劇場公開日 2013年9月21日

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「世の中には常軌を逸した人間達がいる事が分かる映画です」凶悪 和哉さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5世の中には常軌を逸した人間達がいる事が分かる映画です

2025年1月7日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

実在の事件を元にした映画ですが、他の人も触れているようにリリー・フランキーとピエール瀧の演技が秀逸すぎます。
この二人はプライベートでも仲が良かったようですが、それが独特の不気味さを増大させているのかもしれません。
「彼らが楽しんでいるようにしか見えない」といったレビューもあるようですが、それの何が悪いのか理解に苦しみます。
むしろ、真実味が出て映画としては良い事でしょう。
何にせよ、個人的にはこの二人をキャスティングしたのは大正解だと思います。

ただ、個人的に少し蛇足かなと思ったのは主人公のあれこれです。
視聴者に向けて「お前らもそうだろ?」と言葉を投げかけたかったのでしょうけど、気付く人は何も言われなくても気付きますし、気付かない人は何を言われても気付きませんしね。

何にせよ、この映画が世の中に出た事でこの事件を知った人やこの事件を再考する人が少なからずいたでしょうから、その功績は認めるべきでしょうし、気持ち悪い映画扱いする必要もないでしょう。
それにしても・・・実際の「先生」も相当なレベルの異常者のようですし、そういう人間は常に周囲の人間を利用して使い捨てにして自己愛を追求するので恐ろしいです。
須藤もかなりぶっ飛んだ人物ですし彼が行った事は決して許されない事ですが、先生の異常性の前ではそれこそ「憎めないやつ」と感じてしまいます。
時は戻せないのでif話は無意味ですが、もし須藤が先生ではなくもっとまともな人格の人間と出会っていれば今とは違う人生をおくれた可能性もあったのかもしれません。

和哉