「アニメだからこそリアルさを感じられる逆説的作品」風立ちぬ yamaboyさんの映画レビュー(感想・評価)
アニメだからこそリアルさを感じられる逆説的作品
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ジブリ作品としては非常に評価が分かれる作品だと思います。
火垂るの墓と同様、戦時中のリアルで過酷な現実を背景に描いた作品ですが、火垂るの墓のような直接的な戦争表現は一切排除しています。
(関東大震災の描写に関しては東日本大震災の被災者の方への配慮もあったとは思いますが・・)
それでも、昭和初期の活気にあふれながらも常に戦争の影を不穏な空気として感じさせる緊迫感をアニメの空気の中に漂わせる表現はさすがの一言です。
主人公と恋人との愛情表現のシーンも非常に日常的でものすごくリアルですがその分生々しい感情が伝わって来ます。
総評すると、CG等使えば夢のシーンも含めてすべて実写映画か長編ドラマにそっくり代えることができる作品(アニメの実写化などもう辟易とした感がありますが)ですが、あくまでこの作品はジブリのアニメ作品としてのみ本当にリアルな世界観と生きている人間の生の感情を感じられる作りになっており、私は劇場で見られたことを非常に喜ばしく思いますが、DVD等でもう一度見ようとは思わない一期一会的な稀有な作品でもありました。
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