「『小さいおうち』は秘密の不倫の恋の話に隠された秘密の悲恋の話ですって話」小さいおうち ウシダトモユキさんの映画レビュー(感想・評価)
『小さいおうち』は秘密の不倫の恋の話に隠された秘密の悲恋の話ですって話
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劇中の妻夫木聡が「イマドキの若いやつはこんなしゃべり方しねぇよ」と批判されたりしていた作品なんですけど、僕にはその妻夫木聡のしゃべり方こそが「昔の映画ザ・ライド」的な効果を出してたんじゃないかと思って好印象でした。
お話もなかなかおもしろかったですよ。
僕はこの映画、「3人の人間が6つの愛に苦しんで、1つも成就しなかった話」だと思いました。
時子は「板倉」と「夫≒家庭」への2つの想いがあって、どちらも成就できなかった。
タキは「時子」と「板倉」への2つの想いがあって、どちらも成就できなかった。
板倉は「時子」と「タキ」への2つの想いがあって、どちらも成就できなかった。
不思議ですね、この映画のど真ん中は時子と板倉の恋のお話なのに、その後ろで板倉とタキの悲恋物語が完璧なまでにきっちりとコントラストを描いてますよ。
違う言い方をすれば、「時子の秘密の恋の話に隠された、タキの秘密の恋の話」ってことですね。
観客に対してすら、秘密を残している「小出し感」が切なくてよかったです。
ついでに坊っちゃんは「時子という母親」と「タキという仮の母親」への2つの想いがあって、タキとは戦争で生き別れ、時子には不倫で裏切られた悲しみがありました。
またついでに旦那さんは、「仕事」と「戦争」の話ばかりだったけど、戦争は出兵もできずに負けて、仕事は戦争のせいでダメになった。
人間はいつの時代も、なかなか思うようにうまくは生きられないし、最高ではなくてもそれなりの幸せを良しとして生きていかなきゃいけない。
そんなことをちょっと考えさせられる映画でした。
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