劇場公開日 2013年7月20日

「余計な登場人物。宮崎駿の汚点。」風立ちぬ bashibaさんの映画レビュー(感想・評価)

1.0余計な登場人物。宮崎駿の汚点。

2013年7月24日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

単純

7月24日、TOHOシネマ海老名にて鑑賞。
この映画を観る前に、既に82ものレビューが寄せられ、なかには相当、厳しい意見もあったので、余り期待せずに臨みました。前半の一時間はまあまあ。しかし、後半、菜穂子が再登場してから様相は一変します。極めて退屈なベタベタした恋愛映画に様変わりするのです。陳腐な科白に安易な筋立て。小学生の、ませた女子児童が描きそうな映像の連続に私はいたたまれなくなりました。菜穂子と二郎が事あるごとにキスをしていましたが、その度に私は「欧米か!」とタカトシ並みの突っ込みをいれていました。結核が移ったらどうするんだよ! 安易な恋愛話にうつつを抜かすとは、宮崎駿もヤキが回ったのでしょうか。恋愛の映画なら他の凡百の監督にでも任せておけばいいのですから。もし、私が監督なら、後半部分を設計者たる二郎と戦闘機のパイロットとの交流を描いていたと思います。勿論、菜穂子なんて登場させません。途中でゼロ戦が空を飛ぶ実録の映像を挿入していたかもしれません。ゼロ戦に搭乗し、出撃していった人間の心情のひとつくらい、描いても良かった筈です。菜穂子の姿が空に溶けていく最後の場面を観たとき、「そりゃないだろう、宮崎さん」と思いました。ゼロ戦に乗って最期を遂げた多くのパイロットの命よりも、結局はひとりの女の方が大事だったのかよ、との怒りにも似た感情が込み上げてきました。宮崎駿監督はこの映画を観て、泣いた、とのことですが、私は、退屈さの余り、欠伸が止まらず、おかげで目に涙が浮かんできました。この映画はおそらく全世界で公開されるのでしょうが、宮崎さん、なんとも恥ずかしい映画を撮ってしまったものです。
宮崎さん、この映画をご自身の最後の映画とせず、本気で、あと一作、渾身の一作を撮り上げて下さい。是非、死に花を咲かせて下さい。

bashiba
きいさんのコメント
2013年7月31日

この映画は恋愛がメインだとは思いません。
そこに目がいってしまいがちですがね(笑)
二郎は結核なんて移っても良いと思っていたのではないですか?
だって愛してる人なんですよ?結核だからって関係ないと思いますが?
そして零戦についてですが、そりゃ見ず知らずのパイロットより最愛の人のほうが大事に決まっているでしょう。そういうエゴは人間らしくていいかと。
それと自分のやりたいことと、それがもたらす結果の矛盾。自分の中の気持ちの矛盾。
それも人間の苦悩だなーとしみじみ思いました。
二郎だって自分が作ってしまったものに対しての罪は感じていたでしょう。
「一機も戻ってこなかった…」という台詞からそれが伺えます。
この台詞は自分に対しての皮肉だと思います。

この作品の欠点は「ジブリ」という枠組みですね。
ジブリだからこうでなくてはいけないという変な先入観をお持ちの方が多いようで…。

きい