「人でなしの恋」風立ちぬ RONさんの映画レビュー(感想・評価)
人でなしの恋
なぜこんなにも腹立たしいのか?
宮崎駿の引退作「風立ちぬ」は一言でいって腹立たしい作品だ。
つまらないわけでも難しいわけでもない、腹立たしいのだ。
難しいことなど一つもない、これだけわかりやすい映画も珍しい。100パーセント宮崎駿の願望を描いた作品だからだ。「こんな僕だけど許してね、何を犠牲にしてでも作りたいもの作りたいんだよね、止められないんだよね、人でなしだよね、わかってるんだよね、けど、愛してね」そんなところだ。
二郎「機関銃さえ外せば、要求された性能を達成できるんだが」
一同、爆笑。
オレがゼロ戦パイロットだったら、こいつら全員機関銃で撃ち殺してるね。堀越二郎氏がこの映画を観たとしたら、はらわた煮えくりかえすんじゃないか?
「風立ちぬ」はけっして反戦映画なんかじゃない。
というか、はなから戦争を描く気などさらさらない。
ファンタジー描くならどうぞ好きにすればいい。
しかし、堀越二郎氏は死後40年にも満たない実在の人物だし、
ゼロ戦はまぎれもなく戦争兵器なのだ。
宮崎駿という偉大な作家、しかも最後の作品にしては、あまりに題材に対する取り組み方が甘い。甘すぎる。
そしてこの作品を、技術者、クリエイターの免罪符になどしないでもらいたい。
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