小さいおうちのレビュー・感想・評価
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顔の表情、手の表情、そして佇まいが非常に良かった。
布宮タキを演じる黒木華。
平井時子を演じる松たか子。
この二人の演技が非常に良かった。
女性がより控えめな、この時代。
東北から奉公で出てきている布宮タキは大人しい性格の上、御国訛りを隠そうとする気持ちも加わり言葉少な目。
ですが、彼女の顔の、手の表情、佇まいが醸し出す雰囲気で全てを表現しており、言葉が無くとも気持ちが伝わります。
黒木華が好きなので若干贔屓目で観ている点は否めませんが、それにしても凄かった。
またモダンな考えを持つ平井時子も妻の顔、母の顔、女の顔が上手く出ており、松たか子という女優の凄さを感じた作品でもありました。
時に妻の顔と女の顔が混在している所の表情も良かったです。
あと本作で特筆すべきは、黒木華と松たか子の手の表情。
言いたいことはあるのだが言えない状況で手の動きや所作で想いを表現する。
口に出す言葉と手の動きが必ずしも一致しない、ということが当たり前なのですが新鮮でした。
周りを固める役者陣も安定的で安心して観ることが出来ました。
板倉正治を演じる吉岡秀隆も映画「ALWAYS 三丁目の夕日」での過剰で雑な演技はなく、やはり監督次第なんだなぁなんて思ったりもしました。
惜しむらくは現代篇のユキを演じる木村文乃。
周りの安定感も相まって彼女だけが浮いていました。
というか極端に下手で不自然に見えてしまったのが残念でした。
あと作品とは直接関係ないですが劇場内の予告編。
作品の或る重要なシーンをある程度の尺をとって流しているのですが…あれは流しちゃ駄目でしょうよ。
確かに作品の凄さは伝わるのですが、それと引き換えに失ったものが大きすぎる。
あのシーンは作中で初めて観たかった。。
兎にも角にも黒木華と松たか子が素晴らしい本作。
劇場内のマナーが極端に悪い年寄連中に我慢出来るのであれば、非常にオススメです。
(個人的な印象ですが最近劇場内の年寄のマナーの悪さが目に余ります)
小さな秘密
タキさん(倍賞千恵子さん)が悔恨の涙を落とすしながら数ヵ月後亡くなった。昭和初期、女中として住み込みで働いた平井家で過ごした穏やかで平凡だだが和やかな日々。そのんな赤い屋根のモダンでノスタルジックな“小さいおうち”は、若き日のタキちゃん(黒木華)にとっては、自分の家族そのものであったと想いました。そこで観てしまった恋愛事件。映画はタキさんが亡くなった後の現在から始まり、彼女が書き遺した自叙伝をタキさんの孫健史君(妻夫木聡)が読む小過去と、その自叙伝の時間である大過去を行き来しながら始っているミステリーと聞いていたので事件性があるものだと想ってた確かに事件は事件だがタキちゃんが愛する平井家を守りたかった小さな嘘を秘密で守りたかった物語りの様な気がしました可愛らしいと言う言葉は合わないと想いましたが私はタキちゃんが可愛らしいと感じました貴女の嘘は小さな秘密を守ったと想います♪
パッと見ただけではわからなくて、面白くないけど、後からグイグイくるいい映画です。
原作は読んでいないし、なんとなく面白くなさそうとは思っていたけど、山田監督の映画なのでハズレはないだろうと思い見にいきました。
地元のシネコンで、平日の夕方だったけれど、観客は、私を入れて二人。
公開した初めの週なのに、これは酷い。
正直、かなり不安でした。
本編が始まり、最後まで見たけれども、あまりパッとしない印象で、ある程度予想どおりの展開、何が言いたいのかわからなかったし、セットもチープで、キャストもいまいち、これはハズしたと思いました。
でも、その後レビュー書こうと思っていろいろ考えていたら、急に面白くなってきた。
この映画は、他の登場人物等はあまり関係がなくて、映画全体でタキさんの気持ちを表現しているような気がする。
タキさんは、山形の実家の家計を助けるため、東京に奉公に出てきた。
最初は違うところで、いろいろ苦労したと思うけれど、次にこの小さいおうちにきた。
この小さいおうちは、タキさんにとっては理想の場所だったのだろう。
もしかしたら、子供のおままごとの道具のようなものだったのかもしれない。
この家の人たちはみんな好きだけれども、特に奥さんが大好きで、理想の人。
