さよなら渓谷のレビュー・感想・評価
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夢や希望はないけど
こんな人生もあるなぁ・・・って思える。
「幸せになるために一緒にいるんじゃない!」と言ったかな子は
生きる気力をなくし、絶望の中でも
俊介からの愛や思いやりによって、癒されて生かされているような気がするし
2人のこういう関係は、どこかでまた続いてるような気がするし。
俊介すらも、かな子の理解できない行動や、悪意に満ちた行動によって
過去の罪の意識が少しづつ、薄れて、自分の心を取り戻しているのかも
知れないな。。と思います。
主役の2人は、本当に演技しているというよりは
かな子と俊介の人生になってしまったかのように、
とっても自然で、心を打たれます。
不幸のなかにあるかもしれないひかり
モスクワ映画祭で審査特別賞を獲ったこの作品。
前から気になる映画ではあったが、やっぱり、その受賞が
背中をおしたことには間違いない。土曜日に行ったのだが、
ほぼ満員の盛況。こういう映画にしては珍しいのではないか。
女の深い絶望。それでもかすかな生きたいというひかり。
取り返しのつかない罪を犯してしまった男の悔恨と希望。
一見ささくれ立っている男と女の光景が、荒い粒子の画面に
合っていた。抱き合うときだけ、一瞬、二人を解放区に誘う。
でも、湧き上がってくるどうしようもない感情に、
ある時は男を絶望のかなたに落しこむ。
でも、許してしまう。
女の絶望感をわかっている男だから。
許してくれた女に、男は幸せを求めようとする。
でも、そんな幸せを女は拒否する。
不幸から逃れるのを拒絶する。
絶望の中で、憎悪する自分と愛したい自分。
一体、どっちに転ぶんだこの物語、この二人。
どっちにいくかわからない、そんな人間の揺れ動きが
この映画のテーマではないかと思った。
男女関係の説明できない難しさ
つらい映画ですね。吉田修一原作でいうと、『悪人』の路線です。男女の言葉では説明できない感情を低い温度(なんか上手く表現できてませんが・・・)で描いています。
見ていてかなりツライ、哀しい・・・今回は真木よう子がとてもいいです。西川美和監督のように、登場人物が何を考えているかは一切説明しません。こちら側に託されるのです。ストーリーについては一切知らない方がいいので書きませんが、男女の関係、特に一緒に暮らしていく関係について深~く考えさせられます。先日観た『箱入り息子の恋』とは180度テイストが違いますが、どちらも周りの人に、もう少し優しくしていこうという気持ちにさせるんですねえ。
椎名林檎が書き下ろして真木よう子本人が歌うエンディング『幸先坂』(さいさきざか)と読みます。この曲、かなり切ないです。『悪人』の時もしばらくテーマソングの『Your Story』(歌:福原美穂)が頭から離れなかったなあ。
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