「あれが君のゼロか!」風立ちぬ タニーさんの映画レビュー(感想・評価)
あれが君のゼロか!
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『千と千尋の~』の時に宮崎駿監督が「近所の10歳の子供のために作った」的なことを言っていて、観終わって「ははあ、あんまり面白くなかったのはこの映画が俺に向けて作られてないからだな」と思ったのだけど、その後のハウルもポニョもあんまり面白いとは感じられず(すごいとは思ったけど)、それは自分がもう大人になったから波長が合わなくなったのかなーと思っていた。
今回の『風立ちぬ』は矛盾の映画だと思った。美しい飛行機を作るのが夢なのに、それは人殺しの兵器であるという矛盾。仕事に本腰を入れるために結婚するという矛盾。主人公は美しいものが好きで、奥さんに「きれいだ」しか言わない。奥さんもそれを分かっていてきれいじゃいられなくなったら山の療養所に戻っていく。ゼロ戦について「1機も戻ってこなかった」というけれど、ゼロ戦がどれだけの人を殺したかは言わない。結核の奥さんの横で煙草を吸うところをわざわざ入れるところとか、エゴを意識的に描いている感じが抜け目ないと思った。
人物のデッサンが時々すごく下手に見えることがあって、どのキャラクターも不定形な感じがした。
すごいとは思ったけどやっぱり波長は合わなかった。
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