偽りなき者のレビュー・感想・評価
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偽りがなくても罪は深い
ラストの狩猟のシーンがとても意味深で、この映画で本当に伝えたかったことは、人間の業の深さなのではないかと考えさせられた。
何の罪もない動物たちは、いとも簡単に人間の遊びによって撃ち殺される。
同じ動物なのに、人間はその他の動物たちの命を軽いと思い込んでいる。
飼い犬ファニーも、ただルーカスの飼い犬であったがために、巻き添えになって殺されてしまった。
命拾いしたルーカスは、鹿の立場になってようやく自分の罪に気がつき、目が覚めた…というように解釈しました。
冤罪によって酷い目に合ってきた自分と鹿を重ね、何の罪もないのに何故人々は酷いことをするんだと思っていたけれど、自分は鹿の命を当然のように奪ってきたじゃないか、と。
冤罪 大人はクソッタレ
静かに流れる感じがストーリーと相まって凄く切ない気持ちにさせられました。劇場で観てたら本当に握り拳しちゃう感じ。
マッツミケルセン…いや凄いです
良い演技でした。ほぼ観るの初めてくらいだけど、すごく役に合ってたな。美形だからそれがまた怪しく見えたり、何考えてるか分からなかったり。
マルクスが現れた辺りからすごい興味深くなっていった。町の人の反応とか。
だってオカシイよ完全に。ルーカスの家に石投げられた時点からもうキレそうになって。なんで罪のない犬を殺すのよ。悪人になら何してもいいの?そんな権利だれにあるの?
マルクスが苦しむ事をだれが考えた?クララを信じて守ってるはずの大人が、何故他の子のことは考えられない?ルーカスを責めることでクララを守れてる?守るってどういう事だろう。ルーカスの味方をしてくれた眼鏡のオジさんがマルクスに「私はいつでも君の味方だ。何でも頼ってきなさい」的なこと言ったけど、それが本当の意味で子供の気持ちを理解する事だったり守るって事なんじゃないのかな、と思った。他の大人がしている事は、クララを守る事だとは思えない。ただ物理的に守る事に必死だったり、本当にクララを信用したり心情とか考えるべきだ。
ルーカスはクララを抱きかかえた。それがもう、すごく適切な判断というか、ルーカスの前向きな姿勢を感じた。そうしなければ、自分の身の潔白を証明出来ないし、クララにも悲しい思いをさせる。
ラスト、この事件の記憶が消えることはないのだと思い知る。誰の目も疑いの目に見えるし、ルーカスは常に緊張感を持ちながら生活しざるを得ない。さらに安心してたら命を狙われたりする。この街で暮らす限り2度と彼に平穏は訪れない気がする。
でも彼女もどってきてよかったな〜〜
マッツ・ミケルセン
ルーカス役のマッツ・ミケルセンがとにかく良かった。動揺、やり場のない怒りがとても表現されていて、もどかしい気持ちになった。
女の子が軽い気持ちで嘘をついてしまったとき、私の幼いころにもなんだか体験したことのあるような、嫌な感情?を思い出した。
周りがどんどん遠ざかって、身内だった人が敵になっていく時の虚無感がとても怖くて、リアルだった。
実証など何もなく、最後にはルーカスはなにもしてなかった、と丸く収まってしまうのが腑に落ちなかった。しかし信用を取り戻していくルーカスの姿はとても希望を与えてくれた。
とっても面白いけど心にダメージ
幼い少女の嘘から大人が追い詰められるそんな話なのですが
狭い町ならではの噂の広まりとカーストと恐怖がリアリティがあります
当人ではありませんが見ていて心苦しく感情移入して見て泣いてしまいました…
事件が過ぎてもしんどさが残る感じです
最後の場面で皆さん意見が分かれますがその演出も淡々としてて余韻が残り考えてしまう
ストーリー自体はとても面白いのですが
ちょっとかわいそすぎて引きずります
関連した話で『それでもボクはやってない』を思い出した。性的な事件で...
関連した話で『それでもボクはやってない』を思い出した。性的な事件では必ず男側が悪いように見られてしまう。それが子供となったら尚更。まあ男が悪い事件が多いんだろうけど。でも、現実冤罪で捕まったり示談金払ったりしてる人はかなりいるはず。こわいこわい。クララにとってはただの愛情の裏返しだったんだよな〜。
最後まで胃がキリキリした
クララみたいな子供は欲しくないなと思いました
マッツ可哀想に………1人の少女が軽い気持ちで言った小さな嘘で人生を狂わされ誰かの影に怯えながら過ごさらければならない苦痛を考えると私まで苦しかったです
ヒェェェェェって声に出して怯えました
ベスト3に入るヒューマンドラマ
少女の些細な嘘によって児童性的虐待の罪を着せられた男が迫害を受けながらも潔白を示し続け...と、いわゆり冤罪ものの映画である。しかし、冤罪を題材にしているが、痴漢冤罪の邦画とは違い、裁判や法律の話は全く出てこない。主にその男の周りを取り巻く環境の変化などが描かれている。
この映画では、自分が正しいと思う集団の怖ろしさ、それを妄信する集団の怖ろしさを感じた。また、子供の純粋さにも怖ろしいものを感じた。自分にも同じようなことが起きたと思うと...
