「じわじわと心にしみる」風立ちぬ ミナさんの映画レビュー(感想・評価)
じわじわと心にしみる
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ふとした瞬間に、思い出して涙がこぼれ、たまらなくなります。
観ているとき、観終わったとき、数日経ったとき。いつまでも消えることなく、むしろ時間が経つほどに心にしみて、泣けてしまう。こんなにも余韻の残る作品は、初めてかもしれません。
物語終盤、黒川夫人の「美しいところだけ、すきな人に見てもらったのね」という言葉を聞いたとき、どうしようもなく涙が止まりませんでした。
結果として二郎は菜穂子よりも夢をとったけれど、菜穂子のこと、本当に心から愛していたと思います。彼女の先が短いこと、今が限られた幸せであることを理解していて、それでもお互いに辛い面は見せずに生きていて。だからこそ、二人の気持ちを考えるととても切ないです。
黒川家を出ていく前日、眠ってしまった二郎にふとんをかけ、メガネを外し、二郎の寝顔を見つめている菜穂子のシーン。二度目に観た時、菜穂子の気持ちを想像してたまらなくなりました。
菜穂子もゼロ戦も失ったその後の二郎の人生は、絶望的だったのでしょう。美しいところだけが記憶にある、というのは、あるいは辛いことなのかもしれません。
それでもラスト、夢のなかで再会して、菜穂子が二郎に「生きて」と言ったこと、それに対して、顔をくしゃっとして「ありがとう」と二郎が言ったこと。何だかとても、ぐっときました。
私は今まで二度観たのですが、一度目よりも二度目の方が、こみあげてくるものがありました。きっと、回数を重ねるごとに深みの増す作品なのだと思います。
他にも書きたいことはたくさんありますが、きりがないのでこのあたりでお終いにします。最後に、賛否両論ある庵野さんの声、私はとてもよかったと思います。
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