「最近ジブリ映画は観なくなっていたのだが、庵野秀明が声優をやっている...」風立ちぬ 森林熊さんの映画レビュー(感想・評価)
最近ジブリ映画は観なくなっていたのだが、庵野秀明が声優をやっている...
最近ジブリ映画は観なくなっていたのだが、庵野秀明が声優をやっているというのを今更ながらに知り、金曜ロードショーで視聴。前知識はその程度しかなく、視聴が終わった後に調べて零戦を設計した堀越二郎をモチーフにした作品であると知りました。個人的に時代がどんどん流れて行くのが非常に良かったです。一つの場面の長さが少なく、飽きが来る前に次のシーンへと移り変わります。
二郎は菜穂子に出会うまで仕事一直線という感じであり、出会ってからも仕事がメインという感じでまさに仕事人間という感じです。菜穂子が療養所に行ってしまっても追い掛ける様子もないため、結婚するために家まで行ってたのに理解出来ないと思った人も多いのではないでしょうか。しかし二郎は菜穂子の意図を汲み取り、仕事を続けることを選びます。
仕事をしたことが無い子供はもちろん、おそらくものづくりの仕事に一切携わったことがない人は面白くないと思うのでは?と偏見ながら思ってしまいます。私自身は文系ですが、二郎が飛行にのめり込むことが非常に納得出来ます。それほど二郎の環境は恵まれており、理解のある上司、ライバルというよりも共に高め合う同僚、応援してくれる菜穂子。仕事に邁進し、夢を追い、技術を高める環境が整っています。
近代化して行く日本が太平洋戦争を経て焼け野原になる。その一端を担った二郎は自責の念に囚われるということがありません。薄情だとか罪悪感が無いのかと怒る人もいるかも知れませんが、零戦が出来ようが出来なかろうが戦争は起こったでしょうし、そこにいちいち罪悪感を持つなんてのもおかしな話です。
人を選びますが先述した通り、ものづくりの経験がある人には非常に楽しめる作品だと思います。最初は酷い棒読みだと思った庵野秀明の声優も段々癖になって来ます。感情移入させない為に庵野を起用したそうですが、後半ちょっと上手くなってるのもいい塩梅です。恋愛映画だと思って観るとなんじゃこりゃ?と思うことは間違いないです。