「世界が少しでも美しくあるために」アーロと少年 hhelibeさんの映画レビュー(感想・評価)
世界が少しでも美しくあるために
一人の怖がりな子供がひょんな事から冒険に行き、友達ができ、いろんな困難を乗り越えて成長する物語
…って書くとものすごーくありがちなんだけど、ピクサーが描くとこんなにも示唆に富んだ映画になる。さすが!
まず、この設定は恐竜時代ではなく、パラレルワールドの「現代」。
恐竜が絶滅せず、人間が原始から進化できず、「万物の長」などと思い上がらなかったら、地球はこんなにも、こんなにも美しいままだったのかと思うと、複雑な気持ちになります。
そして、「人間」は主役を困らせる粗暴な存在として登場し、やがて主役のペット的なポジションになる。
恐竜に名付けられ、恐竜のために食料を取る。
この人間を「かわいい〜」と思って見ながら、また複雑な気持ちになります。
人間さえ進化しなければ、世の中は美しいままでいられたかもしれない。
それなら、進化した人間として生まれてしまった人間は、世界が美しくあるために何ができるだろう。
ワクワクするストーリーの裏に、ピクサーからのこんなメッセージが隠されてるように感じました。
それにしても。
本編が終わって「よかったなー」と思ってる時に流れた日本版の主題歌には心底腹が立ちました。
なんで素晴らしい映画を観終わった後に、「怒り」の気持ちで帰らなきゃいけないのか。
「インサイドヘッド」もひどいと思ったけど、エンドロールで流すのは本当に最悪です。
(おそらく)何も悪くない(であろう)kiroroのことが嫌いになりそうです。
色々な事情があるのでしょうが、映画会社が本当にこの映画を大切に思うなら、なんとか回避してほしかったです。