「MVPは弓の人で決まり」アベンジャーズ エイジ・オブ・ウルトロン クリッターさんの映画レビュー(感想・評価)
MVPは弓の人で決まり
マーベル・シネマティック・ユニバース第11作目にしてアベンジャーズ2作目。
問題作「シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ」の序章的位置付けでもある。
「アイアンマン3」でスーツに対する依存は克服したものの、ニューヨークでの一件以来トラウマになり、外来からやってくる脅威の存在に危機感を募らせ続けていたトニーはワンダ・マキシモフに見せられた幻覚を発端に、「無防備な地球には必要だ」と言い、バナーと共に人工知能ウルトロンを作り、「平和維持計画[ウルトロン計画]」を実行する。
が、それが仇となり、ウルトロンが自我を持ち暴走、人工隕石を作り、人類の消滅を企てるという、地球の平和のためにしたことが、結果最悪の事態を招いてしまう何とも皮肉で、でもどこか哀愁を感じさせる一作である。
作風はシリアス寄りで、1作目ではアベンジャーズのメンバーが一致団結するまでの過程を丁寧に描いていたが、2作目ともなるとさすがにそのくだりは必要ないので本作は初っぱなからアッセンブルして暴れまくる。
1作目でもあった、カット割りをせずにヒーロー達が縦横無尽に動き回り、敵を次々とぶちのめすその描写は本作でも健在。
さすがはジョス・ウェドン。
相変わらず魅せてくれる。
今回の敵は原作でも幾度となくアベンジャーズと激闘を繰り広げた邪悪なロボット、ウルトロン。
彼はその野望とは裏腹に妙に人間臭さがあり、冷酷無比な殺人ロボットかと思いきや、急にキレたり、弱音吐いたり、とかなり喜怒哀楽が激しい情緒不安定なキャラクターで人によったら小物に見えるだろうが、個人的には見ていてかなり面白いキャラクターだなと思った。
新キャラクターとして登場する、ワンダ・マキシモフ(スカーレット・ウィッチ)とピエトロ・マキシモフ(クイックシルバー)は原作では元々X-MENの宿敵マグニートーの子供だが、映画ではもちろん、X-MENとの繋がりはないので、MCU独自設定のキャラクターになってる。(監督のお気に入りキャラらしい)
スカーレット・ウィッチに関しては実写では初登場だし、エリザベス・オルセンがしっかり役をこなし、んでもってエロ可愛いので完璧なんだが、クイックシルバーに関しては前年公開された「X-MEN/フューチャー&パスト」で同キャラクターがすでに絶大なインパクトを残してしまっているので本作のクイックシルバーが少し霞むのがもったいない。
また、皆大好きヴィジョンさん(パプリカ一つまみww)のデビュー作でもある。
だが、本作のMVPは個人的に間違いなくホークアイだろうと思う。
ウルトロンに協力してしまい、自らの行いが招いた結果、間接的にソコヴィアの人々を危険に晒してしまい、罪悪感に苛まれるワンダに対し、ホークアイはヒーローの真髄とも言える名台詞を放つ。
「外は敵だらけ。街は浮いてる。
こっちは弓1つ。まともじゃない。
だが、誰のせいだの、誰が悪いだの、今はそんなこと関係ない。
外に出たら戦え。
ここから出たら君も「アベンジャーズ」だ。」
今この状況、ウダウダ言ってる時間などない。
愛する人や罪もない人々の命が危険に晒されてる。
足があるなら、手があるなら、力があるなら、踏みとどまって戦い抜け。
スーパーパワーは持っていないが、弓1つで戦ってきた「普通の妻子持ちの人間」であるクリントだからこそ、この台詞に絶大な説得力を感じる。
彼もまた、偉大なスーパーヒーローの内の一人なのだ。(そっから吹っ切れて勇ましく戦いに挑むワンダもカッコいい)
この発言だけで映画代の元が取れたと言ってもいいほど素晴らしい名台詞いただきました。(「負けるぞ」と言うトニーに対し、キャプテンが放つ「それでも団結して戦う」という台詞も中々にグッとくる)
またワンダが見せたソー、キャプテン、ブラック・ウィドウの幻覚シーンもいい。
キャプテンとブラック・ウィドウが見た、自身の過去との切っても切れないトラウマや後悔に苦しむ様に、人が持つ闇、哀しさが垣間見れる。
そんな中、ソーだけはインフィニティ・ストーンや雷神の力に関する未来予知、または予言めいたものを見ていたというのも面白い。
アクションシーンも相変わらず素晴らしい。
ソーとキャプテンのハンマー&盾のコンビネーション技がカッコいいのなんの。(序盤では派手にガツン!!と打って衝撃波。終盤ではハンマーバットで盾ホームラン。最高に燃えるわ)
ハルクVSハルクバスター・アイアンマン(Mark44)の激闘は目眩がするほど凄まじい迫力で、
最後のアベンジャーズVSウルトロン軍団の戦いに至っては、スローモーションと「Avengers Unite」という曲も相まって、さながら絵画のような、観ていて惚れ惚れするシーンであり、美しいの一言。
さらにお気に入りなシーンがその直後のアイアンマン、ソー、ヴィジョンのビーム&雷撃トリプルアタック(ウルトラマンっぽくてすげぇ好き)、とどめはハルクの一撃でウルトロンをノックアウトという倒し方がこれまた最高。
そして最後のおまけ映像で、等々あいつがガントレットを嵌めて本腰入れようかって所で映画が終了。
安心安定のアベンジャーズ定食、ガッツリ堪能させてもらった。
追記
ラピュタやルパン三世第2TVシリーズ最終回に出てくるロボット兵の長い腕が一瞬チラッと写るので要チェック。