「小さな幸福感」小さいおうち bluetom2000さんの映画レビュー(感想・評価)
小さな幸福感
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高台の洒落た一軒、「小さいおうち」かどうかは当時の市民生活を考えれば、ずいぶん恵まれた環境であることは確か。それは、冒頭のタキが上京するシーンとの対比で示される。それでも、遅ばせながら生活が厳しくなっていくテンポの違いを妻夫木が問いただすのが面白い。結局、明示されたものは召集令状と空襲だけだもんな。少なくとも、タキには幸せな「小さいおうち」だったと思う。
ドラマの起伏は奥様の不倫疑惑。ただ、それをサラッと、でも確信持てそうに示し、タキを悩ませる。「家政婦は見た」的な要素もあり、他人の家を覗く感じもする。そう、見てはいけないものを見てしまった感じ。想像する面白味があり、何もなくても何かを生む脚本の妙。
前半のおうちのシーンなんか、何気ないヒトこまを長めに映した感じは、小津作品へのオマージュなのか、松竹映画の伝統かなあ。
初見2015/7/5
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