「大自然と小さき獣」アーロと少年 Raspberryさんの映画レビュー(感想・評価)
大自然と小さき獣
恐竜と人間をひっくり返したのは何故か。
ここに出てくる恐竜社会は、現代の人間社会のコピーだ。
家族、労働、報酬、欲望、暴力は完全に記号化され、記号化された恐竜キャラたちの感情も、それぞれに「こうあるべき」というシステムに組み込まれている。
そんな中、大自然と、家畜化されていない獣(少年)は、システムの外部に存在する。彼らは無言のうちに、たくましい正常さを呼び覚ます。
大自然と小さな獣。神聖さを残したこのふたつが、アーロ目線からの遠近法で素晴らしく表現されている。
現代にあっては、支配されつつある大自然と退治されつつある獣。その小さき獣を人類に置き換えることで、システム化された現代の人間に一石を投じているように思えた。
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