悪意のない正義感が他にとっては悪になることもある。
ゆりぎないものと思っていた信頼がいかに脆いものか。
些細なウソがどれだけの重みがあるのか。
最後まで自分を信じてくれる人がいるのか。
この映画はとても深く、考えさせられるものが多くあった。ラストのシーンは...ネタバレになるので言えないが印象的なものだった。
あと味は悪い
マッツの魅力全開。しかしそれ以上に、人間の本性をえぐり出す重たい作品だ。
子供は純真ね〜、友情って素晴らしいわね〜、とか言ってる輩、ナメんな、これが心の底にうずまくドロドロだよ。
宙を眺める男
一年間がほとんど真冬の国デンマーク
雪に閉ざされた独特な閉塞感のある世界。
日の光を求める植物の蔦が地を這うように、儚く強く生きる人々。
(マッツ・ミケルセン)演じるルーカスは、失業し保育士の仕事に就いた。
彼は平凡に日々を正しく生きてきた。
幸せだった毎日が、ある日突然に壊れてしまう。
世界共通で忌み嫌われる(幼児性愛)の犯罪者と疑われ・・・
狭いコミュニティの中で、壮絶ないじめの数々にあう
日に日に壊れ、いつ自殺してもおかしくない状態に陥ったルーカス。
彼のかき乱される心のひだを深く掘り下げ、繊細かつ鮮明に人間の苦悩を描く。
最後のシーンは印象深かった。
無実を勝取った彼は、元気に振舞い息子の狩りに付き添い森にでた
何処からともなく、彼に銃弾が襲いかかった。
彼は想像し難い恐怖の呪縛からまだ逃れられずに、宙を眺めた。
でも、本当のピンチの時に、救いの手を差し伸べてくれる人がいたのも確かだ。
(マッツ・ミケルセン)は独特な存在感と圧巻の演技力で際立っている。
踏み越える
怖かった。
マッツのヴァルハラより、こういう普通っぽい話のほうがよっぽど怖い。
幼児虐待の疑いをかけられた男。
周りの人々は、「悪意」ではなく「正義感」ゆえに、彼を追いつめていく。
「自分達は正しい」と思い込んでいる集団の怖さ。
園長先生のリアルさなど、ほんと、いたたまれない。
観ながら「こんな町、捨てて逃げちゃいなよ。別の所で再出発しなよ。そっちの方が幸せだよ」と何度も思った。
でも、マッツは逃げない。意地でも町に居続ける。
逃げずに対峙することで、我が身が「偽りなき者」であることを、判ってもらおうとする。(教会のシーンが凄くイイ。)
判ってくれる人もいる。
判らない人もいる。
疑いは完全には消えない。それでも彼は町に居続ける。
—
終盤、疑いの発端となった幼児クララとマッツが向き合う場面がイイ。
彼はクララに、こんな言葉をかける。
「何本も線を踏み越えていかなくちゃいけないんだよ」と。
—
ラストシーンで、一度押された烙印は消せないんだという非常にシビアで冷酷な事件が起きる。残酷だなと思うのと同時に、
「何度でも踏み越えていく」という言葉と、教会のシーンが頭によぎる。
何度疑われても殺されかけても、逃げずに対峙していく。踏み越えていく。
人の覚悟、尊厳を見た気がして、その強さに圧倒された。
(尊厳なんて文字で書くと、途端に嘘くさくなってしまうけど、この映画はシビアな映像でそこに辿りつこうとするから、嘘っぽくない。)
スキッリはしない
終始、苛々しながら観た。園長先生に一番腹が立った。こういう結末が本当に嫌い。最後に撃ってきたのは親友の息子なんだろうね。予告で衝撃的な結末みたいなこと言っていたから、主人公が誰かを殺すのかと勝手に想像していた。
辛くなる
嘘に大人の被害妄想が加わってどんどん大きくなっていくのがとても恐ろしいです。
また幼稚園や保護者達からだけでなく、街そのものから居場所がなくなっていく様に非常に心が痛みます。
長年の付き合いがある友人達は、頻繁に狩りに行ったり飲んだりしていたのにも関わらず、なぜルーカスを信じてあげられなかったのか?
なぜそんな人間じゃないと思えなかったのか?
リアルでも一瞬にして信頼が崩れてしまうことはありますが、なす術もなく孤立していくルーカスを見ているとそんな疑問を持たずにはいられません。
それと、脚色や日本との価値観の違いなどあるでしょうが、実際にこういったいたとして、いくら軽蔑されていたとしても、スーパーで買い物させてもらえないなんてことがあるのでしょうか?
従業員がその幼稚園に子どもを通わせていたならまだしもですが(もしかしたら顔覚えてないだけで保護者だったのかもしれない)、偏見のせいで企業から拒絶されるなんてことがあるのでしょうか?
豹変ぷりが怖い
軽い気持ちで洒落にならないウソ言っちゃう子供も怖い。
しかしもっと怖いのは、子供はウソを言わないと100%信じ切り、昨日まで親しくしていた友人に対して残酷な態度を見せた大人。
事実かどうかも明らかでないうちから、こんなにも人って手のひら返せるもんなのか。
悲惨な目にあう主人公ルーカスは言うまでもなく、自らの娘と親友の板挟みに苦しむテオの演技、いいです。
わかってはいても、イライラしてしまう
監督、俳優の意図にもろにはまってしまい、些細なこと、場面にいちいちイライラしてしまう。
何でここで黙ってんの。。なんでもっと論理的にならないの。。それはやっちゃダメだよ。。こんなヤツいねえよ。。
てな感じで、不快感を禁じ得ない状態が結局最後の最後まで続くんだけど、つまりよく出来た映画なんだろうね。
ヨーロッパ映画特有のスクリーン全体に重くのしかかる、淫靡、陰湿、陰影が作品に重厚感を与えている。
偽り無き者は常に、口下手でfragile。世の中見えない落とし穴がすぐそこに隠れている。
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