菜穂子なら…絶対治って二郎と添い遂げてやる!って感じかな。
だって、結婚の申し込みを受けて、絶対治しますから、って言ったもんね。
約束は守りたいなぁ。守れないなら守れないまま1人で死んでやる!笑