恋愛感情に近いものを持っていたと思う。
後から登場してくる、旦那さんの会社の板倉さんも好きだけれども、奥さんの方が好き。
その二人の不倫を知った時、タキさんはものすごく複雑な気持ちだったのだろうと思う。
自分の理想の家族が壊れてしまう不安だったり、奥さんや板倉さんに対する複雑な嫉妬的感情、知ってしまったことを旦那さんに黙っている申し訳なさ・・・。
これらの感情が爆発して、最後にああなってしまったのだろうと思った。
結局、それほど大事にしていた小さいおうちを、戦局の悪化で、出ざるをえなくなり、山形の実家に帰ることになる。
その後、小さいおうちは米軍の無差別爆撃で崩壊、消滅。
板倉さんも戦争で招集された後、どうなったかわからなくなる。
こんなことになるのだったら、あんなことをしなければよかった、本当に申し訳なかったという思いを、戦後、誰にも言えず、ずっと抱えて生きてきたのだろうと思った。
この映画は、タキさんを中心とした世界なのだとすると、パッとしない印象も、ある程度予想どおりの展開も、チープなセットも、いまいちなキャストも納得です。
あたりまえだけど、山田監督の演出が素晴らしかったです。
後から思い出すと、グイグイきます。
小さなおうちの秘密
なんの打算もなく一途に平井家に尽くす純朴なタキ。初めて黒木華という女優がよく見えた。顔立ちもこの役と時代に合っている。
晩年のタキを演じた倍賞千恵子が、身近にいそうなお婆ちゃんの姿を醸し出し、若き日のタキのイメージを引き上げていることも確かだが、この作品の黒木華は上手い。
そして松たか子。これまでの作品でも見てきたが、異性を意識したときの色気を滲ませた顔の変化や仕草は素晴らしいの一言に尽きる。今回は、バイセクシャルな含みも窺わせる奔放さで純朴なタキを狼狽させる。
時代は支那事変から太平洋戦争へと向かっていくが、当時を生きたタキの経験を、聞きかじりの知識しかない若者・健史が頭ごなしに否定する場面が印象深い。皆がみな、平井家やタキらのように恵まれてはいなかったにしても、健史のように過去を一律に見ている若者の存在に少しびっくりした。
小さな家の普通の家族にも、その人らだけの歴史がある。それをじっと見続けてきたタキの一生もまた彼女だけの歴史なのだ。
小さなおうちには小さな歴史が詰まっている。
子供の頃に見かけた懐かしい小道具や家事の光景が懐かしい。
最後の手紙は、見つけただけでも話が完結するが、その後まで描いたラストの処理は微妙。タキを想う健史の心にもらい泣きもするが、間延びしてしまった感も拭えない。
山田洋次版「家政婦は見た」
戦争直前、そして戦時中と言った激動の時代を舞台にした作品なのに、描かれていたのは一つの家庭の物凄く淡々とした出来事でしたので、普通ならちょっと退屈してもおかしくない内容だったと思うのですが、それをここまで退屈せずしかも物凄く感情移入出来る作品に仕上げてしまうとは・・・いやはや恐れ入りました。
それにしても、妻夫木聡が演じた健史じゃないですが、戦時中ってもっと暗々とした暮らしをしていたのかと思っていましたが、全部が全部そう言う訳ではなく、楽しいことも一杯あったり、戦争よりも身近な問題の方がもっと切実だったり、まあ時代が許さなかったことも多々あったようですが、基本的には「生きる」ことって今と同じだったんですね。
勿論この映画で描かれた平井家は間違いなくこの時代では富裕層に位置する家族だったと思うので、一般的ではなかったと思いますが、それを嫌味なく描いた山田監督はさすがの一言としか言い様がないですね。
ちなみに予告編で気になっていた奥様ご乱心のシーンでは、ここでも健史同様に三角関係?なんて貧しい発想に至りそうになりましたが、細かい伏線を考えればなるほどタキちゃんには「強いある想い」があったのかなんて読み取れたり、現代のタキばあちゃんの涙の意味も含めて、まあとにかく見終わって物凄くいい余韻が残る映画だったなと、満足感で一杯になりました。
まあでも私がこの映画を良かったと思えた最大の要因は、何と言ってもタキを演じた黒木華の存在感に他ならないですね。
松たか子が演じた時子の凛とした品のある美しさも勿論印象深かったですが、黒木華の田舎臭さと献身さ、これぞザ・昭和の愛すべき女な感じで、思いっきりツボに嵌ってしまいました!
