劇場公開日 2013年4月20日

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「世界で嫌われている日本人」セデック・バレ 第一部 太陽旗 kossyさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5世界で嫌われている日本人

2024年7月16日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

興奮

 清から日本へ割譲された台湾の山奥での物語。山林資源を求めていた日本がやがて狩猟民族セデック族を使い文明化を図るという目的であったが、日本軍、警察の横暴さに我慢がならなくなったセデック族が一斉蜂起する。1930年頃には日本人との融和も進んでいたようだったが、やはり植民地での差別はある。日本人警察官となっていた花岡=ダッキスもいたが、給料面での圧倒的な差別。描かれてはいないものの、虐待や陵辱という事件もあったに違いない。

 セデック族マヘボ社のモーナ・ルダオ頭目が中心となり、タイモ・ワリス率いるタウツァー社など以外の部族が霧社に集結。計画性がない暴動のようにも思えたが、倉庫を襲ったり連絡網を絶ったり逃走経路を塞いでいたりと、仲間意識が再燃した。いざとなればまとまる民族主義の強みと言えようか。

 蜂起シーンは日本人目線で見ても震えがくるほど興奮させられた。もとは首狩りが得意な狩猟民族なだけに残酷なシーンもあったけど、そこまで鬱憤が溜まっていたのだと理解できる。そんな首切りシーンが数多く見られ、スプラッター的なこだわりも感じられるのです。

 大東亜共栄圏とか八紘一宇という言葉は使われてなかったけど、まさにそんな政策の一部を垣間見たような気にさせられた。現代では「台湾は親日」などと言われるのが一般的だけど、それを信じている日本人にぜひ見てもらいたい作品だと思う。

kossy