「何かに魅せられた者の光と影。」風立ちぬ ゆめさんの映画レビュー(感想・評価)
何かに魅せられた者の光と影。
クリックして本文を読む
私の身の回りでも賛否分かれる作品なんだけど、何かに心底魅せられた人間の光(エネルギー)、そしてそれ故に傍らに落ちる影を描く作品として観るなら私は素晴らしい作品だと思う。
夫婦愛の素晴らしさとか求めちゃいけない。
飛行機の美しさに魅せられ、美しい夢の世界でいきいきと敬愛するカプローニ博士と語らう堀越二郎。
彼の夢の世界のイメージ、光に溢れたカプローニ博士との飛行シーンなどは本当に素敵で、好きなものに対する喜びや理想に溢れていて、観ていてわくわくする。
(これらは監督・宮崎駿さん自身の空想でもあるんだろうね。)
あと菜穂子さんとの結婚式のシーンは本当にぞっとするほど美しい。
でも自分の理想の美しさを追い求める二郎は、結果的に第二次世界対戦の日本軍の特攻作戦に加担することとなり、愛する妻・菜穂子さんの最期にも会えないのだ。
自分の夢や理想を追い求めることは美しい。
でもそれは時に誰かを不幸にもし、また自分の他の大切なものは二の次にせざるをえないという、夢追う者の背負う業は確実にある。
何回か観てるとラストの菜穂子さんの言葉は違和感を感じてしまうな(あれは二郎の夢の世界の菜穂子さんなのだから、あれでは二郎があまりに自分勝手といえなくもない)。
コメントする