凶悪のレビュー・感想・評価
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なんの感動もないけど
いい映画だと思いました。
この映画は事件を追うにつれて山田孝之やピエール瀧、リリーフランキーの心情の変化を見る映画じゃないかなと思います。
そしてその心情の変化を圧倒的な演技力で表現してくれるためおもしろい。
山田孝之とピエール瀧の面会の場面では、前半は笑っていた山田孝之も後半は殺意があるような目つきでピエール瀧を睨むところや法廷での場面、それとともに山田孝之の家庭内をリアルに描き山田孝之が墜ちてく様を感じとることができると思います。
そしてリリーフランキーとの面会も印象的。
いろいろと見所があるけれど、すべてにおいてこの映画はなんかリアルで怖かったです。
人間の恐ろしさをまともに浴びせてくる
コメディからシリアスドラマ、善人から悪役まで器用にこなす山田孝之はともかくとして、ピエール瀧とリリー・フランキーがここまでやってくれるとは。
この作品は、この3人の成りきり演技と、時系列を巧みに組み立てた編集の上手さに尽きる。
取材が仕事とはいえ、そんなに深追いして大丈夫なのか気が気でなくなる記者の藤井。
自分に着いてくる者には優しいが、疑い深く、人を信じ切れないヤクザの須藤。
小心者のくせに、心の奥にどす黒いものを持つ“先生”。
この3人がトグロを巻くと、人間の恐ろしさをまともに浴びせてくる。
世の中にはとんでもなく悪い奴がいることは確かだが、ここまでストレートに描いた作品は初めてではないか。どこかで自制するものだが、作品そのものが凶悪者のように自制を投げ捨てている。凄い映画を撮ったものだ。
撮影の合間、あの3人がいったいどんな顔で過ごしていたのか見たくなる。
普通人 板子いちまい 犯罪者
まじめで固い視点で描く異常な事件。
見ながら、やっぱり園子温や北野武は才能があったんだ、と思わざる得なかった。
何を楽しみに観に行ったかと思えば、やっぱり恐怖とそれを超えた笑い、どっちにしろ強い刺激が欲しかったんだけど、初めて見た白石監督は真面目でいい人なんだろうな、と思った。
極悪非道過ぎて笑えてくるようなニュアンスの狙いは外していた。だけでなく、恐怖も感じなかった。記者の背後のドラマは凡庸過ぎて更に不発。狙って成功してないのはなんでだろう。
その前に、雑誌記者が死刑囚と会って回想における事件に突入していくまでが既に退屈。記者の背後としての“家庭の事情”もたいした同情を感じない。事実がどうかはしらないけど、描写が凡庸で緊張感がない。“事実”というのが枷になってるのか、フィクションとしては突き抜けてないし、リアリティドラマとしては装置も見せ方も芝居も驚きがない。ドラマとしては巻き込まれた記者視点で、それこそ「ほんとにあった呪いのビデオ」みたいに見せていったほうが、「怖く」はなったと思うけど、商業映画としてこういったキャストを配しているのなら、やはりフィクションとして突き抜けたかった。いいキャスティングがもったいない。
最悪の映画
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