「英語吹替版もぜひ◎」風立ちぬ crisさんの映画レビュー(感想・評価)
英語吹替版もぜひ◎
機内. English ver
久しぶりに見たらめっちゃ良かったなあ。
それに英語吹き替え版で見たのだけれど、これがめっちゃ良かった。
何より、二郎の声がめっちゃ合ってた!
マイペースさもありながら、でも庵野さんほどおとぼけ声じゃないというか。ちゃんと格好いいところは格好いい。
英語吹替版で見ると二郎が10倍格好良く見える。
こういうと庵野さんを否定してるみたいだけど、庵野さんのせいではない。
ちゃんとやっぱり声優さんとか俳優さん起用した方が、やっぱりいいような気がする。でも作品を作ったのは宮崎さんだから彼的にぴったりだったんだろうな。庵野さんの声が。
でも、英語版の声を聞いちゃうと「うわーーーやっぱもうちょっとシュッとした声の方が二郎の魅力が増すのになーー」という何とも悔しい気持ちになる。笑 多分、二郎のキャラがジブリ男子の中でも好きなキャラだからだろう。
声の馴染み具合からだろうけど、本庄とのバディー感、コンビ感も増す。
ジブリは日本の作品だし、内容的にも日本色強めなのに、英語版の方もかなりしっくりきた。不思議と。
風立ちぬの英語吹き替え版もDVDで見れたらいいのに...そしたら買うのになあ...リージョンが違うDVDとプレイヤーを買わなきゃダメなのかなあ...。
地震の表現
独特だったけど、すごいなと思った。
気味の悪い低いボイスで地震や余震への恐怖を表したこと。
地震は来ることも、来た瞬間も目や耳で表しにくい。
起こった後の結果・災害は表現しやすくても、今来てる!!って感じを表すのは難しい。
それをあの動きやボイスで表していた。
地震の最中の感覚や、一旦止まったけどまだなんか来そう...ってじっと様子を見るあの瞬間の感覚とか、あのどきどき、地震が起こる国の人はわかると思うけど地震を体験したことがない人はなかなかわからないだろう。
あの低いうめき声、まるでモンスターが唸っているような声だったけど
地震、という目で見えないものに対する恐怖が、得体の知れないモンスターを恐れる恐怖と似ていて。結果的に「地震」というものを感覚的に伝えるのにぴったりな感じになっていた。すごいなと思った。
ただ真っ直ぐに、自分の興味あるものにひたすら向かっていく。
それってすごく羨ましい。
好き。だからそれをする。このシンプルな動きがまぶしい。
困っている人がいる、助ける。ここにも余計なごちゃごちゃがない。
とりあえず先に動いてしまっている。
自分は結構頭であーだこーだ考えてから行動する生き方を30年ほどして、
その上で、これからはそんなに頭で考えなくていいかなって思っている。
もう十分ごちゃごちゃ考えた。そしてごちゃごちゃ考えきった気がする。
世の中は、そこまで考えを回したり、気を回しすぎたりしなくても大丈夫なんだとわかり始めた。見えてないこと、気づいてないこと、気遣えてないこと、あるのかもしれない。でも一人の人間にできることっていうのには限界があって、一人で全部完璧に網羅しなくても大丈夫、むしろその方が周りは気楽だったり、それでちょうど良かったりするんだと。
そういうことを実感できるようになってからは、確実に生きるのが楽になった。
二郎さんも、もしかしたら抜けてるところあるのかもしれない。
どうなの?ってとこがあるのかもしれない。でも、完璧に生きる必要って?誰のために?何のために?
二郎が、二郎の人生を生ききっているのを見た。
二郎の中でやれることを、最大限やっていた。
他人から見れば、もっとこうすべきああすべきがあるのかもしれない。でも彼の中での最大限、最善、を彼が選択したのだから。それでいいんだと思う。
そういう、誰かに媚びてるとかではない、たんたんと、自分のすべきことに熱心に、生きている人の姿を見る。
とても、すがすがしい気持ちになった。