ちょっと期待外れ
山田洋次監督作品・・・なのに、「東京物語」の製作が終わったら、そのまま俳優を残して撮った感じで、主役どころ以外は全員「東京物語」の俳優で周りを固めてしまって、それぞれのキャラクターが被ってしまって、さぁ大変。橋詰と吉行はまた夫婦、夏川と妻夫木はまた姉弟、吉岡は「オルウェイズ」のキャラそのまま・・・。
片岡は舞台役者の発声そのまま・・・。
林家のダイコンぶりも、東京物語、そのまま・・・。
せっかくの原作がダイナシになってしまっている。
ただ、松と黒木の演技で二つ星止まり。
これは監督からの観客へのちいさなプレゼントかな?
この作品を観た印象を一言で表すならば、1番に浮かぶ言葉それは、「東京家族」の続編。
山田監督の前作は、言わずと知れた小津安二郎監督へのオマージュとして製作された「東京家族」。
あの作品は舞台を現代に移してはいるものの、セリフ等も同じシーンもあり、前半かなりの部分では、小津監督の「東京物語」をそのままリメイクした様な香が漂っていたと思う。
この「小さいおうち」の舞台は、現在であっても、やはり回想シーンで描かれている物語の大部分は戦前が中心となる。
そして「東京物語」がそうであった様に、ある一つの家族の生活風景を描く中で、その時代を精一杯に生きた人々のマインドや、時代の空気を自然に焙り出していく。
そんな手法で物語を描いていく点で、この「小さいおうち」が描いている時代は、戦前なので正に、「東京家族」の前篇と言った感じなのかも知れない。
妻夫木聡演じる甥っ子の健史が、タキの自叙伝の執筆に、色々とチャチャを入れるシーンが多い。
その健史のそのセリフが、戦後教育を受けた現在の日本人の価値観と常識を表し、戦前に実際にその時代を生きて来た人々とのジェネレーションギャップと言うものを、健史の話すあのセリフで表現しようと、山田監督は試みていたのだろうか?
何とも、あの妻夫木のセリフが、いちいち説教臭くて、それまでの回想シーンの柔らかな物語の風情が途端に途切れてしまう事が、度々あってイライラがあり、私には正直邪魔で欲求不満が募りました。
そして、ラストの海岸のシーンも、無い方が良かったと思ったな。年老いた平井恭一が今更母親の過去を知りたくなかったと言うのと同様に、健史とその彼女らは、板倉が実は戦後無事帰還し、あの白い小さなおうちの思い出を作品に残して描いていたと言う処に留めておいても良かったのではあるまいか?
私は、原作未読なのでその辺りが元々どう描かれていたのかは不明です。
それにしても、同じ戦前を生き、姉妹でありながら全く正反対のキャラクターで有った時子と貞子と言う人間の生き方がとても面白いではないか!
平井時子は、一見おっとりのんびりで、世間の常識には決して左右されはしないが、天然ボケキャラの様でいて、その実、戦前の裕福な家庭の貞節な主婦である筈の時子の立場では絶対に、有り得ないような不倫と言う大胆な行動をする。
こう言う理屈抜きの人間の二面性こそ面白い。世間体を第一番に気にしていた、教育ママの貞子が呆気なく、国防婦人の権化の鏡の様に変貌を遂げるのも、可笑しくて、妙に腑に落ちるシーンでもあった。
それにしても、寅さんでは、妹さくらを演じ続けて来た倍賞千恵子も、本当におばあちゃんの役がぴったりのお歳になられて、時の流れの速さを実感させられた。
だが、それにしても倍賞さんは、本当に本物の映画スターですね。幾つになっても華が有り、「すべては君に逢えたから」でもそうだが、彼女がスクリーンに登場すると画面の空気がガラリと変わって、締まる。それでいて前回のパティシィエでもそうだけれど、本当にその演じている人物の人生を生きて来たように感じさせるのだから、映画スターとは本当にどえらい職人ですね!
