「重いロシア文学との演出の相性問題」アンナ・カレーニナ Cape Godさんの映画レビュー(感想・評価)
重いロシア文学との演出の相性問題
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総合70点 ( ストーリー:75点|キャスト:80点|演出75点|ビジュアル:80点|音楽:70点 )
原作は未読。個人の自由と命懸けの愛対伝統的な社会制度と価値観との葛藤が主題になっているようだ。
ジョー・ライト監督とキーラ・ナイトレイは同様の純文学を基にした『プライドと偏見』で非常に良い作品を作っていたので期待していたが、今回はところどころでお芝居を観客席から観ているかのような演出を入れてひねりを加えている。これによって大概は重々しいし今作品も本来ならば重々しいであろうロシア文学作品が、さらりと流し見出来るようなあっさりとした味わいになっている。
それゆえか後半の社会制度に阻まれて潰されていく本気の愛の行方はまあそれなりだが、前半の2人が本気で愛し合い社会をはみ出してまで貫こうとする過程での真剣さが薄くなっているように思える。この流暢な演出に独特さと面白みがあったのだが、重々しいロシア文学には相性が悪かったのではないかと感じた。映像・衣装・美術・演技は全体に質が高いけど、その相性の悪さ分だけ満足度は低め。
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