「美しさの追求」風立ちぬ ぱあたんさんの映画レビュー(感想・評価)
美しさの追求
クリックして本文を読む
公開翌日に鑑賞しました。
その時は正直なところ、印象に残らない映画だなぁ…と感じていました。
なんだか物足りず、消化不良だと。
しかし、ふとした時に映画の場面を思いだす。じわじわと心にせまるものがある。
映画が終わった瞬間がピークではなく、終わってから心が動かされていく経験は初めてでした。
それから映画に対する様々な評価、意見を聞き、自分の中で抱くイメージが少し変わり、もう一度映画館に足を運び、自分の目で確かめようと思いました。
そして、2度目にこの映画を観た印象。
それは、怖いくらいの「美しさ」への追求です。
夢の中での朝焼けの美しさ、飛行機の美しさ、菜穂子の美しさ。
夫婦として2人が過ごした時間の描写は、本当に純粋。まるで子ども。
極めつけは、「美しいところだけを好きな人に見せたかった」という菜穂子の行動。
苦しみながら、最後まで一緒に生きていくことはできなかったのか。
綺麗なところだけを見せた菜穂子に、二郎は永遠に心をしばられてしまう。そんな風に菜穂子は考えなかったのか。
最後の「生きて」のシーンは本当に残酷だと思いました。
それとも、菜穂子にそんな行動をとらせた、美しいものを愛してやまない二郎がいけないのか。
美しくなければ愛してもらえない、美しい自分のままでいなければ、と菜穂子は思ったのかもしれないし。
そう考えると、二郎と菜穂子の愛は、お互いのエゴが合致した形なんだと、勝手に解釈しています。
そして、そんな2人を中心に、世界は限りなく美しい。
何もなくて、貧乏な日本ですが、2人にとっての世界は美しかった。
人間の欲求や汚れをぬきに、美しい部分だけを徹底的にきりとった、無邪気な愛の映画だと受け取っています。
コメントする