「呪われてたんだな・・・」風立ちぬ kossykossyさんの映画レビュー(感想・評価)
呪われてたんだな・・・
ドイツも日本も破裂。飛行機を飛ばす夢を追い続けながらも、実際には機関銃を搭載した戦闘機作りという矛盾。だが純粋さゆえに戦争への嫌悪感を持ちながら戦争へ加担していた堀越二郎という設定だ。軽井沢での休養から帰ってきたら、特高から狙われてることが判明するが、戦争反対を唱えてもいないのに何故?と、当時の日本が狂いだしたことを揶揄していたのだろうか。意味深な部分でもあります。
菜緒子とのロマンス部分は堀辰雄の『風立ちぬ』から。飛行機設計のパートよりも印象に残る薄幸の女性だった。結核が不治の病であった戦前の時代だから、その儚い命には純愛を感じさせてはくれる。
どことなく兵器や戦闘シーンなどが多い宮崎作品であるが、宮崎駿自身は憲法改正反対論者で反戦主義。実話として戦争に加担した形となった堀越二郎ではあったが、ゼロ戦が一機も帰って来なかったことを自虐的に皮肉を込めて語っている。宮崎自身の作品をも投影したかのような嫌戦感を思わせる台詞だった。言ってみれば、“反戦映画”という単純なレッテルを嫌った作者が、「反戦のつもりでも戦争に加担してしまうことがあるんだよ」というメッセージを送ってるんじゃないかという気もする。その点ではちょっと不思議な作品。
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