まるで絵本の世界のように
『小さいおうち』の風景が、まるで絵本の挿し絵の一部のようでした。
ドロドロしてるはずなのに、時子のたまに見せる表情に可愛らしさや笑いを誘う場面もあって、サラッと流されてしまった感じです(^_^;)
反対にタキの苦悩や思いは静かながら重く、自叙伝と称して綴られるストーリーとは対照的でした。
松たか子…すごいなって思っちゃいましたね!
あと、妻夫木聡が…すっごく凡人っぽくて(^_^;)…うけました♪♪
さすが山田監督
素晴らしい
特に黒木華が輝いた作品ですね
事後ストーリーもちゃんと描いてくれてるとこも良かったねです
観終わった時は小さいお家爆破のシーン、なんで花火バレバレなん?と思いましたが、昭和レトロの怪獣特撮物の雰囲気を演出したかったのでしょうね!
切ないですね・・・
キャストも豪華で 昭和の雰囲気を見事に再現して 絵はとっても良かったのですが・・・
2時間強と言う枠のなかでの 小さいおうちを描くのは難しかったのでしょうか?
様々な登場人物が描ききれておらず、ところどころ 感動的なセリフはあるのですが、それが私の心に届かず残念です
役者さん みなさんの演技はそれは それは 素晴らしいのですが・・
これは テレビドラマで観てみたいです。
そうすれば それぞれの登場人物ももっと 時間をかけて 描けるだろうし、そうすれば 私も小さいおうちワールドに入っていけるかもしれません。
この映画は 女中タキの秘密の物語です
そこは 本当にせつなくて 苦しくて タキの胸中を思うと本当につらいです。この タキの秘密だけはこのシーンだけは 胸 打たれました。
この秘密のため 彼女は生涯 苦しんだことでしょう。
戦争がなかったら・・・これほど 苦しまなかったかもしれません
お話は面白かったので 人の描き方が足りなかったのが残念です
昭和の雰囲気を味わう映画
ストーリー自体はいたって地味。
だけど映画の要である、松たか子のいかにも世間知らずといった感じの純真な奥様と、黒木華の純朴な女中とのやり取りが、幸福感のある穏やかな雰囲気があって良い。
また昭和時代のパートの主要な登場人物達に汚れを感じさせない純真さがある。 不倫の具体的なシーンが無いのに、不安定になっていく戦中の情勢と相まって、逆に不倫というもののイヤらしさ、不安感を感じさせる辺りが秀逸。
中盤のいけないことをしているという所からくるこの奥様の絶妙な色気を、佇まいから感じさせる松たか子の貫禄はさすが実力派。
雰囲気で見せるなんとも洒落た映画だった。
永遠の0の時代の市井の物語
誰も憎む人いない映画、戦争の時代を生きた市井の人の小さいうちに起る事件、ありうる話で松たか子の美しさとお手伝いのたきが光る。黒木華さんは初めて見ましたが実力のある女優さんです。あの時代の空気感や建物など上手く描かれていて自然体で見られる映画です。最後の年取った倍賞千恵子さんが隠していた秘密を孫の妻夫木さんが探すシーンは永遠の0と類似してますが、あの時代にはよくある話なのでしょう。
なかなかいい。
昨年東京家族を鑑賞して良かったので今回も観に行きました。本当にキャストが東京家族とほぼ同じで不思議な感じでした。
眠くなりそうな内容かな?つと思ってたのですがストーリーがしっかりしていたのか気がつくとハマってしまいました。
後半は涙が出てきていろいろと考えちゃいましたね。
山田洋次監督の作品ということもあって年齢層が高めでしたが年齢層は幅広くいける内容。ぜひ若者にも見てもらいたいです。
あの「言葉」。
山田監督の「東京家族」に引き続きの作品。
先日、この映画の公開にからめて「東京家族」がTVにて放送されており、改めての感動を頂いたため期待を込めて映画館に足を運びました。
戦争への足音が大きくなる昭和初期の物語であります。
私自身、戦争を知らない世代であり主人公である「タキ」の親類である「健史」同様に教科書的な史実に基ずく時代しか見えてきません。(もちろんその当時をモチーフにした「映像」や「書籍」視点での知識はありますが)
この映画は題名にあるように「小さないえ」に住む家族を中心に物語は進んでいきます。
全体的に、小津映画的にトーンを抑え気味な印象をうけました。それでも「主人公」の悲しみが伝わってきます。
現在(平成)の「タキ」がテーブルに突っ伏して吐くあの言葉・・・彼女の人生の集約なのでしょうか?
