「宣伝コピーに惑わされました。」君と歩く世界 勝手な評論家さんの映画レビュー(感想・評価)
宣伝コピーに惑わされました。
原題の『De rouille et d'os』は、英語だと“Rust and Bone”。日本語では、“錆と骨”なんていう、何とも色気のないタイトルなんですよね。それが、邦題だと『君と歩く世界』となる不思議。まぁ、脚を失った女性が出ているので、判らなくはないです。
「両脚を失った女性の驚くべき再生と希望の物語」とか、「光指す方へ/一歩ずつ/ふたりで」とか、「両脚を失ったシャチの調教師ステファニー。ふたたび力強く歩み始める彼女の姿が胸を打つ、きらめく愛の感動作。」と言うコピーが、ポスターやパンフレットに氾濫していますが、ハッキリと率直に言って、そう言う言葉から想像されるような内容の物語ではありません。
主人公も、マリオン・コティヤール演じるステファニーじゃなくて、マティアス・スーナールツ演じるアリだと思います。それにしても、罪作りなコピーだ。マリオン・コティヤールが好きなんで見に行ったんですが、何だかなぁ。予想と全然違い過ぎ。でも、そういうことが判ってながら行くと、また違うように物語は見えるかもしれません。
ステファニーは両脚を失っているわけですが、その処理はCGで行われています。CGで処理されたとはわからないくらい自然。で、そのステファニーが両脚を失うことを示唆するかのように、ランニングする人々の脚元からの映像をつかったりしています。また、ステファニーが脚を失うのは事故なんですが、事故だけでは脚を失うようには思えないんですが、その後のステファニーの回想?の映像で、シャチを出すなど、映像の作り方は良いと思いました。
アリが、粗暴なのか、優しいのかよくわかりません(苦笑)。映画のコピー自体は、ステファニーの物語のように思えるコピーですが、実際の所は、映像の量といい、話の軸足と言い、アリが主人公なのでは?と思います。
第70回ゴールデングローブ賞「主演女優賞」「外国語映画賞」ノミネート。フランス版アカデミー賞と言われるセザール賞では、「作品賞」「監督賞」などの主要部門を含む9部門にノミネートされ、「編集賞」「脚色賞」「音楽賞」「新人男優賞」を受賞。第65回カンヌ国際映画祭ではコンペティション部門正式出品。