「クイルとガモーラの関係をもう少し丁寧に見せて欲しかった…。」ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー yuiさんの映画レビュー(感想・評価)
クイルとガモーラの関係をもう少し丁寧に見せて欲しかった…。
『アベンジャーズ/インフィニティー・ウォー』、『アベンジャーズ/エンドゲーム』を劇場公開時に鑑賞した後の本作、という、これはどうなのかといった感じの順番です。ただこれはこれで、本作を通じて『エンドゲーム』の答え合わせをする、という楽しみ方もできました。
本作の魅力の一つは、他のヒーロー達にはない「はみ出し感」ですね。主人公クイルですら、「スター・ロード」を名乗るものの、本人が思っているほどに知名度はない模様で、所属するラヴェンジャーズの中でもやや部外者扱いです。本作のマクガフィンであるオーブを探索する中で出会う仲間達も、それぞれ事情を抱えています。中でも囚人だったドラックスの振る舞いがやけにリアルで、面白かったです。ただ彼の、言葉の比喩を理解できないという特質は、字幕だと十分に表現し切れていないようでした。
もう一つの本作の魅力として、宇宙を股にかけたヒーロー映画に1970年代や80年代の楽曲を重ね合わせるという手法があります。その楽曲をクイルが手放せない切ない理由はもちろん、中盤の追跡劇で効果的な演出装置として機能している点も良かったです(仲間を危機に陥れるような主人公の行動自体はどうかと思いますが)。SFと懐メロの組み合わせならば、ティム・バートン監督の『マーズ・アタック!』でも、1950年代の楽曲を最終兵器として用いるという描写がありましたが、本作ほどこの異なった二つの要素を見事に統合した作品はこれまでなかったのでは、と思います。
なお、本作を始めとしたヒーロー映画全般の傾向ですが、使用する武器や技が作中で極端にパワーアップしてしまうので、画面を見る分には楽しいのですが、勝つか負けるかのスリルを感じにくくなります。物語上の必然性と言うよりも、CG技術を見せることが戦闘場面の目的になっているように思えるのです。本作でも、ラヴェンジャーズのリーダーであるヨンドゥが、多勢に無勢となった状況で、ほとんど反則技のような便利で強力な武器で敵を一掃する描写があります。こうした場面があると、作中の一般兵士や戦士達が、メインキャラクターを引き立てるための雑魚としか見えず、少し興ざめしてしまいます。もっともこうしたヒーロー映画の作り方への問いかけがあったために、その一つの回答として、『ローグ・ワン』のような作品が作られたのでしょうね。