実は私自身は、イマイチこの物語に引き込まれませんでした。
構成上?あまりにも沢山の登場人物とそれぞれの思惑が交差し、フォーカスすべきモノと観客側の身の置き所の居心地の悪さが原因のような気がしました。特に女中としての「タキ」の心情をもっと丁寧に深く描いていれば・・・。感情移入ができたのではとも思いました。
ネタばれになりたくないので、深くは書きませんが直接的な表現で「タキ」の心情を慮るのは先ほど記したあの言葉だけだったような気がします。
きっと監督的には、あえてそこはそうしました。という事なのかわかりませんが、個人的には消化不良でした。
前作の「東京家族」のように「言葉」や「しぐさ」でグッとくる作品もあれば、この作品のようにより抑え気味なトーンの作品もあるという事でしょうかね。
また、私自身がこの作品にイマイチ引き込まれなかったのは、戦争への足音が聞こえるこの時期で中心となる「小さないえ」の家族や取り巻く人々がある意味その時期の「富裕層」であり、庶民の生活からは一段上の生活を送っている人たちであり、この時代を描く作品としては稀であったように思いました。やはり庶民感覚ではないので「よくある庶民」(例えばNHK「ごちそうさま」的な?)のギャップも大きなファクターであったとも思いました。きっと私自身がこの時代を描くならこうでなくっちゃみたいな固まった意識があるんでしょうね。
俳優陣は正に現代の「山田組」オールスターで、演技は楽しめましたよ。
個人的には、木村文乃さんをもっと見たかったのですが、さすがは黒木華さん♪本当に良かったです。このキャスティングは大当たりです。
正にそこに「タキ」を見ました。
ほっこり
一人の老人の自叙伝という形を借り、その人生をリスペクトしつつ、昭和初期の時代を描きながら、ノスタルジックに描いた映画でした。
年老いた人にもそれぞれの人生があり、秘密があり、物語があるということを考えさせてくれました。
今さら取り返しはできませんが、母や父の人生について、もっと知っておきたかったと思いました。
山田監督は映画作り(脚本)が巧い
さすがに山田洋次監督は映画作りの名人と感じました。良くできた映画です。映画のメインテーマはまだ米軍空襲の来なかった戦時下の当時はどこにでもあるような日常生活から松竹映画らしく始まって、今では想像もできないような閉鎖的相互監視社会における経済的に恵まれた美しい婦人(松たか子)の不倫事件の顛末をその家に奉公していたお手伝いさんの目を通して映画的に面白く描いていました。声高ではないですが、戦争の悲劇性も十分に伝わってきました。松たか子はいい役者とこの映画で認識しました。
こんな女中さんいたらイイなあ
心地よい涙とともに見終えた。先ず女中さん通じて家族って何だろうかと暫く考えていた。昭和にはこういうとても家族思いの女中さんのいる家庭は本当にあったのは間違いない。次に個人的には冒頭の火葬場のシーンは黒澤明監督の生きるを思い出した。一体彼女はどんな人生だったのだろうかとの思いを馳せた。さらに歴史での事件からの感覚と実際の時代を経験した庶民生活からの感覚の違いが、お婆さんと若い人との会話から上手く理解出来た。また天井の裸電球付近からアイロンに電源をとっているシーンは昔を思い出した。まとめて言うと、静かながら良い緊張感に包まれた優れた作品に仕上がっています。
蛇足:松たか子さんの若奥様の香気は画面から充分堪能出来ました。
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