「才能をたたえる映画」風立ちぬ 古泉智浩さんの映画レビュー(感想・評価)
才能をたたえる映画
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ゼロ戦の開発者である堀越次郎の才能をたたえるための映画だった。彼が一点の曇りもない好青年として描かれていた。勇気あって親切で才能にあふれていて、ルックスがよくて姿勢が正しく胸板が厚くて、育ちもよく、美人の彼女もいてコミュ症でもない、常にキリっとしていて非の打ちどころが皆無の鼻もちならない人物!
彼女はかなり瀕死の病弱だとは言え弱音は全くはかないし、血色がいい顔のままの美女、正直うらやましいばっかりだ。
物語はあんまり盛り上がらず、感想としては普通だった。4分間の予告が素晴らしかったため、ユーミンの『ひこうき雲』で泣く準備をしていたのに、掛かったのは物語が全部終わった後だった。ゼロ戦のテスト飛行で掛かって、それと奥さんが山で死ぬ場面がクロスオーバーしたらどれくらい泣けたか分からない。しかしそれではあまりにあざといとか臭いからと言って避けたのかもしれない。
だったら、そんな難病ものを題材になんかしなければいいのにと思った。戦闘機開発と恋愛があんまり噛みあっていない印象があった。
物議をかもした庵野監督を声優として起用したのは、声がモサモサしていて絵にあんまり合っていなかったように思った。もっとモサい印象の絵だったら合っていたんじゃないかな。しかしこれでキリっとした声ならますます鼻もちならなくなりそうだから、いいバランスだったのかもしれない。
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