劇場公開日 2013年3月9日

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「メンタル面での「強さ」が求められる任務」メッセンジャー(2009) talkieさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0メンタル面での「強さ」が求められる任務

2024年9月20日
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鑑賞方法:DVD/BD

〈映画のことば〉
神や天国は関係ない。
この任務では、告知人の性格が、非常に重要だ。
情に流されない、強い兵士が必要なんだ。

戦死した兵士の遺族に第一報を伝える役回り―戦死告知官とか、損耗兵告知官、もっと平易には告知人とか呼ばれているようですけれども。
そもそも戦闘に斃れた兵士を「損耗兵」と呼ぶ用語法は、評論子は、本作を観て初めて知りました。
ある意味、強烈な表現でもあると思います。
(そう言われて思い起こせば、旧日本軍の作戦将校も「この作戦では兵力の3分の1の損害を覚悟しなければならない」みたいな言い方もしていましたっけ。)

損耗兵告知班に配属されているという彼らは、その「損耗兵」の遺族にしてみれば、肉親や配偶者など身近な者の死を告げに現れる「死神」にもみえたことでしょう。

それだけに、告知を担当する側にも、よりいっそうの精神力が求められる任務であるとも言えるでしょう。
上掲の映画のことばは、そのことを言い尽くしているのだとも思います。

ストーン大尉とモンゴメリー軍曹との交流がメインテーマの本作からすれば、ほんの脇筋ではあるのですけれども。
しかし夫に戦死され、心の拠り所を失ってしまったオリビアの決断も、モンゴメリー軍曹の内面的なその「強さ」によるところが大きかったのだろうとも思います。評価子は。

あと、もう一つは、こういう業務もアメリカでは軍が自分で受け持っているということにも、感慨を覚えました。評論子は。

兵士の最期を遺族に伝えるところまでが、軍が担うべき「戦闘」の範疇と、責任を持って捉えているように見受けられたからです。

この点、戦死の通知は、あたかもそれが単なる戸籍事務の一環に過ぎないかのように、市町村に丸投げし、戦死公報も役場の職員…ともすると郵便配達員が届けていたという、どこぞの国の旧軍隊とは、大違いと思ったことによります。

そんなことにも思いを致せた一本として、評論子的には、佳作であったと思います。

<映画のことば>
こんな真夜中に「仕事」って…。
あなたは助産師?

<映画のことば>
市民生活を送れるのは地獄を見ていない者だけ。
お前には、もう無理だ。
もはや保険の外交員にはなれないってことさ。

talkie